大阪ダービー直前特集 G大阪MF倉田秋「やられたらやり返さんと」インタビュー

5月2日にC大阪対G大阪の“大阪ダービー”が、ヤンマースタジアム長居で行われる。大阪府への緊急事態宣言発令のため無観客で行われるが、両クラブ、及びサポーターにとっては大きな意味を持つ一戦。スポーツ報知では両クラブの下部組織出身で、現メンバーではともにダービー最多出場のC大阪DF丸橋祐介(30)、G大阪MF倉田秋(32)にインタビュー。大阪を二分する“日本で最も熱い”ダービーへの思いを聞いた。(取材・構成 C大阪担当・種村亮、G大阪担当・金川誉)

G大阪在籍13年目。下部組織出身の背番号10は、今やクラブ最古参となった。大阪ダービーに勝つ喜びも、負ける悔しさも知り尽くしている。それでもライバルとの一戦を、倉田は「楽しい」と表現する。

「ダービーのプレッシャーは、選手としてはめちゃめちゃ楽しいんですよ。みんなも盛り上がってくれるから。今年はないけど、サポーターたちの応援、やり合いががすごいんで。それでいつもと違う、プラスのパワーが出るんですよ。いつもの試合も勝ったらうれしいけど、それ以上の感情を出せる、Jリーグのリーグ戦で唯一の試合。勝てたときは、めっちゃ興奮します。そんな試合です」

G大阪ユースからトップへと昇格し、今では長くチームの主力を担う倉田。しかしプロ入りから3年間は当時MF遠藤、二川らで構成された“黄金の中盤”に割って入ることはできず、ポジションを奪えなかった。11年は期限付き移籍したC大阪でプレー。これまで一番印象に残っているのは、敵としてG大阪と対戦した自身初のダービーだという。

「あの試合は今でも一番、覚えてますね。試合前は楽しみしかなかった。だけど始まってみたら、それまで練習でやっていた紅白戦と、公式戦のガンバは全然違うというか、めっちゃ強いんや、と感じたのは覚えています。おれもゴールを決めたけど、最後ヤットさんに決められて負けた。全然実力が足りてなかったんやな、と、実感した試合でした」

その後は復帰したG大阪で主力へと成長し、数々の勝利に貢献してきた。19年5月には負ければ最下位転落、という苦しいチーム状況の中、自身のゴールで大阪ダービーの勝利に導いた試合もあった。しかしここ3試合は未勝利。中でも昨年コロナ禍からの再開となった7月4日のダービー(パナスタ)で、1―2と敗れた試合は強く印象に残っているという。

「ホームでの無観客試合は、何もさせてもらえへんかった。相手に、すべてにおいて上回られた試合という印象がある。あれは悔しかった。今回は相手のホームで無観客。少しあの試合と似ているところもある。やられたことはやり返さんと、という気持ちもある」

その一戦ではC大阪DF丸橋に決勝点を奪われた。C大阪時代には、食事に行くなど親しかったライバル不動の左サイドバックに、倉田は警戒心を強める。さらにC大阪のキーマンとしては、当時はポジションを争ったライバルでもあったMF清武の名を挙げた。

「マル(丸橋)は俺が(C大阪に)いたときは若かったし、誰にでも絡める、かわいらしい感じ。今はどういう立ち位置かわからないですけど、試合見ている限りチームを引っ張っている。左足という武器もある。当時からクロス、キックはうまかったし、スプリント能力というか、ごりっといける身体的な強さもある。今は経験を重ねて、すごくいい選手になっている。攻撃のキーマンはキヨ(清武)ですよね。キヨが調子いいか、悪いかで、けっこう変わってくるチーム。キヨにボールを持たせたら嫌やな、というイメージ」

また倉田は、C大阪のレヴィー・クルピ監督との縁も深い。C大阪時代の恩師でもあり、18年にはG大阪の監督も務めたが、シーズン途中で解任に。お互いに手の内は知る中で、今季のC大阪がみせる隙も見逃していない。

「クルピに対しては感謝しかない。セレッソでも育ててもらって、ガンバではクルピのサッカーを出し切れずに申し訳なかった、という感情。今年のセレッソは、去年からのいい守備をしつつ、まだ攻撃のところはそこまで合っていない印象もある。今は逆にチャンスかもしれない」

今季G大阪はここまでわずか1ゴールと、得点力不足の中で迎える大阪ダービー。しかし過去には何度も苦しい流れを、ダービーの勝利で変えてきた歴史もある。

「ファンの人たちの思いは、ひしひしと感じている。今また緊急事態宣言で、家で見ている人はいつもより多いかもしれない。ガンバはいいチーム、見ていて楽しいなという試合をみせたい。流れを変える、そこに一番、もってこいの舞台。この状況にはなりたくなかったですけど、悪い流れを変えられる可能性がある試合なので、殻を破っていくような試合をみせたいです」

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