中村敬斗、世界的DFとの対戦で“欠点”認識 「圧がすごかった」…新天地で走力アップ追求
【中村敬斗インタビュー|第2回】STVVに移籍、練習試合でベルギー代表DFコンパニと対峙
若き才能が今夏、新たな挑戦の舞台に立つ。昨夏、Jリーグのガンバ大阪からオランダ1部FCトゥウェンテへ期限付き移籍したFW中村敬斗が、今季ベルギー1部シント=トロイデンVV(STVV)に加入した。9日に新シーズンの開幕を迎えるなか、中村が「Football ZONE web」のインタビューに応じ、初めての海外挑戦となったオランダでの経験や、盟友である日本代表MF久保建英などについて語った。第2回となる今回は、「新天地で描くビジョン」を明かした。
欧州で過ごす2シーズン目、中村はベルギーを新たな挑戦の地に決めた。海外初挑戦となったオランダのFCトゥウェンテでは、昨年8月のPSVとの開幕戦(1-1)で鮮烈なデビュー戦ゴールを挙げると、続く第2節のフローニンゲン戦(3-1)でも得点。だが、ウインターブレイク明けから徐々に出番を失い、最後は新型コロナウイルスの影響でリーグ打ち切りが決まった。欧州1年目はシーズン17試合4得点。結果に満足していない中村は、勝負の2年目をベルギーリーグで戦うことを決め、飛躍を誓った。
「目標はもちろん2桁ゴール、2桁アシスト。これはマストで達成したいです。20歳でこれを達成できたら将来的にも欧州でいろんなオファーをもらえると思うので、メラメラしています。絶対やってやるという気持ちです。そのための準備もしてきました」
ベルギーリーグの開幕は8月。昨季は3月上旬に新型コロナウイルスの影響でリーグが中断、そのまま打ち切りとなったため、ブランクも長い。チームへ合流して間もないなか、コンディションの回復や戦術へのフィットなど求められることは多い。STVVでの実戦デビューは名門アンデルレヒトとの練習試合。いきなり、監督兼選手を務めるベルギー代表DFヴァンサン・コンパニとマッチアップしたという。
「僕が左ハーフでコンパニは右センターバックだったので、自然と当たりました。圧がすごかったです。大して当たられていないのにミスしちゃう。2回ぐらいあったと思います。僕の実戦が久々というのもあったけど、間違いなく特別でした。オーラもあったし、あれだけ凄い選手なのに紳士でした」
ベルギーでも走力を“特訓” 「高い強度で鍛えていく必要がある」
世界的なプレーヤーと対峙したことで、自身の足りないところも自覚した。ベルギーでもトレーナーについてもらい、走力アップのために高い強度のトレーニングに励んでいる。高校3年生で入団したG大阪時代から、地道に努力を重ねて改善してきた走り方。オランダでも、練習後に2時間居残りをしてトレーニングを積み、徹底的に向き合ってきた。
「僕はドリブルが多い。ドリブルはやっぱり1回やるとすごいエネルギーを使います。頭を使ってやる必要はあるけど、高い強度で鍛えていく必要があると思っています。ベルギーでもトレーナーに教わって、『スピードの上がり方はいい、陸上選手みたいな走り方をする』と言われたので、上体が上がっているいい姿勢で走れてきています。ここに達するまで本当に時間はかかったけど、もっとインテンシティー、強度を上げていければ」
STVVには、日本人選手がGKシュミット・ダニエル、DF松原后、FW鈴木優磨、同じ東京五輪世代のMF伊藤達哉が在籍する。すでに食事へ連れて行ってもらったり、助言をもらうなど交流を図っている。
「着いて数日後には一緒にご飯へ行かせてもらいました。今、僕は寮なので、家が決まるまでは毎日外食に行くしかなくて。みなさん、僕より先輩なので優しくしてもらっています。伊藤達哉選手は左サイドだったらポジションがかぶりますけど、ピッチの上では普段の仲の良さとは別で、いい競争をしたいと思っています」
これまでも自身の弱点の克服に努めてきた中村。ベルギーではより一層パワーアップした姿が見られるかもしれない。