サポの“声出し違反”続く浦和に罰金2000万円の可能性…野々村チェアマンが警告「同じことが起きれば無観客試合、勝ち点剥奪も」
Jリーグは5日、各クラブの代表者が出席する臨時実行委員会を行った。終了後、野々村芳和チェアマンがメディアブリーフィングを実施。浦和レッズのサポーターがJリーグガイドライン違反の声出し行為を行っている問題について、裁定委員会から浦和に最大2000万円の罰金処分が行われる可能性が浮上しており、さらに違反が続けば無観客試合や勝ち点剥奪などの重い処分に発展する可能性もあると明かした。
野々村チェアマンによると、実行委員会はJ1・J2・J3の各カテゴリに分かれて実施。J1他クラブの実行委員からは浦和の問題に対して「具体的な防止策がない中では不安。クラブがしっかりとルール違反を犯した人たちに対してしっかりとしたスタンスを見せるべきだ」という声が挙がった。これに対して、浦和の立花洋一代表は実行委員会の場で「申し訳なかった」と謝罪したという。
さらにクラブは同日、公式サイトに声明を公開。「浦和レッズとして、『Jリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン』に基づいた試合運営業務を遂行することができなかった事実につきまして、心よりお詫び申し上げます」などと謝罪した上で、「違反行為への適時適切且つ毅然とした対応(即時退場を含む)」などの再発防止策を公にしていた。
野々村チェアマンはこれを受けて「リーグも浦和に対してステートメントを出すとか、再発防止策を取ってくださいと現場間では言ってきていたが、今までは出てきたことがなかった。今日浦和からもクラブのインフォメーションとして、クラブのスタンスと再初防止策が出た。58クラブが同じ方向で進むことで行きますよと再確認した」と前向きに受け止めた。
加えて野々村チェアマンはこの日、立花代表と浦和サポーターの行為について事実関係を確認。「同じ方向で進んでいくことを宣言して、クラブとしての姿勢を見せたのであれば、われわれも上にアクションを取れるようになった」と述べ、クラブに運営責任があるとして、処分を前提に裁定委員会に諮問を行う方針を明確にした。
野々村チェアマンは「Jクラブの責任」について定められたJリーグ規約51条を例に挙げ、声出し行為が問題化した5月21日のホーム鹿島戦、今月2日のアウェーG大阪戦での行為を対象に、クラブに罰金2000万円を上限とする処罰が行われる可能性を指摘。さらに「同じようなことが起きた場合、無観客試合、勝ち点剥奪も含めた上で、第三者となる裁定委員会に諮問した上でペナルティを課すことがあるとお伝えした」と明かした。
野々村チェアマンはこの日の臨時実行委員会について「どのクラブも抱えているサポーターが声を出して、もとの制限をなくして取り戻したいという思いを、どう管理するかはご苦労されているが、ようやくここまできたのだから、みんなでもう一回頑張っていこうよという空気は醸成できたと思っている」と振り返った。
一方Jリーグでは6月以降、政府の基本方針に従い、声出しエリアの運営検証を実施中。6月10・11日の2試合で「ステップ1」(声出しエリア上限3000人)、今月上旬の6試合で「ステップ2」(同上限7000人)と徐々に緩和し、今月30日以上は声出しエリアの上限人数を撤廃する「ステップ3」に移行する予定となっている。
野々村チェアマンは「日本政府が取っているコロナ対策、基本的対処方針のなかで、次に獲得したいのは声出しエリア50%、その他は100%(※現在はその他も50%上限)という形。そうなればクラブの経営も楽になる数字なので、そこを獲得したい」と意気込みつつ、声出し応援の全面解禁を待ち望むサポーターに理解を求めた。
「一部のサポーターの中にはやはり日本のコロナ政策と欧米のスポーツシーンの状況に違和感を感じている人たちが、ああしたい、ああいう状況を取り戻したいという思いの(声出しという)表現もあるというのは、僕の想像の中では感じているところ。ただあらためてだが、Jリーグでは基本的対処方針に則った中で少しでも緩和される方向を探していく」
いまだに声出しが制限されている日本の現状と、すでにコロナ前の日常を取り戻している海外のギャップへの葛藤も語った野々村チェアマン。「基本的対処方針を大幅に変えていただくような働きかけはリーグとして、僕が責任を持ってやっていくという棲み分けはお伝えしたい。僕一人でできるわけではないが、いくつかのエビデンスをもとにサッカー界、スポーツ界、違う業界の人たちも含めて、どうやったら前に進めるかを含めて別の方向でやっていくことはお伝えしておきたい」と述べ、政府にも対応を働きかけていく姿勢を強調した。