ガンバ大阪、見せられるかオリジナル10の底力。残留に向け浮かび上がる現状の緊急性

Jリーグクライマックス2021

開幕時からリーグに参戦する、いわゆる”オリジナル10″のクラブが今年で29年目を迎えたJリーグを力強く牽引してきたことは間違いない。そのバイオリズムには波があるとはいえ、多くのチームが長く強豪として君臨し、数々のタイトル獲得や多くの名手を輩出してきた。

リーグ優勝の回数を見ていくと、鹿島アントラーズの8回を筆頭に、横浜F・マリノスが4回、サンフレッチェ広島が3回、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)とガンバ大阪が2回、名古屋グランパス浦和レッズがそれぞれ1回ずつ。合併消滅した横浜フリューゲルスを除いた9チームのうち、優勝経験がないのは清水エスパルスとジェフユナイテッド市原(現・千葉)の2チームのみだ。

一方で、オリジナル10がJ2に降格すれば、その衝撃度はことさら大きい。

9チーム中、J2に初めて降格したのは1999年の浦和。次いで2002年に広島、2005年に東京V、2009年に千葉、2012年にG大阪、2015年に清水、翌2016年には名古屋が陥落した。1993年からトップリーグで戦い続けるのは、鹿島と横浜FMの2チームのみとなった。

ただし、千葉と東京VはJ2が定位置となった一方で、浦和、G大阪、清水、名古屋は1年でJ1に復帰。2度落ちた広島も都度1年でJ1に戻っている。その意味でオリジナル10には、伝統に裏打ちされた”底力”があるということだろう。

もっとも、チームの数が増えて戦力の均一化が進み、戦術の多様性が増してきた今では、どのチームが落ちても、もはや驚きはないのかもしれない。それでも、オリジナル10はJ1こそふさわしいというイメージを拭えないオーバー40の筆者にとって、やはり彼らの降格は衝撃的なのである。

今季、衝撃をもたらす危険性があるのは、清水とG大阪だ。昨季も低迷した清水は体制を変え、積極補強を敢行したにもかかわらず、過渡期のチームが産みの苦しみを味わっている印象だ。

一方で昨季は2位となったG大阪は継続路線で臨み、ACL参戦を見越して戦力アップを実現したが、よもやの低迷を強いられた。32節を終えて、勝ち点34で14位と残留圏に位置するものの、残り6試合で降格ラインとなる17位の湘南ベルマーレとの差は6ポイントで、安全圏には辿り着いていない状況だ。

もちろん開幕直後に新型コロナの影響で活動休止に追い込まれたことが、一番の痛手だっただろう。活動再開後にチームを再構築しようにも、スケジュールがひっ迫し、五輪中断期間中も試合をこなさなければならず、修正を図れなかった。

宮本恒靖監督の解任という大ナタを振るったものの、コロナの影響で外国籍監督の招聘が難しく、前回降格時の監督(松波正信)にあとを託すことしかできなかったのも痛恨だった。外的要因に影響を受け、チーム作りを思うように進めることができなかったのは不運としか言いようがないものの、そのエクスキューズも過酷なサバイバルレースでは通用しない。

10月16日に行なわれた第32節の浦和戦でも、G大阪はいいところがなかった。

終始ボールを支配され、何とか耐えしのぐも、アディショナルタイムにVAR判定でPKを与えて失点。最後に破綻し、慌てふためく降格するチームにありがちな光景を目の当たりにした時には「これはダメかもしれない」と心底思ったものだ。

ところがその直後にお返しとばかりにPKをもらい、同点ゴールを奪取。命拾いしたG大阪は、残留に向けて価値ある1ポイントを手にしている。

もっとも最低限の結果は得たものの、内容的には厳しい。シュート20本を浴び、決定機も数多く与えた。守護神の東口順昭の神がかったパフォーマンスがなければ大量失点での敗戦もやむなしだった。

一方で、得点の匂いはまるでしなかった。チャンスと言えるシーンは宇佐美貴史とウェリントン・シウバの個人技で生み出されたもので、PK奪取シーンもロングボールの処理を誤った相手DFのミスによるもの。ある意味、こちらも神がかっていた。

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