W杯2次予選で日本代表に呼ばれる国内組「オーバー24」は誰か?
3月30日にワールドカップ2次予選のモンゴル戦を控える森保ジャパン。25日に予定されていたミャンマー戦は延期となったが、実現すれば昨年11月以来(オーストリアでのメキシコ戦)、日本国内では実に2019年11月19日のベネズエラ戦以来の日本代表戦になる。
とはいえ、現在も世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、ヨーロッパでプレーする選手を招集できるか否かは依然として不透明な状況だ。しかも今回は、東京五輪を目指すU-24代表の活動(3月26日&29日/vsU-24アルゼンチン戦)も同時に行なわれる。同代表とA代表を率いる森保一兼任監督にとっては、国内組だけで2チームを編成するという難しい選択を強いられそうだ。
東京五輪世代のアンダー24(U-24)代表の対象は、1997年1月1日生まれ以降の選手。つまり、単純に年齢で2チームを分けて編成した場合、今回のモンゴル戦でA代表の対象になるのは、国内でプレーするオーバー24、1996年12月31日生まれ以前の選手ということになる。
現状、森保監督はA代表とU-24代表で同じ選手を併用させる案も想定しているようだが、いずれにしても、A代表の多くはオーバー24で占められることになるだろう。
では、国内組のオーバー24でA代表を編成する場合、いったい誰が名を連ねるのか? あらためて招集が予想される候補選手を、基本布陣の4-2-3-1に沿って整理してみたい。
まずGKのポジションだが、最近のJリーグでは外国人選手と若手の台頭が目立っているため、対象となる選手は限定的だ。
そんななか、正GK候補筆頭になるのは、今季から国内復帰を果たした清水エスパルスの権田修一(32歳)か。そのほかにも、ガンバ大阪の東口順昭(34歳)、浦和レッズの西川周作(34歳)と、経験豊富なベテランが中心になりそうだ。
センターバックでは、森保ジャパン経験者の畠中槙之輔(横浜F・マリノス/25歳)や、G大阪の三浦弦太(26歳)、昌子源(28歳)が有力。ただし、昌子のコンディションが上がってこない現状を考えると、成長著しい名古屋グランパスの中谷進之介(3月24日で25歳)の招集も十分に考えられる。
対人の強さと守備センスが光る中谷は、2年連続リーグ戦連続出場を更新中の注目株。森保ジャパンで要求されるビルドアップ能力も高いだけに、このタイミングで試してみたい選手のひとりだ。
そのほか、川崎フロンターレのキャプテンを務める谷口彰悟(29歳)も、当然ながら招集候補になるはず。初招集としては、抜群の身体能力を生かした対人の強さに定評のある野上結貴(サンフレッチェ広島/29歳)も面白い存在。ただ、今季から慣れない右サイドバックにコンバートされ、まだプレーに迷いが見られるのがマイナス材料か。
右サイドバックは、川崎でブレイク中の山根視来(27歳)が筆頭株。もちろん、川崎と代表ではサッカーのスタイルが異なるため、慣れるまでには時間を要すると思われるが、これだけの攻撃バリエーションを持つサイドバックを使わない手はない。
逆に山根以外の招集候補は、いずれも決定打を欠く。現状では、本職のボランチからのコンバートが成功した小泉慶(鹿島アントラーズ/25歳)、労を惜しまない上下運動とクロスが特長の松田陸(セレッソ大阪/29歳)、かつてU-23代表でプレーした経験を持つ松原健(横浜FM/28歳)などが呼ばれる可能性もある。
左サイドバックでは、森保ジャパンで代表デビュー戦ゴールを決めた浦和の山中亮輔(27歳)を筆頭に、鹿島でレギュラーを確保した攻撃的左サイドバックの永戸勝也(26歳)、あるいはハリルジャパン時代に代表デビュー済みのベテラン藤春廣輝(G大阪/32歳)あたりが候補か。
