まさかの4位 久保建英と中井卓大の“共演”はあるか 次の「パリ五輪」こそ史上最強メンバー?〈dot.〉

史上最強の呼び声が高かった東京五輪のU-24サッカー日本代表。グループリーグでは、前評判どおりの強さを発揮し、参加チーム唯一の3連勝で決勝トーナメントに進出。その後、準々決勝ではPK戦の末にニュージーランドを撃破したが、準決勝で優勝候補スペインに0-1で惜敗すると、3位決定戦でもメキシコ相手に1-3で敗れ、53年ぶりのメダルを逃した。

まだ、東京五輪は終わったばかりだが、悔しい結果に終わっただけに早くも気になるのが、この「次」のパリ五輪の世代。オーバーエイジを除いて23歳以下が出場するサッカーでは、2001年1月1日生まれ以降が「パリ五輪世代」となり、東京五輪でも攻撃の中心となった久保建英(2001年6月4日生まれ)も該当する。当然、久保中心のチーム作りを進めたいが、その他にも能力の高い選手は多くいる。史上最強と言われた東京五輪日本代表から3年後、パリ五輪日本代表ではどのようなチームが出来上がるのだろうか。

最後尾のGKには、鈴木彩艶(浦和)が君臨するはずだ。2002年8月21日生まれ。ジュニア時代からレッズひと筋で育ち、トップ昇格1年目の今季、18歳6カ月で公式戦デビュー。飛び級で今回の東京五輪代表にも第3のGKとして選出された。ガーナ人の父を持ち、189センチ91キロ、筋骨隆々の肉体は貫禄たっぷり。至近距離からの鋭いシュートブロックだけでなく、飛距離抜群のキックとアメフトの“クォーターバック級”の長距離スローという他の選手にはない武器を持っている点も大きな魅力だ。

「吉田&冨安」の歴代最強コンビが解体されるセンターバックでは、次世代の注目株としてチェイス・アンリ(尚志高)への期待が急上昇している。2004年3月24日生まれ。3歳でアメリカに渡り、帰国後の中学1年時から本格的にサッカーを始めたという異色の経歴を持つ。それ故に技術面では荒削りな部分がまだまだ残るが、驚異的な跳躍力に代表される身体能力は圧倒的。磨けば必ず光る、特大のポテンシャルを持っている。その他では、今季Jリーグで開幕からレギュラーとして出場を続けている西尾隆矢(C大阪)が経験を積んでどう成長するか。対人プレーに強い鈴木海音(磐田)、高いボール奪取能力を持つ田中聡 (湘南)、青森山田高時代に名を馳せた藤原優大(浦和)、188センチ&左利きの田中隼人(柏)と候補者は多くいる。

サイドバックでは、アグレッシブにサイドを上下動する成瀬竣平(名古屋)、フィジカル自慢でCBも可能な高い守備力を持つ半田陸(山形)、さらに圧倒的なスピード&スタミナで“長友二世”に相応しい畑大雅(湘南)も楽しみな逸材だ。そして中野伸哉(鳥栖)は外せない。2003年8月17日生まれの現在17歳だが、2020年に16歳11カ月でJデビューを果たし、今年3月にはU-24日本代表に飛び級招集。今季のJリーグでも3バックの左としてクレバーな守備と高精度の左足を披露しながら日々、成長を遂げている。

ボランチも多士済々の面子が揃うが、守備面で能力を発揮するのが、松岡大起(8月2日に鳥栖→清水に完全移籍)だ。2001年6月1日生まれ。身長170センチとサイズ的にはやや物足りないが、“和製カンテ”とも呼ばれる圧倒的な運動量と高い危機察知能力でボールを奪い、すぐさま攻撃へと繋げ、清水に移籍前の鳥栖では既にチームの心臓としてプレーしていた。また、2002年2月16日生まれの藤田譲瑠チマ(徳島)、2002年8月13日生まれで先述の田中聡もボランチとして高い能力を持ち、ともに他のポジションでも対応可能な優れた戦術眼を持っている。

一方、攻撃面に特徴があるのが、山本理仁(東京V)だ。2001年12月12日生まれ。精度の高い左足に特徴があり、中盤の低い位置から長短織り交ぜたパスで攻撃のリズムを作る。さらに2003年4月30日生まれの松木玖生(青森山田高)も注目の一人。強靭なフィジカルを武器に、中盤での潰し役から攻撃の組み立て、フィニッシュと多彩な能力を持っている。何より、強靭なメンタリティーが成長を後押しするはずで、世界基準の万能MFとなれる可能性を持っている。

さらにMF陣では、2002年1月29日生まれの荒木遼太郎(鹿島)、2001年9月15日生まれの武田英寿(浦和)の2人も期待の逸材。優れたボールテクニックと高いインテリジェンスを持ち、久保とともに攻撃のクオリティーを高めることができるタレントだ。特に荒木は今季、アタッカーとしての能力を開花させており、今後3年間でどのように成長するのか非常に楽しみだ。この荒木だけでなく、松村優太(鹿島)、小田裕太郎(神戸)、西川潤(C大阪)、樺山諒乃介(山形※期限付き)とこの世代にもスピード、ドリブル突破に特徴のあるタレントが数多く揃っており、選択肢は多い。

あとは国際大会でより重要になるFW陣がどうなるか。2019年のU-17W杯出場組の若月大和(スイス/FCシオン)、唐山翔自(G大阪)と、同年のU-20W杯に飛び級で出場した斉藤光毅(ベルギー/ロンメルSK)がどこまで成長できるか。そして彼ら以上に進化してもらいたいのが、2001年8月4日生まれの櫻川ソロモン(千葉)だ。何といっても190センチ91キロというサイズ、ナイジェリア人の父譲りの強靭なフィジカルが魅力。彼がベルギー代表のルカク級に育てば、日本代表も“次の次元”に進むことができる。

そして忘れてはならないのが、スペインで武者修行中の中井卓大(レアルマドリード・フベニールB)である。2003年10月23日生まれ。9歳でレアルの下部組織に入団して以降、“ピピ”の愛称とともに順調にステップアップを果たし、昨年はトップチームの練習メンバーにも選ばれるなど現地メディアでも将来を嘱望されるMFとして取り上げられている。あと3年。様々なバックグラウンドを持つ国際色豊かな日本代表になる可能性が高いが、その中で数年前からネット上で騒がれてきた“バルサ育ち”の久保と“レアル育ち”の中井が、リアル“翼くん&岬くん”のゴールデンコンビとして、パリ舞台で「夢の共演」を果たすことになるかも知れない。

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