「三笘がまた2点? 浮かれてられない!」G大阪の大卒ルーキー、山本悠樹がJ1初先発で漂わせた“大物感”

指揮官ツネは「あの高さまで行けたのは評価したい」

[J1リーグ第14節]仙台 1-4 G大阪/9月5日/ユアスタ

今季初めて3得点以上を奪ったガンバ大阪が、敵地・ユアテックスタジアムで快勝を収めた。

その一戦で鮮烈なパフォーマンスを披露したひとりが、大卒ルーキーのMF山本悠樹だ。レギュラーを張っていた矢島慎也の突然の負傷離脱により、3-1-4-2システムのアンカーの先発に抜擢登用された。今季はここまでJ3でのスタメンこそあるが、J1は途中出場で5試合に出場したのみ。しかもいずれも数分程度だ。井手口陽介の位置をひとつ下げるか、それとも遠藤保仁に出番を与えてもいい状況で、宮本恒靖監督はあえて22歳の技巧派に大役を任せたのだ。

そして、指揮官の采配が見事に的中する。

2列目の倉田秋、井手口と巧妙に連動しながら、山本は見事にチームのハイプレスを促進。ボールを奪っては素早く散らして局面を前へ進め、きわめて冷静沈着にゲームを牛耳った。

圧巻だったのは、先制されて迎えた開始8分の一撃だ。一気のカウンターから自身もオーバーラップを仕掛けた山本は、敵バイタルエリアでこぼれ球を拾う。マーカーをひとりかわしてシュートコースを見出すと、ゴールまで20メートルの位置で右足を一閃! 地を這うようなグラウンダーのミドルを蹴り込んだのだ。

記念すべきJ1初ゴールとなったが、派手に喜ぶこともなく、謙虚に右手でガッツポーズ。山本は「今日はアンカーやったんですけど、相手のペナルティーエリア付近にどれだけ入っていけるかを意識してました」と振り返り、「普段からミドルシュートの練習もしてたし、相手が飛び込んでくるのも冷静に見えた。で、切り返した瞬間、コースが開くのも見えた。あとは力まずにしっかり当てることだけを意識して振り抜きました」と、少し早口ながら饒舌に“解説”してみせた。

90分間を通してみれば、ミスも散見された。判断が遅れてボール逸する場面もあった。それでも、ゲームの主導権がめまぐるしく変わるなかで攻守両面に堂々と振る舞い、チームの4-1大勝に貢献したのだからあっぱれだ。

宮本監督は「矢島の怪我があってユウキに(代わりを)務めてもらうことになったんですが、ボールを受ける場所、それを見つける良さ、プレッシャーをいなす良さ、守備面でもしっかり相手に食らいついていた」と称え、「一定以上のものを出すと期待して起用はしましたけど、ゴールの場面ですね、あの高さまで行けたのは評価したい」と目を細めた。

「やっぱりJ3と比べて数倍は上だなと感じました」
草津東高校、関西学院大学の出身で、昨年6月にG大阪への入団が内定。その直後の7月、イタリア・ナポリで開催されたユニバーシアードに日本代表として出場し、主軸として金メダル獲得に寄与する。帰国後に日本サッカー協会の特別強化指定選手となり、G大阪のトレーニングに加わった。

プロになってからもやはり気になるのは、ユニバーシアードを共に戦った同級生たちの活躍だ。上田綺世(鹿島アントラーズ)、三笘薫、旗手怜央(ともに川崎フロンターレ)たちで、いずれも所属チームですでに存在を示している。

「ユニバーシアードで一緒にやってた、それこそカオルとかレオとかが、Jリーグ再開してから活躍してる一方で、自分はなかなか試合に絡めない、出ても最後の短い時間という状況でした。正直、めちゃくちゃ悔しかった部分はあります。自分もチャンスをもらえたら、結果で応えないといけないと思っていたので、そこはひとつ、ホッとしてます。でも……、今日もまたカオルが2点取った(横浜F・マリノス戦で)とか言ってるんで、浮かれてはいられないですね」

J1で88分間プレーしたからこそ、実感できた部分があるという。

「今日は監督から、ビルドアップのところで中継役になる、相手の推進力がある選手に対してしっかり守備のところで負けないようにする、そして、運動量を活かして相手の脅威であり続けるようにと言われてました。やっぱりJ3と比べてJ1は、個々の選手の能力や守備の強度、感じる圧なんかも数倍は上だなと感じました。落ち着いてプレーしようと自問しながらやってたんですが、あの(早い時間帯の)得点シーンで落ち着けたのが良かったです」

試合直後のフラッシュインタビューでも、聞き手の矢継ぎ早な質問に対して、的確かつ丁寧に自分の言葉で答えていた。そうとうに頭の回転が速く、戦術理解度も深い。今季好調でレギュラーの矢島も、決して安泰とは言えなくなってきた。

タレント揃いのG大阪の中盤に、またしても台頭したニュースター。若手登用に自信を深める宮本監督にとっても、してやったりのハイパフォーマンスだった。

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