DF今野泰幸が関東1部南葛SCからの挑戦「Jに殴り込みをかける」 27日に初公式戦
関東1部南葛SCに今季、元日本代表DF今野泰幸選手が磐田から加入した。27日には天皇杯東京予選を兼ねた東京カップ・エリース東京戦で初公式戦を迎える。22日に取材に行ったが、今野に会うのは私が磐田担当をしていた20年以来だ。合流してから約3週間で「心機一転。本当にレベルが高い。ボールを大事にして連携をつくる。うまくはまれば面白いし慣れていきたい」。森一哉監督はJ1川崎と名古屋で風間八宏監督の下でコーチを務め、攻撃的なサッカーを植えつけていた。技術の高い選手を集め、今年JFL昇格を目指すチームでの新たな挑戦に胸を躍らせていた。
昨季はJ2磐田で23試合に出場。序盤こそスタメンだったが、5月にベンチスタートとなり、最後までレギュラーをつかみきれなかった。新型コロナのためオンライン取材がメインで近況は分からなかったためケガの影響かと思っていたが、「普通に外された。そこからチームが勝ちだしたんです」。チームはJ2優勝。万全の状態だった今野さんはオフに契約満了で退団することになった。
そこで選んだのは関東1部の南葛SCだった。Jクラブからもオファーはあったというが、「南葛というこれからのチームでJに殴り込みをかけるクラブに魅力を感じた」とアマチュアリーグを選択。FC東京、G大阪、磐田でJ1昇格を成し遂げた昇格請負人。「Jに上げることができたらベスト」と話してくれた。
19年7月にG大阪から当時J1・16位と降格危機にあった磐田に移籍した。だが19年はケガもあり、出場はわずか5試合。チームも最下位で降格の憂き目にあった。オフには腰の手術も行い、20年の序盤戦の出場は絶望的になった。引退も頭によぎった。だがG大阪時代に同僚だった千葉MF米倉恒貴らに「ここで辞めたら後悔する」といわれてとどまった経緯を明かしてくれた。今では「身体が動かなかったら仕方ないけれど、動く限りはサッカーをしたい。昨年は磐田でも出られる手応えがあったし、まだまだやれる」と前を向いた。磐田加入直後も、できるだけ長く現役を続けたいという話をしており、“らしさ”が戻っていた。心身ともに充実しているのだと思った。
初のアマチュアで苦労もある。練習場は人工芝で、練習時間はナイターで午後7時ごろから行われる。クラブハウスもない。今までJ1経験のあるクラブに所属していただけに環境は劇的に変わった。「人工芝は腰や足の裏にくる。でも与えられた場所でやるしかない。慣れるしかないんです」と話す。今季の目標はまずJFL昇格。初参入の関東1部は群雄割拠で、仮に優勝しても過密日程での地域チャンピオンズリーグが待ち受ける。
JFL鈴鹿ポイントゲッターズに元日本代表FW三浦知良選手が加入し、注目を浴びる‟アマチュア”サッカー界。稲本潤一、関口訓充選手ら元日本代表が集まる南葛SCで、J昇格を目指す今野の姿も注目していきたい。