【番記者の視点】G大阪が得た勝ち点1以上の手応え 浦和を圧倒した今季最高の前半

明治安田生命J1リーグ第19節 G大阪1―1浦和(2日、パナスタ)

G大阪にとっては、終了間際に追いつかれてのドロー。試合によっては負けに等しい雰囲気が漂う結果だが、この日は違った。キャプテンのMF倉田は、引き分けを悔しがりつつも「手応えはめっちゃありました」と明かした。片野坂監督も「私自身は非常にポジティブにとらえている。前半のサッカーを後半もできていれば、間違いなく勝てた」と、力強い口調で話した。

前半は今季最高の45分と言っていい内容だった。2試合連続で中2日という過密日程にも関わらず、立ち上がりからハイプレスで浦和のビルドアップを制限し、ペースを握った。そして前半30分、美しいカウンターで先制。GK東口がキャッチから素早い判断でつなぎ、18歳FW坂本が長いドリブルで相手陣内へ。左サイドでパスを受けたMF石毛がピンポイントのクロスを送ると、長い距離を走ってゴール前に飛び出したMF斉藤が、胸トラップから右足でゴール左へねじ込んだ。

前半はシュート数で浦和の1本に対し、8本と圧倒。しかし2点目は奪えず、後半は飛ばした前半のつけや、連戦の疲労もあってか浦和ペースに。足がつる選手が続出し、5枚の交代枠をすべて使っても押し返すことができなかった。試合終盤まで粘り強く耐えたが、3バックの中央で奮闘していたDF三浦が与えたPKで追いつかれた。

ボールを失えばすぐにプレッシャーをかけ、奪い返せば浦和のプレスをかわしつつチャンスをつくった前半。ただすさまじいエネルギーを消費したように見えた戦いぶりを、後半も継続し、さらに夏の連戦でコンスタントに続けることは可能なのか、という不安もある。しかし片野坂監督は「走れなくなったから、守りに入る、とは思っていない。前半の戦いをどれだけ続けられるか。それを選手に求めていきたい。走れないなら走れるように。交代選手も、勢いを止めないように。そういう準備を全員でやっていきたい」と語った。

斉藤も「選手も、そこから逃げたいとは思っていない。強いガンバを取り戻すためには必要なこと」と言い切った。浦和を圧倒した45分間の感触は、選手たちにも強く刻み込まれたはず。次は、いかにしてこの時間を伸ばしていくのか。体力的に無理だ、とあきらめるのではなく、この強度を目指す中で、チームとしてのベースを上げていく作業になる。積み上げた勝ち点1以上に、目指すべきスタイルがはっきりと見えてきたことが、最大の収穫だ。

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