林大地の逆転レギュラー定着も。FW“3番手”からの下剋上…2列目と関係良好で存在感は抜群

キリンチャレンジカップ2021が12日に行われ、U-24日本代表はU-24ホンジュラス代表と対戦して3-1で勝利を収めた。

この試合では4-2-3-1の1トップにFW林大地が先発起用された。もともとはバックアップメンバーとして選出され、FWでは“3番手”という立ち位置。直前でのルール変更がなければ、東京五輪本大会ではストライカー人に負傷などのアクシデントがなければベンチ入りのチャンスすらない選手だった。

ところが本登録メンバーとバックアップメンバーの入れ替えが自由になり、状況は変わりつつある。しかも現在はFW上田綺世が負傷離脱中で、ホンジュラス戦はFW前田大然も脳しんとうから復帰したばかりとあって、先発のチャンスがめぐってきた。

“ビースト”というあだ名がついたストライカーは、前線で抜群の存在感を放った。体格で優る相手ディフェンスにも強気の勝負を挑み、多少アバウトなボールでも懸命に競り合って懐に収める。最前線の起点となり、果敢な競り合いや堅実なポストプレーで2列目のアタッカー陣を献身的にサポートした。

右サイドで先発出場したMF堂安律は「本当にシンプルに2列目の僕たちに預けてくれる印象は練習からありました。大地くんも試合前からずっと『律のところに落とすから』と声をかけてくれていた。距離感もすごくやりやすかった」と、ガンバ大阪のアカデミー時代にともに戦った先輩との関係性に手応えを感じているようだった。

今月5日から行われていた静岡合宿では、上田や前田が全体練習にほとんど混ざれない状況で、ゲーム形式などになると林が1トップに入って堂安やMF久保建英、MF三好康児らと共にプレー。徐々に連係や連動の質を高めてきていた。

ホンジュラス戦に左サイドで先発した三好も「特にタケ(久保)や大地だったり、前の真ん中の選手にボールが入ったとき、そこにフリックで入るのか、逆に自分が触ってからワンツーで入っていくのかのイメージの共有は(2列目の)3人もFWも含めて、前半は特にできていたと思います」と、練習の成果を実感している。

「それぞれ個性がある。(前田)大然くんはスピードで押し込まれたときに前に運んでくれるのはチームとしてありがたい。(上田)綺世はクロス一発からのシュートだったり決定力がすごくある。今日、大地くんが見せたような、僕たち2列目を生かすようなポストプレーも必要。本当に前の選手が個性を出してくれれば、僕たち2列目が生きるのかなと思います」(堂安)

FWの3人は得意とするプレーが違い、それぞれに良さがある。ただ、ポストプレーや献身的な守備などが光る林は、A代表におけるFW大迫勇也やFWオナイウ阿道といったストライカーのイメージに最も近い。堂安や久保にとってはA代表でプレーする時と似た感覚でプレーしやすくなるのではないだろうか。

林本人も「(2列目には)気の利くうまい選手が多いので、すごくいい距離感で練習からやれてましたし、そういったものが今日の試合でもより多く出たのかなと思います」と好感触を得ている。

自らゴールを決めることはできなかったが、「やっぱりチームが勝つことが一番」と利他的な姿勢を貫き、フィニッシュの局面にはしっかり絡んだ。「最初はキープして強引に前を向いてシュートを打とうかなと思っていたんですけど、律がすごくいい位置に入ってきたのが間接的に見えたし、律も呼んでいたので、そこは迷うことなく律に出しました」と堂安のゴールもアシストした。

「その場その場に応じてポストプレーもできて、強引に前を向いて点も取れたら。いろいろできることがたくさんあるといいと思っているので、状況での使い分けはすごく意識しています」(林)

3番手の立場から一気にレギュラー定着の可能性も十分に秘めていそうだ。「自分よりデカい相手がこれからどんどん増えていく。そういった相手に対しての体のつけ方や重心は大学時代からしっかり練習してきたので、そこは今日も自信を持ってやることができました」と、林がホンジュラス戦で大きな手応えをつかんだのは間違いない。

今年3月に初めてU-24日本代表の一員となり、ごぼう抜きで東京五輪出場メンバーに滑り込んだどう猛なストライカーは、金メダル獲得を目指すチームのカギになるか。上田や前田は危機感を抱いているはずだ。

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