今季初の連勝を目指した京都戦は前半、再三チャンスを作りながらも先制点を献上。追う展開を余儀なくされたが、今季全ての公式戦で得点を奪っているガンバは後半、ダワンの鮮烈な移籍後初ゴールで勝点1を持ち帰った。
「前半の戦いの中で我々が先に得点、先制点を取っていればまた違う展開になっていたかもしれない」と片野坂監督が悔しがった言葉は決して負け惜しみではない。2トップの献身性に加えて、齊藤とダワンのダブルボランチが高い位置でボールを刈り取り、縦への推進力を発揮。ビルドアップに固執せず、あくまでも相手ゴールに鋭く迫る新たなガンバのスタイルは徐々にその輪郭を見せ始めているが、指揮官も名古屋戦以降の戦いにこんな手応えを口にする。
「選手の意識が攻撃にしても守備にしても前に行っているし、いい守備やボールを奪う場面が増えているので、相手陣内で攻撃できるようになっている」（片野坂監督）。

対戦相手や選手のコンディションに応じ、一つの戦い方には決して拘らない片野坂監督だが、いかなる相手であろうとベースになるのは強度の高い守備と、ハードワーク。そんなガンバの今を象徴するのが派手さこそないものの、攻守でチームを支える小野瀬と石毛の両ワイドである。
リーグ戦の3連戦目となる清水戦はアウェイではあるものの、現在ガンバはアウェイの清水戦で4シーズン連続勝利中。相性のいい敵地で勝点3だけを目指す戦いになるが、とりわけモチベーションを高めているのが清水で育った石毛である。
「プレーする時は古巣への感情を捨ててガンバの一員として勝点3に貢献することが一番求められている部分だし、その覚悟はできている」（石毛）。
攻守で欠かせない存在になりつつある石毛だが、ガンバでの初ゴールはもちろん、セットプレーのキッカーも務めるだけに清水攻略の鍵を握る一人である。

現在15位の清水だがガンバとの勝点差はわずかに3。ホームでまだ手にしていない勝利に向けて、当然アグレッシブに立ち向かってくるはずだ。
2得点の鈴木と3アシストをマークしている神谷の2トップは当然、警戒すべき選手だが、清水は直近の5試合でわずか3得点。ただ、今節注意したいのが清水の高さである。浦和相手に1-1のドローに持ち込んだ前節はセットプレーからCBのヴァウドが得点。また新加入の長身FW オ セフンは193センチの高さと空中戦の強さを持っている。完全復調の兆しを見せている三浦にとっても古巣との対戦だが、守備陣には局地戦の1対1で強さが問われる戦いとなりそうだ。
「ここ2試合、いい形でチームとして試合を進められているのでこのベースを崩さず、自分たちからアクションを起こして、アグレッシブにプレーすることで相手を上回りたい」（石毛）。
攻守の歯車が噛み合い始めた今、敵地での勝点3がよりガンバを加速させる。

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