ガンバ大阪「理想」を捨てた「割り切りサッカー」で19年ぶりに鬼門突破!
■10月10日/J1第27節 FC東京―G大阪(味の素) 鬼門を破った! 2001年以来、敵地で勝てていなかったガンバ大阪のFC東京戦は、台風の影響による豪雨の中で行われた。水たまりの中でボールが幾度となく止まる最悪のコンディションに加え、サガン鳥栖とのアウェイ戦から中2日での関東でのアウェイ戦。FC東京は上位争いをするうえで負けられない相手だけに、宮本恒靖監督は試合前のミーティング冒頭で「割り切ろう」と伝えたという。
「今日に関しては、通常我々がやりたいサッカーはもう割り切って、表現せずに、相手のDFラインの背後、ボールが止まるであろうというところとボックスにボールを入れていこう」と方針を決定し、選手に伝えたという。 本来は互いにボールを奪い合い、ボールを回してゲームを作るはずのピッチ中央は、まさに湖上といっても過言ではない状況で、水面ができていた。選手が走るたびに水しぶきが上がり、上から見ていては分からないかもしれないが、ピッチレベルで見るとボールと選手が水しぶきと雨に隠れて判別しづらいほどだった。
G大阪は宮本監督の言葉通り、“割り切るサッカー”を試合開始時点から遂行。開始3分のFWアデミウソンのヘディングシュートは、MF福田湧矢が左サイドでボールを受けると、崩す前の段階でクロスを入れたものだった。 また、重馬場の環境でFWパトリックの強さも効いた。2戦ぶりの先発となったブラジル人FWは要所で高さと強さを発揮。ボール際の勝負で何度も競り勝った。中盤ではMF井手口陽介とMF山本悠樹が前線への攻め上がりを自重してボールの回収に徹したことでバランスとリズムを作ったが、それができるのも、FWアデミウソンやFW宇佐美貴史といった、前線に個人で違いを作れる選手をそろえたからだ。 ルヴァンカップ準決勝で川崎を破ったFC東京に何度かチャンスを作られたものの、DF陣とGK東口順昭が体を張って守った。豪雨で決してサッカーをする環境ではなかった味の素スタジアムを、味方につけたのだ。 これでG大阪は6連勝。FC東京との勝ち点差は「3」だが、試合数は3試合少ない。そのため、天皇杯に出場するための2位以内にグっと近づいたことになる。次節は、ホームに横浜Mを迎える。川崎に次ぐ2位の座を力づくで奪取するために、アタッキングサッカーが復活しつつあるトリコロール軍団を退ける自信はある。