【番記者の視点】大阪ダービー、史上初のスコアレスドローはなぜ起こったか…C大阪から見た視点
◆YBCルヴァン杯 ▽1次リーグA組第5節 C大阪0―0G大阪(23日・ヨドコウ桜スタジアム)
C大阪はホームでG大阪と0―0で引き分け。全公式戦を含めて通算56度目となる大阪ダービーで、史上初となるスコアレスドローに終わった。
互いのプライドがぶつかり合うダービーマッチでも、C大阪は浮き足立つことはなかった。ボール保持で上回る相手に対し、ブロックを形成して応戦。G大阪にほとんど決定機を作らせなかった。「失点したら流れが一気に変わってしまう。ダービーは一番そういうのが出る。まずは失点しないことを入りから徹底していた」。DF西尾隆矢のコメントが守備への意識の高さを示していた。
昨年8月に小菊昭雄監督が就任して以降、チームの戦い方のベースは守備にある。対戦相手の戦術や状況に合わせてプレスをかける位置を調整し、ボールを奪ったら素早く前線に運びゴールを目指すスタイルを基本としている。小菊監督はコーチ時代、数多くの指揮官のもとで学んできた経験が今に生きているというが、中でも色濃く踏襲していると感じるのは尹晶煥監督(現J2千葉監督)の「規律とハードワーク」とロティーナ監督(現神戸監督)の「整備された守備」。ともに近年、安定した成績を残したチームの特徴だ。
良くも悪くもイケイケだった攻撃サッカーからの方向転換。派手な撃ち合いを望むサポーターからすれば見せ場が少なかったこの日の試合は物足りないだろうし、リスクを負ってでも勝ち点3を取りにいく考え方も理解できる。一方、いやが応でもヒートアップする場の空気に流されず、自分たちの戦い方を貫いたことも評価していい。無得点に終わったことは課題だが、主将の元日本代表MF清武弘嗣は「全体的なパフォーマンスは攻撃面も悪くなかった。ゴール前まで行けていたので、あと少し、というところ」と手応えを口にした。
スコアレスドローについて、小菊監督は「最終ライン、GKだけではなくチーム全体のハードワーク、想い、色んな要素が結集された結果。最後まで戦い、走ってくれた選手を誇りに思います」と賛辞の言葉を惜しまなかった。最後まで1点を争う、そんなヒリヒリした大阪ダービーが今後は主流となるかもしれない。