磐田×G大阪の難解な事象をジャッジリプレイが検証 家本政明氏が示した「ハンドの反則」への見解は?
「Jリーグ ジャッジリプレイ」で検証、「PKの可能性」で審判団が確認するポイントを解説
3月12日に行われたJ1リーグ第4節・ガンバ大阪対ジュビロ磐田(1-1)では、後半中盤に起きたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)介入からG大阪FWパトリックのハンド判定まで、一連の流れが話題を呼んだ。スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグ ジャッジリプレイ」でもこの事象について検証。元国際主審の家本政明氏、FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子氏が丁寧に解説している。
【動画】「今でも忘れられない」 イングランド代表MFランパードのシュートがラインを割るも…W杯ドイツ戦“幻のゴール”の瞬間
後半22分、G大阪が左サイドから仕掛け、MF福田湧矢のクロスボールに中央のパトリックと磐田DF森岡陸が競り合う。その後こぼれ球に反応したG大阪FW山見大登がボールをコントロールした際、スライディングした森岡の足が接触。山見が右足を押さえて倒れ込んだ。
この時点で御厨主審はノーファウルの判定だったが、プレーが切れたところでVAR側と交信。山見と森岡の接触に「PKの可能性」があるとしてVARが介入し、オンフィールド・レビューを行い、直前の競り合いでパトリックの「ハンドの反則」を取り、磐田のフリーキック(FK)で再開となった。
この判定について、SNS上では、「仮にパトリックのハンドリングがなかった場合は山見へのファールは取られていたのだろうか?」「ハンドはVAR介入条件じゃない」「PKじゃないならそのままコーナーじゃないのか?」などさまざまな疑問が寄せられ、「Jリーグ ジャッジリプレイ」での検証が期待されていた。
深野氏ははじめに「なぜパトリックのハンドの反則にVARが介入したのか」を説明。当該シーンでは、まず森岡のスライディングタックルがVARの4つの介入条件の1つである「PKの可能性」に当てはまるとして、オンフィールド・レビューまで実行。“PKだ”と主審が判断した場合は、「Attacking Possession Phase」(APP・エーピーピー/攻撃側チームがボールを保持し攻撃に移る局面)を確認する必要があるという。 “APPの確認”とは「アタック(攻撃)するところからその事象(PKの可能性など)に至るまでの一連の流れで、ファウルがあったかどうかを確認すること」と詳しく説明。あくまでも、VARが介入したのは森岡の「PKの可能性」の部分であって、その先にパトリックのハンドの確認があったという流れだ。
パトリックの“ハンドの判定”については出演者でも賛否
さらに番組では、森岡のスライディングについて「足にいっちゃっているよね」とファウルの可能性が高かったと推測。そのうえでパトリックのハンドについては、家本氏が持論を展開。
「競技規則の文言に照らし合わせると、(腕の位置は)不自然じゃない。ノットハンド」としつつも「攻撃側と守備側」、ハンドした選手の立場を“逆”に入れ替えた場合に見方が変わるという点を説明し、「両方とも言える」と主審の判定をある程度サポートした。
「競技規則の文言だけだと、ノットハンドが強い印象持つけど、“ディフェンスがゴールに(向かいボールに)”と条件を少し設定を変えてみるとハンドのほうが納得感が高くなるんじゃないのとなった時、ハンドの判定は十分受け入れられると思う」
パトリックの「ハンドの判定」については、Jリーグ副理事長の原博実氏が「ノーハンドだ」と主張したり、深野氏が迷いながらも「ボールが後ろに流れるのを嫌がる手かな」といった意見を出したりと出演者でも振れ幅が大きく、判定について意見が割れている。
番組ではこの事象のほか、2戦連続での京都サンガF.C.の退場について、V・ファーレン長崎対大分トリニータ(4-1)のハンドでPKのシーンなどについても熱い議論が交わされている。