ガンバ宮本監督が目指す変化「2点目、3点目を狙える戦いをしたい」

ガンバ大阪宮本恒靖監督インタビュー

2月12日。沖縄キャンプ最終日の前日に取材に応じたガンバ大阪の宮本恒靖監督は、2週間弱のキャンプで積み上げたチームとしての”自信”を言葉に変えた。

「昨年は1点差勝利が17試合ありましたが、これは勝負強さを示せたとも言えますし、追加点を取れなかったという見方もできます。実際、試合のラスト10分では、攻め切って追加点を狙うというより、守り切る展開になることが多かった。

もちろん、だからこそ勝ち切れた試合もあるだけに、試合によってはそういう戦い方も大事に考えたいですが、攻撃での成長を求めるためには、後半の途中で2点目を、さらに終盤には3点目を狙えるような戦いを目指したい。サッカーはボールを持つ時間を競うスポーツではないので、ボールを持つことだけに固執したくはないですが、ボールを持つことはチャンスの数をより多く作り出し、守っている時間を減らすことにつながります。

だからこそ、ボールを持ちながら相手をどこまで引きつけられるのか。余裕を持って時間を作り出せるのかを突き詰めていきたいと考えています」

それを実現するべく、今シーズンも新たな戦力を獲得。中盤には2年越しのラブコールとなった韓国代表ボランチ、チュ・セジョンを、前線にはJ1での経験もある点取り屋、レアンドロ・ペレイラチアゴ・アウベスを加え、期限付き移籍で経験を積んだFW一美和成(横浜FC→)もレンタルバックとなった。

また、代表クラスのセンターバック陣がそろう守備陣にも、明治大学から即戦力と期待されるDF佐藤瑶大を、レンタルバックのGK林瑞輝(レノファ山口→)を加え、さらなる層の厚さを実現した。今シーズンは4年ぶりのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の戦いが待ち受けると考えても、既存の選手を含め心強い顔ぶれがそろったと言えるだろう。

そのACLのグループステージの相手は、全北現代(韓国)、タンピネス・ローバーズFC(シンガポール)、シドニーFC(オーストラリア)に決まった。2月25日にグループステージのマッチスケジュールが発表されたばかりだが、まずもっての目標となる同ステージ突破に向けて、どんな準備を進めていくのだろうか。

「アジアの戦いは、常々”重たさ”を伴います。1対1のぶつかり合いはもちろん、1シーンごとの激しさに”重たさ”があって、それに面食らわないチーム、個人としてのパワーや強度が求められます。

それを、日々の練習から意識づけしていかなければいけないと思っていますが、正直、現時点では『とにかくベストを尽くす』という以外に、多くを伝えることはできません。まずはチームとしてのベースを築いていくことに集中したいと思います」

その言葉を聞く限り、まずは国内のリーグ戦でチーム、個人のパワーアップを図り、新戦力を融合しながらチーム力を高め、それをアジアでの”結果”につなげていくことになりそうだ。その基盤に、今シーズンのスローガン『TOGETHER as ONE』になぞらえたマインドの定着を促しながら。

「ガンバのために、チームの勝利のために戦えるか、走れるか、というハードワークの部分をベースにしながら、選手それぞれの個性をパフォーマンスとして発揮すること。同じ方向を向いて戦えるチームになることが”闘える”集団への成長を促すと考えています。

実際に昨年も、いい戦いができた試合、苦しい展開ながらも勝ち切れた試合は確かにそう言ったマインドが宿っていました。それを継続して出せるチームになっていけるように、”チームのために”というマインドがガンバの根底に流れる血となっていくように、チームづくりを行なっていきたいと思います」

昨年、築き上げた守備力をベースに、クラブアイデンティティでもある”攻撃”でのパワーアップを目指す新シーズン。”宮本ガンバ”としてはその先に、いまだ実現できていない”タイトル”を明確に見据えている。

宮本恒靖(みやもと・つねやす)1977年2月7日生まれ。大阪府出身。現役時代はガンバ大阪、オーストリアのザルツブルク、ヴィッセル神戸でプレー。日本代表でも活躍し、2002年、2006年のワールドカップに出場。2011年に現役引退。その後、ガンバのアカデミーコーチなどを経て、2018年のシーズン途中からトップチームの指揮官に就く。

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