G大阪の担当記者シーズン総括採点 新型コロナ、監督解任、残留…波乱のチームの最高評価はあのベテラン

G大阪は13位と、17位でJ2降格した2012年以降、最低の成績で今シーズンを終えた。昨季は2位となり、宮本恒靖監督はタイトル獲得へ向け攻撃的なスタイルへの転換を図ったが、開幕直後にチームに新型コロナクラスターが発生。活動休止後により戦術の浸透も図れず、コンディションも低下したなかで低迷し、5月に宮本監督を解任。後任の監督選びも難航し、暫定で指揮を執っていた松波正信監督に託すことに。コロナでの延期試合とACLが重なった夏場には、21連戦という過去に例をみない過酷な日程にも苦しめられ、残留争いに巻き込まれた。しかし終盤は割り切った守備的な戦いで粘り強く勝ち点を積み上げ、J1残留という最低限の目標は達成した。(以下、選手名、採点、出場記録、寸評)

GK東口 順昭

7・0

38試合49失点

彼がいなければJ1残留は果たせなかったのではと思うほど、勝ち点をもたらす好守を連発。32節浦和戦では、DF酒井宏に「なんでだ!」と言わしめる決定機阻止も。35歳にして全盛期か。

DF昌子 源 4・5

28試合0得点

怪我からの完全復活をかけて臨んだシーズン序盤、鹿島時代を彷彿させる凄(すご)みあるプレーをみせて代表復帰も果たした。しかし終盤は再び負傷に苦しみ、調子を落とした。

DF藤春広輝 5・0

19試合0得点

負傷による長期離脱もあり、一時はポジションを失った。しかしチームNO1のスピードを守備のカバーリングなどに生かし、レギュラーを再奪取。健在ぶりをアピールした。

DF三浦弦太 4・5

26試合0得点

キャプテンながらチームの不振と連動して調子を落とし、本来のパフォーマンスを発揮できた試合は少なかった。負傷離脱もあり、昨季に続いて30試合出場に届かず。

DF菅沼駿哉 5・0

19試合1得点

昌子ら主戦センターバック陣が次々と負傷する中、中盤以降は重用された。J1では8年ぶりの得点や、キャプテンマークを巻く試合も。ブラジル人選手との意外な仲の良さもみせた。

.DF金英権 5・5

16試合0得点

序盤の低迷は、彼が負傷により出遅れたことも大きな要因だった。エレガントさを感じさせる守備、冷静沈着なビルドアップと、ピッチに立てばハイレベルなプレーを披露。退団はチームにとって痛手だ。

DF黒川圭介 5・0

19試合0得点

藤春とのポジション争いに挑み、自ら持ち上がる攻撃力ではライバルを上回る印象を残した試合も。しかし守備面での不安定さものぞかせ、レギュラーをつかみ取るには至らなかった。

DF柳沢亘 5・0

15試合0得点

サイドバックに負傷者が続出した夏場、J2水戸から緊急補強で加入。広い視野からのセンスあふれるパスなどもみせたが、J1のスピードにやや後手を踏む試合もあった。

DF高尾瑠 4・5

19試合0得点

負傷もあり、自慢の攻撃性能を発揮する機会は少なかった。ボール保持の局面で力を発揮するタイプだが、守備局面での課題も浮き彫りになった1年となった。

MF朱世鐘 4・0

22試合0得点  加入1年目は失望のシーズンに。守備重視の戦いが多く、持ち味の展開力が生かされなかった。韓国代表からも外れ、カタールW杯が遠のく。複数年契約の残る来季の巻き返しに期待。

MF小野瀬康介 4・5

31試合0得点

サイドバック、ウイングバックなど複数ポジションで起用されて必死に役割は果たしたが、本来の伸びやかなプレーは影を潜めた。リーグ戦無得点はプロ1年目の2011年以来。

MF倉田秋 5・0

37試合1得点

2列目での起用が多い中で、1得点は寂しい。しかし残留争いの苦しい最中、走り、戦い、常にユニホームを汚すプレーをみせて背中でチームを引っ張った。

MF井手口陽介 5・0

29試合0得点  負傷や連戦で状態を落とした時期もあったが、終盤は本来の運動量が戻って中盤で大きな役割を果たした。しかし昨季ほどのパフォーマンスは発揮できず。セルティックからのオファーで海外移籍の可能性浮上。

MF奥野耕平 5・0

26試合0得点

J1で自己最多の試合数に出場し、危機察知能力や球際の粘り強さなど、中盤のフィルター役としては通用する部分をみせた。若いながらチームを鼓舞する振る舞いも印象的だった。

MF矢島慎也 4・5

26試合2得点

シーズン序盤は攻撃的なスタイルのキーマンとして重用されたが、チームが守備的な戦いに傾いていく中で出場機会が減少。終盤は負傷もあり、ベンチ外が続いた。

MFウェリントン・シウバ 4・5

21試合0得点

夏に途中加入し、独特のドリブルで攻撃のバリエーションに変化を加えた。しかし球離れの悪さなどが目立ち、チームの中で強い存在感を示すまでには至らなかった。

MF山本悠樹 5・5

28試合0得点

司令塔として大きな飛躍を期待されたシーズンだったが、絶対的なポジションを確立するまでには至らず。しかし残留につながった終盤戦の3連勝で3アシストと、勝負所で得点に直結する仕事を果たした。

FWレアンドロ・ペレイラ 4・0

24試合5得点

新エースとして期待されたが結果を出せず。終盤は負傷を重ね、シーズン終了を待たず帰国したことも印象悪し。時折見せたシュートセンスに能力の片りんはみせたが、広島時代20年の19得点から大幅減。

FWパトリック 6・5

33試合13得点

シーズン前は放出の噂もささやかれたが、チームが苦しい状況に陥ったとき、何より頼りになったのは彼の高さ、パワーと決定力だった。チーム最多の13得点で、3年ぶりの2けた得点もマークした。

FW宇佐美貴史 5・5

38試合6得点

フィールドプレーヤーでは唯一、全試合に出場。夏場の連戦中は調子を落としたが、終盤は復調して本来の魅せるプレーも。しかし6得点3アシストはエースとしては寂しい数字。

FW小野裕二 4・5

7試合1得点

大けがからの復帰後にも負傷が続き、今季限りでの退団が決定。本来の力は発揮できなかったが、ピッチに立てばアグレッシブなプレーでチームの熱量を挙げ、サポーターからの支持を集めた。

FW山見大登 6・0

5試合1得点

特別指定としてJ1デビューし、8月13日の清水戦では試合を決めるプロ初ゴール。スピード、積極性とJで通用する力の一端は披露し、来季への大きな期待を抱かせた。

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