“大満足”の補強となったチームも! J1ストーブリーグ通信簿2021〈dot.〉

Jリーグのシーズン開幕まで残りわずか。コロナ禍での調整、対策、影響を受けながらも、J1は2月26日の開幕から12月4日の最終節まで長丁場の熾烈な戦いが続く。昨季はシーズン中断の後の過密日程の中、川崎が圧倒的な強さを見せてJリーグ史上最速優勝を達成。迎える今季、「ストップ・ザ・川崎」のチームは現れるのか。4チーム自動降格という残留争いはどうなるのか。J1全クラブのオフシーズンの選手補強を査定(良い方からA・B・C・D・Eの五段階)し、3日間にわけて紹介する。今回は横浜FM、横浜FC、湘南、清水、名古屋、G大阪、C大阪の7チーム。

■清水「A」

名将ロティーナを迎え入れた今季、主力の残留に成功すると同時に多くの実力者を大量に補強し、過去2年の低迷から一気に上位進出を伺う構えだ。GKは日本代表で実力に疑いの余地がない権田修一(←ポルティモネンセ)、CBに新リーダーとして期待される28歳DF鈴木義宜(←大分)、左SBに昨季ロティーナの下で32試合に出場したDF片山瑛一(C大阪)、中盤にも東京五輪代表候補で様々なポジションをこなせるマルチMF原輝騎(←鳥栖)、右サイドの仕掛け人であるMF中山克広(←横浜FC)と主力級を補強。FW陣も今季ポルトガル1部で9試合7ゴールと爆発していた左利きのブラジル人チアゴ・サンタナ(サンタ・クララ)が加入し、他にも、指宿洋史(←湘南)、ディサロ燦シルヴァーノ(←北九州)と控えの確保にも余念がなかった。

懸念は連携不足になるが、試合を重ねることで解決されるはず。守備組織の構築はロティーナ監督のお手の物で、権田の存在は非常に心強い。安定した守備を手に入れ、10番を背負って昨季10得点を挙げたカルリーニョス・ジュニオと新加入のチアゴ・サンタナの2トップが機能すれば、台風の目となれるはず。その可能性を感じさせる大満足のオフを過ごした。

■名古屋「A」

昨季3位でACL出場権を得たチームは今オフ、周囲を驚かせる補強を次々と成功させた。新エース候補として天才FW柿谷曜一朗(←C大阪)、新たな切り札としてMF齋藤学(←川崎)、攻守において確実に貢献できるMF長澤和輝(←浦和)と元日本代表3人を獲得。さらにCBとボランチでプレー可能なDF木本恭生(←C大阪)、左右両サイドをこなすDF森下龍矢(←鳥栖)という実力者も確保し、組み合わせのバリエーションは大きく増加。レンタルで加入中だった金崎夢生も完全移籍で獲得した。

チームを去った戦力も、MFジョアン・シミッチ、MF長谷川アーリアジャスール、DFオ・ジェソクとわずか。守備ベースは昨季から変わらず、そこに“違い”を生み出せるタレントたちが加わったことで、チーム全体がどのような化学反応を引き起こすかが非常に楽しみ。戦力値は間違いなくアップし、特に柿谷と齋藤の2人は前所属チームでは不遇をかこっていただけに、新天地でのモチベーションも人一倍。新たな刺激と2チーム分の戦力を持って、堂々とJの優勝争いとACLに挑戦できるはずだ。

■G大阪「A」

昨季2位のチームが目指すものは頂点のみ。宮本恒靖監督の下でチームとしての継続性を保った上で、高さとパワーを持つ大型FWレアンドロ・ペレイラ(←広島)、強烈な左足を持ち、右サイドでもプレー可能なFWチアゴ・アウベス(←鳥栖)とJリーグで実績のあるブラジル人2人を獲得して前線のバリエーションを増やした。現役韓国代表で2018年のロシアW杯にも出場したMFチュ・セジョン(←FCソウル)が中盤の強度を上げる。アデミウソンが予期せぬ形でチームを去ったが、その穴は埋まり、さらにパワーアップしたと言える。

主力勢ではFW渡辺千真がチームを去ったが、代わりに東京五輪世代のFW一美和成(←横浜FC)がレンタル先で成長して3年ぶりに復帰。新人はDF佐藤瑶大(←明治大)のみで、U-23チームの解散もあって将来性のある多くの若手たちが他チームに移籍したことは残念だが、トップチームの陣容を見れば致し方なし。さらに元アーセナルのブラジル人MFウェリントン・シウバとの合意報道もあり、この実力者の加入が正式に決まれば、2014年以来のリーグ制覇への準備は整い、2008年以来のアジア制覇への期待も高まることになる。

■C大阪「D」

昨季4位ながら監督も含めて多くの選手が入れ替わり、判断が分かれる不可解なオフを過ごした。獲得した面々を見ると、決して悪くはない。オーストラリア代表のFWアダム・タガード(←水原三星)、ブラジル人CBのチアゴ(←セアラーSC)の外国人2人に加え、2019年に日本代表選出経験のあるCB進藤亮佑(←札幌)、ボランチの位置で高いゲームメイク能力を発揮するMF原川力(←鳥栖)、豊富な運動力で攻撃を活性化するFW松田力(←甲府)、昨季J2で13得点を挙げたFW加藤陸次樹(←金沢)、そして歴代最多のJ1通算185得点のFW大久保嘉人(←東京V)が15年ぶりに復帰。東京五輪候補になるMF松本泰志(←広島)も期限付きで獲得し、確実にチームに貢献できる面々を揃えたと言える。

しかし、その代わりに放出した面々が、守備の要だったDFマテイ・ヨニッチを筆頭に、DF木本恭生、MFレアンドロ・デサバト、そしてFW柿谷曜一朗という実力者たち。何より、彼ら以外も含めてチームの半分が新加入選手という点が、昨季4位のチームとしてはいかがなものか。賞味期限切れの疑いがあるクルピ監督の再々就任も含めて、気がかりな部分が多いオフだと言える。

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