<ルーツ・日本代表>サッカー男子 GK谷晃生の「飛び級」人生 地に足のついた守護神
東京オリンピックのサッカー男子日本代表GK谷晃生(20)=湘南=は1次リーグ3試合すべてにフル出場し、準々決勝進出に貢献した。偶然始めたGKのポジションで何度も「飛び級」を繰り返し、大舞台で守護神をつかむまでになった。
幼稚園の年長からサッカーを始めた谷がGKを務めたのは小学3年の時。3歳上の兄が入っていたチームの人数が足りず、背が高かったという理由で「飛び級」でGKとして駆り出された。それが「意外と楽しくて」と翌年からはGK養成スクールに通い始めた。
中学からガンバ大阪の育成組織に入り、年代別の日本代表にも選ばれ、ユース所属だった16歳の時には若手主体のガ大阪U23の一員としてJ3に出場した。17歳でトップチームに「飛び級」で昇格。だが出場機会を得られず、2019年までガ大阪U23でプレーした。
20年、出場機会を求めてJ1湘南に1年間の期限付き移籍を決めた。「迷いはなかったか」との記者の質問に「僕のことを知らないところでサッカー選手として自分を試したいと思った。『ここで活躍する』という思いしかなかった」と振り返る。若手の多い湘南で守護神の座をつかみ、期限付き移籍期間を1シーズン延長して今季も湘南でプレーする。五輪世代ではフル代表経験もある1学年上の大迫敬介(22)=広島=が守護神だったが、その座を奪った。
湘南は昨季、J1最下位と苦しんだが、その半面、GKの活躍の場は多い。東京五輪が1年延期になる中で成長し、この間の意識の変化を「試合を積むごとに『うまくやろう、うまく見せよう』から、『はっきりとした判断でしっかりプレーする』と意識するようになった」と語る。
東京五輪の出場メンバーでは1学年下のMF久保建英(20)=レアル・マドリード=に次いで若い。自分より上の世代と一緒にプレーすることが多い「飛び級」人生を歩むが、「背伸びをせず、普段やることをやるだけ」と落ち着いている。活躍するたびに湘南、ガ大阪の両チームのサポーターがネット上で盛り上がりを見せる中、地に足をつけたプレーでチームを支えている。
◇たに・こうせい
2000年11月22日生まれ、堺市出身。TSK泉北(現TSK堺)サッカークラブからガ大阪ジュニアユース、ユースを経て17年12月にトップチームに昇格。20年から湘南でプレーする。元イタリア代表GKブフォンのファン。米大リーグの大谷翔平の影響力に憧れる。身長190センチ、体重84キロ。リンク元