ガンバ大阪を強くするためにやってきた齊藤未月。「Jリーグでもう一度、自分の価値を示したい」

ただ、守備の部分で自分からアクションを起こすプレーは僕の特徴ではあるとはいえ、今は守備だけをやっていればいいという時代ではないからこそ、攻撃でももっと自分からアクションを起こしていきたい。ガンバの前線には特徴のある選手がいるからこそ、そこに一旦預けて、自分が中に入っていってゴールを狙うといった攻撃面でのプレー精度はもっともっと高めていきたいし、ゴール、アシストといった明確な結果も自分に求めたいところです」

その言葉にある”攻撃でのアクション”は、実はロシアでの1年間で自身に足りていないと気づいた部分だという。残念ながらルビン・カザンではケガもあって公式戦から大きく遠ざかったが、普段の練習を含め、新たな環境に身を置くことで感じられたことも多かったようだ。

「日本では、周りの選手を助けてあげよう、とか、このプレーをしてあげようというマインドでプレーする選手が多い気がしますが、海外ではどちらかというと『そこは自分でやれよ』感が強く、ボールを持っても孤立することがすごく多かった。それを体感したことと、ロシアでは毎日、対人の練習が多く、必然的にゴールに向かう、ゴールを決める意識をより強めることができたなかで、自分からアクションを起こして攻撃に、という意識はこれまで以上に強くなりました。

湘南でプレーしていた時代は曺貴裁監督(現京都サンガF.C.監督)の目指すサッカースタイルもあって、僕自身がボールを持つ時間はすごく短かったですが、ガンバではボールを保持したサッカーを目指すなかで、僕自身ももう少し自分でボールを持って仕掛けていくとか、ゴールに直線的に向かっていくプレーを出していければいいなと思っています」

それによって、バージョンアップした齊藤の姿をピッチで楽しむことができれば、また、彼が描く「チームの多くの勝利のために、多くの数字を残す」という目標が実現できれば、間違いなくそれは、新たなチャレンジへの活路を見出すことにもつながっていくだろう。

「日本代表はどの選手も目指している場所。僕自身もサッカー選手である以上、日本代表に選ばれて、日本という国を背負って戦いたいという気持ちは強く持っています。

世代別代表で一緒だった同世代の選手が選ばれていることに刺激を受けて、なおさら『自分も』とも思います。森保一代表監督は、チームで結果を残している選手を招集している印象もあるので、自分もしっかりチームでの結果を出すことで狙っていければと思います」

ジュニア年代から湘南ひと筋でプロに上り詰め、10代の頃から湘南の顔として活躍を見せてきた齊藤。世代別代表ではU-20日本代表のキャプテンとして、2019年U-20ワールドカップに出場したこともあり、東京五輪での活躍を期待された選手のひとりだった。結果的にルビン・カザンでのケガが響いて、五輪の舞台に立つことはできなかったが、その事実は彼のキャリアを否定するものではない。いや、そのことはきっと、”ガンバ大阪齊藤未月“が教えてくれる。

齊藤未月(さいとう・みつき)1999年1月10日生まれ。神奈川県出身。湘南ベルマーレのアカデミーで育ち、2016年にプロ契約。2017年シーズンからはチームの主力として活躍した。2020年シーズン終了後、ロシア1部リーグのルビン・カザンへ期限付き移籍。ケガなどもあって思うような活躍ができず、今季からガンバ大阪に期限付き移籍。攻守において安定感のあるプレーが売りのミッドフィルダー。

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