ガンバ大阪 取材カメラマンが狙う!Jリーグ2021注目選手(13)
J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。
◎ガンバ大阪
遠藤保仁が今年もジュビロ磐田でプレーすることが決まり、生まれ変わりを強く感じさせるガンバ。宮本恒靖監督体制で3シーズン目となった昨年はショートカウンターが目立っていた。現在のトレンドである高い位置でのボール奪取を武器に、運動量と激しさ、そして縦への速さを見せて2位の座を手に入れた。
今年はそのスタイルをより強め、6年ぶりのタイトル獲得を目指す。
J3に参戦していたU23チームはその役割を終えたが、そのタイミングもまた、トップチームが生まれ変わることに一役買うことになる。U23があればプレー時間を伸ばすことを優先させて主にJ3で修業を続けたであろう期待の若手たちが、チームがなくなったことでトップチームの選択肢として横一線に存在する。試合経験も大切だが、上のレベルでプレーすることは一気に才能を開花させることに繋がる。
そしてそれは、若い力を引き出し、しかもそれに負けないためのプレーをしなければならない中堅の選手たちのパフォーマンスを高めることになる。若い選手が力を発揮することと中堅の選手が真価を発揮することが同時に起これば、タイトルは自ずと近づいてくる。
天皇杯では決勝で川崎フロンターレに敗れた。勝ち点が離れていたとはいえ、リーグ戦優勝も目の前で決められた。悔しさを溜め込んで迎えるクラブ創設30周年の今シーズン、宮本監督が初タイトルを手にすることで、新しい時代が始まったことをはっきりと示したいところだ。
■注目選手(1) MF:矢島慎也
山本悠樹や奥野耕平が台頭したセントラルミッドフィルダーにおいて、彼らより前にポスト遠藤として期待されたのが矢島だった。
2012年に浦和レッズでキャリアをスタートさせた時から、矢島はその才能を常に期待されてきた。毎年レギュラー候補に名が挙がり、矢島がハマれば強いチームになる、と言われることも多かった。しかし、フル稼働したのはJ2のファジアーノ岡山に武者修行に出た時だけだった。
ガンバに移籍した2018年も、やはり期待されながらも定位置を掴むことができなかった。U23チームでプレーするようになり、夏にはベガルタ仙台に期限付き移籍で活躍の場を求めた。仙台ではすぐに先発で起用されたが、怪我で長期離脱をしてしまい、満足にプレー時間を得られままシーズンを終えてしまった。
2019年、5月18日の大阪ダービーで遠藤に代わって3バックの前のポジションを任されると、持ち味である3列目からのゲームメイクでチームに安定感をもたらした。これによって矢島はようやくポジションを獲得し、J1でキャリア最多の20試合に先発出場を果たした。それまで、2017年に浦和で7試合に先発したことが最多だった矢島にとって、ようやく主力として戦ったと言えるシーズンになった。
そして2020年、ついに矢島がチームの主役になる時がやってきた、はずだった。ところが、怪我で離脱をすると、その間に山本悠樹が一気にポジションを獲得した。遠藤がチームを離れても、今度は奥野耕平が台頭、矢島は2019年よりも少ない18試合の先発にとどまった。 このまま終わるわけにはいかない。
ようやく確保しかけた主力の椅子、そして見えていた主役の座、それを再び追い求める様子を見逃したくない。
■注目選手(2) MF:小野瀬康介
サイドアタッカーでありながらゴールに向かうプレーが得意で、2019年には7ゴールを記録している。2020年は2ゴールと数を落としたが、放ったシュート数は変わっていない。苦しい時間帯にハードワークし続けられる選手でもあり、相手を攻守両面で疲れさせ、その積極的なプレーが味方を盛り立てる。
戦術的なアップデートを続けているガンバにとって、その存在は替えの利かないものだ。
高い位置でのボール奪取からのショートカウンター、という戦い方をするにあたって、小野瀬は欠かせない。用意しておいたプランが上手くいかない場合でも、小野瀬がいれば簡単には破綻しない。修正を加える際にも、小野瀬は3バックでも4バックでも関係なく良さを発揮してくれる。 いなくなったらチームが最も困る選手、それが小野瀬だ。
カメラマンとしては、プレー中の顔から気迫が伝わってくるのも魅力になっている。