Jリーグはシーズン中盤へ!チームを進化と躍進に導く注目タレント8人(J1編)

2022シーズンのJリーグもGW開催でおよそ3分の1を消化。ここからシーズンの中盤戦に入って行きます。

梅雨、過密日程、夏の暑さ、そして望ましくないですが怪我や累積の出場停止など、厳しい条件が積み重なるとともに、二巡目に入ると対戦相手がより研究してくるなど、いろいろな難しさが入ってきます。

そうした中でチームを活性化し、違いをもたらし、さらなる活躍で勝利を支えて行きそうな選手8人をピックアップしました。

岡村大八(北海道コンサドーレ札幌)

札幌と言えばFW中島大嘉が大きな話題を集めるが、前節の京都戦でインパクトを示したのが3バック中央に起用された岡村大八だ。先のガンバ大阪戦では後半途中に宮澤裕樹に代わって投入されて無失点に貢献。スタメンの京都戦はビルドアップをピーター・ウタカに奪われて、田中駿汰のカバーに助けられるシーンはあったが、得点ランキングトップの京都のエースを封じ切った。これまで終盤の守備を固める時間に投入されることが多かったが、屈強なフィジカル能力に危機察知能力と統率力を加えて、重要性が高まっている。もともと体力面にも自信があり、夏場に飛躍してくる資質は十分だ。

中村仁郎(ガンバ大阪)

”逆足”サイドアタッカーのイメージが強かった左利きのテクニシャンだが、戦術性の高い”カタノサッカー”で4ー4ー2の前線に起用され、エースの宇佐美貴史に代わる決定的な役割を担う。レアンドロ・ペレイラやパトリックといった大型FWの周囲で切れ味鋭いドリブルやフィニッシュに絡む動きで、存在感を高めている。シュートの積極性もあり、リーグ戦のゴールも時間の問題だろう。パリ五輪世代だが松木玖生(FC東京)、甲田英將(名古屋)と同じ”03ジャパン”候補でもあり、アジア、世界での活躍も期待される。

宮本優太(浦和レッズ)

リカルド・ロドリゲス監督いわく「ゲームの理解度が非常に高まっている」。大卒ルーキーで最初は浦和の強度やリカルド監督の戦術にフィットできていない様子も見られた。そこからACLの経験も経て、中盤もこなせる技術と視野を生かしながら、右サイドからの攻め上がりや守備のデュエルなどにも向上が見られる。日本代表DF酒井宏樹の長期離脱で、サイドバックの台所事情が苦しいレッズ。リカルド監督は馬渡和彰と競わせて起用を考えていく方針を明かしたが、馬渡は左もこなすため、かなり出番が増えて行きそうだ。

吉長真優(ジュビロ磐田)

もともと前線でパワーやスピードを発揮するアタッカーだが、伊藤彰監督に3ー4ー2ー1(守備時のベースは5ー4ー1)の右ウイングバック適性を見出された。鈴木雄斗、小川大貴、松本昌也が左右ウイングバックの主力だが、松本がシャドーやボランチ、インサイドハーフでも起用されるように。そして小川大貴がセレッソ大阪戦で足首を負傷してしまった。その小川に代わって投入されたセレッソ戦は4ー4ー2の右サイドハーフから得点に絡む仕事をしたが、ウイングバックで攻守に渡る奮闘も期待される。パリ五輪世代であり、今後の活躍しだいで十分にそこを狙っていけるタレントだ。

井上潮音(ヴィッセル神戸)

11試合で未勝利、最下位の神戸はACLから帰国後のガンバ大阪戦も前半に退場者が出た影響もあり、なすすべなく2−0の敗北を味わった。ACL直前に就任したロティーナ監督の戦術設計がすぐに組み上がることは難しいが、東京ヴェルディ時代から指揮官の指導を受けた井上には神戸の潤滑油として、アクセントとして大車輪の働きが期待される。ただ、一人だけで全て完結するタイプではないだけに、周りにどれだけ動きの意図を読み取ってもらえるかというテーマもある。中盤ならどこでもこなせるタレントだが、例えば右サイドハーフであれば、後ろの酒井高徳やボランチの扇原貴宏、山口蛍、さらにイニエスタとビジョンの共有を進めながら、バイタルで決定的なシーンで絡める状況を作っていきたい。

岡崎慎(FC東京)

FC東京のアカデミー出身でもある岡崎は一昨年の清水在籍時に右膝骨軟骨炎という重傷を負って、復帰後も苦しい時期が続いていた。それでもボールを後ろつなぐスタイルを掲げるアルベル監督のもとでルヴァン杯からアピールして、前節の鳥栖戦でようやくスタメン起用されてフル出場。直接FKで0−1の敗戦となったが、流れの中では一度もやられることが無かった。膝は未だ100%ではなく、コンディションによっては対人能力をフルに発揮できない時もあるようだ。それでもビルドアップ能力に疑いの余地はない。ボールを捌きながらのルックアップが得意で「前の動きが見えてしまう」という岡崎。アルベル監督には「蹴りすぎるな」と指摘されているようだが、使い分けも意識している。守備も元々持っている資質は高いものがあるだけに、アルベル東京を進化させるキーマンの一人として、完全復活以上のものを期待していきたい。

山根陸(横浜F・マリノス)

ACLのシドニー戦で先発デビューを果たすと、年上の選手たちに物怖じすることなく中盤を掌握し、先制点を含む多くのチャンスで起点となった。巧みなボール捌きと良質のパスで攻撃を組み立てながら、タイミングよく決定的なチャンスに絡んでいく抜群のセンスを備える。アカデミー上がりでまだ注目度は高くないが、同じ2003年生まれの松木玖生(FC東京)にも匹敵するタレント性を備えていることは明白。マリノスは主軸の一人である岩田智輝が名古屋戦で負傷交代し、復帰が外からは読めない状況だ。パリ五輪世代のリーダーの一人としても期待される藤田譲瑠チマとともに、山根が中盤で重要な役割を担っていくかもしれない。

ルキアン(アビスパ 福岡)

ここまで勝ち点15で11位の福岡だが、堅守を誇るチームが乗り切れていない第一の理由は得点力の不足にある。しかし、新エースとして期待されるストライカーが、前々節のFC東京戦で2ゴール。前節の湘南戦こそ得点は無かったが、ようやく福岡のスタイルで得点を積み重ねる土台ができてきている。前からのディフェンスやポストワークなど、FWに求められる多様な仕事を十分にこなしているため、長谷部茂利監督はノーゴールでも使いつけてきた。しかし、さすがにこれ以上は難しいという時期にようやく結果を出したルキアンが、ここから量産体制に入っていければ、すなわち福岡の上位躍進を意味する。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kawajiyoshiyuki

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