ここで試してみたいのが、堅守名古屋が誇る左サイドバックの吉田豊(31歳)だ。2008年にヴァンフォーレ甲府でデビューして以来、清水、サガン鳥栖、そして現在の名古屋で年々進化を遂げる吉田は、小柄ながらデュエルに強く、ハイレベルな守備が自慢。また、機を逃さない攻撃参加とクロス供給にも定評があり、これまで代表経験がなかったことが不思議なほど。国内組だけで編成される可能性が高い今回は、絶好のチャンスだ。
一方、ボランチは激戦区だ。まず、過去の招集経験などから可能性が高いと予想されるのは、井手口陽介(G大阪/24歳)、山口蛍(ヴィッセル神戸/30歳)、三竿健斗(鹿島/24歳)の3人。国内のボランチを見渡しても、この3人の招集に疑問の余地はないだろう。もちろん、ケガさえなければ川崎の大島僚太(28歳)もここに加わったはず。
そこで、大島の穴を埋める候補として浮上するのが、名古屋の稲垣祥(29歳)だ。稲垣は昨年加入初年度でスタメンを確保すると、コロナ禍による超過密日程にもかかわらず、運動量を要求されるボランチでリーグ戦全34試合に出場。守備では米本拓司(30歳)とのコンビで攻撃の芽を摘み、チャンスと見れば攻撃にも参加する黒子タイプだ。甲府、広島を経て、新天地でも着々と進化を遂げているだけに、招集する価値は十分にある。
そのほかでは、扇原貴宏(横浜FM/29歳)、原川力(C大阪/27歳)らも招集候補だろう。
2列目右ウイングのポジションでは、昨季C大阪でブレイクした坂元達裕(24歳)が鉄板だ。年齢的には東京五輪対象を外れるものの、まだ伸び盛りの有望株で、切れ味鋭いドリブルが魅力。森保監督もC大阪戦の視察をしており、招集は濃厚と見られる。
その他の候補としては、右サイドバックやウイングバックもこなせるハードワーカーの小野瀬康介(G大阪/27歳)が挙げられるが、やはり王者川崎の攻撃の中心であるベテラン家長昭博(34歳)を無視することはできない。年齢を考えると森保監督が招集する可能性は高くないが、今最も旬なアタッカーであることは間違いなく、モンゴル相手に攻撃のアクセントとなることは確実だ。
左サイドでは、冒頭のベネズエラ戦で代表デビューした古橋亨梧(神戸/26歳)、代表経験豊富な宇佐美貴史(G大阪/28歳)の招集が有力。それ以外では、浦和で成長中の汰木康也(25歳)、ポリバレントな東慶悟(FC東京/30歳)あたりも招集に値する戦力だ。
1トップ下で有力視されるのは、C大阪でトップフォームを維持する清武弘嗣(31歳)の代表復帰と、進境著しい柏レイソルの江坂任(28歳)の代表デビューだ。とくに江坂はオルンガとのコンビでさらにプレーの幅を広げた印象で、好不調の波が少ない点が魅力のひとつ。パスセンス、得点感覚も十分で、森保監督のリストに名前があるはずだ。
そのほかでは、フリーキックという貴重な武器を持ち、ベルギーリーグも経験した横浜FMの天野純(29歳)も招集候補。仮に今回出場すれば、森保ジャパンの初陣となった2018年9月のコスタリカ戦以来、自身2キャップ目となる。
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1トップは、森保ジャパン経験者の永井謙佑(FC東京/32歳)と小林悠(川崎/33歳)のベテランふたりと、2019年11月に招集されたオナイウ阿道(横浜FM/25歳)が有力候補。また、JFLから各カテゴリーを経験してJ1神戸まで上り詰めた藤本憲明(31歳)も面白い存在で、仮に藤本が代表デビューを飾れば、日本の多くのサッカー選手の希望の星となることは間違いないだろう。
果たして、森保監督はどのようなA代表メンバーを編成するのか。特別な状況下で行なわれる日本代表戦だけに、いつもとは違った顔ぶれが見たいものである。