ガンバ、脳にも刺激を入れて「カタノサッカー」浸透へ! 指揮官も挙げる上位進出のキーマンは、やはり宇佐美貴史だ

大分トリニータ時代の代名詞でもある「カタノサッカー」は戦術的な理解度を求めるサッカー

1月8日の新体制会見で「強いガンバを取り戻す」と宣言した片野坂知宏監督。始動初日の練習後には「今は正直なところ、まだ3バックか4バックかは決めていないですね、なぜかというと、選手の特徴を把握しないといけないから」と話した指揮官だったが、徐々に新生ガンバの輪郭は定まり始めている。

新型コロナの感染拡大で沖縄キャンプの練習公開は限られているが23日にフルオープンの予定だった練習は大雨によって急遽、体育館内での練習に変更。戦術的なトレーニングは行なわなかったが、1時間半のメニューには片野坂色の一端が見て取れた。

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新人の矢野玲フィジカルコーチのもとで行なわれたのは大分トリニータ時代に導入したライフキネティックも一部に用いたメニュー。脳を活性化させる狙いを持つこのトレーニングについて片野坂監督は「身体は動かさなくても、頭と脳に刺激が入ることで、サッカーにも集中できるようになれば」と狙いを明かしたが、大分トリニータ時代の代名詞でもある「カタノサッカー」は戦術的な理解度を求めるサッカーである。リラックスモードの中でも片野坂監督は時折、アドバイスを飛ばしたり、選手とともに喜んだりとその熱量の高さを見せていた。

即効性があるわけではないライフキネティックとは対照的に、指揮官がチームに求めているのは「止めて、蹴る」という基礎技術の大切さ。「アップの段階でしっかりとボールを止めて蹴るという基礎的な練習に関しては、毎回の練習で組み込まれている」と宇佐美貴史も話すが、ボールを握るサッカーを目指す上で不可欠なエッセンスも、一から積み上げている最中である。

極寒が続く大阪と異なり、最高気温が20度を超える日も珍しくない沖縄キャンプでは入国制限で未だチームに合流できていないレアンドロ・ペレイラと新外国人のダワン、クォン・ギョンウォンが不在だが、片野坂ガンバは2月の開幕に向けて、順調に調整中である。

キャンプ中、日程や対戦相手こそ非公表ながら、他クラブと練習試合を行なっているというガンバ大阪だが、フォーメーションは3バックが採用されているという。

指揮官は言う。「今は僕自身も慣れているというか、大分でやってきた3バックというところで、選手に大枠を提示しながらやっている」

もっとも、就任会見では「システム云々の前に守備でも攻撃でも、後ろが3枚でも4枚でも、どういうふうにプレーするかを選手が共有してプレーすることが大事」と話した片野坂監督。昨年の天皇杯では4バックも採用し、決勝進出も果たしているだけにガンバ大阪でも対戦相手によっては4バックの採用もあり得ると、選手には伝えているという。

「貴史が今季、二桁得点に絡めることが、チームが上位で戦える要因にもなると思う」

ビルドアップや立ち位置の細かさは「カタノサッカー」の肝になる部分ではあるが、片野坂監督が就任会見で口にしたのは「またガンバのスタイル、カラーを取り戻したい」という言葉。リーグ戦で3位以内という目標設定に向けて、得点数も50点(昨季は計33点)を目処にするが、キャンプ中には攻撃を重視した取り組みが多いと、山本悠樹は話す。 「ボールを保持したいというところであったりとか『昨年の得点数では少ない』とよく話されるので、そういうところに重点を置いてキャンプを進めているかなと思う」

大分トリニータ時代の選手層を最大限に活用するために採用した当時のスタイルに固執することなく、ガンバ大阪のタレントを生かす形を模索する片野坂監督だが、やはりエースとして期待を寄せるのは宇佐美である。「貴史が今季、二桁得点に絡めることが、チームが上位で戦える要因にもなると思う」(片野坂監督)

組織の整備とタレントを融合させる作業は順調なスタートを切ったと見ていいだろう。

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