【解説】G大阪苦渋の決断 末期的雰囲気にレジェンド宮本監督解任

極度の成績不振に陥っていたガンバ大阪は14日、クラブの宝だった宮本恒靖監督(44)を事実上解任した。現役時代は日本代表DFや主将としてクラブの隆盛に最大限に貢献し、監督としても昨季は2位に躍進させた。レジェンドに対する解任は、クラブにとっては苦渋の決断だったに間違いない。

宮本監督就任4年目のG大阪は今季、開幕からここまで10試合を終え、1勝4分け5敗の18位に低迷している。総得点3は多くの新外国籍選手を補強し、多くの日本代表級のタレントを保持していたチームとすれば、目を疑う数字だった。

新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が3月に発生し、チーム作りが1カ月近く遅れた不運はあった。故障者が多かった事情もあったが、それらを言い訳にできないほどの成績不振だ。攻撃的なサッカーを目指す監督の思惑が、選手にうまく伝わっていないという関係者の指摘もあった。

直近の12日、2連敗を喫したサンフレッチェ広島戦の試合後、選手は自信を喪失した表情を浮かべていた。この末期的に映る雰囲気に、クラブは最後のカードを切るしかなかったと思われる。

今季は20チーム中で17~20位がJ2に自動降格になる特異な1年。6月にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)も控え、何より13年シーズン以来、2度目のJ2降格を阻止するために、時間は多く残されていない。秋に創立30周年を迎えるクラブは、タイトル獲得から一転、下方修正した目標に向けて再スタートせざるをえない。

宮本監督は18年7月、当時のレビークルピ監督の成績不振で緊急登板した。当時G大阪のU-23(23歳以下)監督を務めていた青年監督は、チームがJ2降格の危機に立ち、クラブの事情で前倒しでトップチーム監督に昇格していた。

宮本監督は結果的にもクラブの一大事を救い、18年は9位、19年は7位、20年は2位と右肩上がりの成績を収めた。2度のワールドカップ(W杯)出場で人気面でも貢献した現役時代に続き、指導者でもクラブに貢献した。今回、監督として初めての挫折となったが、年齢的にはまだまだ再挑戦できるはず。G大阪もその財産を大切にしてほしいと思う。

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