【J1展望】G大阪×川崎|今後を占う首位攻防戦、両担当記者が挙げる攻守のキーマンは?

G大阪――球際のデュエルが勝敗のポイントに

J1リーグ8節
ガンバ大阪 - 川崎フロンターレ
8月1日(土)/19:00/パナソニックスタジアム吹田

ガンバ大阪
今季成績(7節終了時):2位 勝点16 5勝1分1敗 12得点・7失点

【攻撃】
キープレーヤー:矢島慎也(MF)

今季、川崎がボールポゼッション率で下回ったのは第5節・横浜FC戦のみ。元々、個々の技術が高い上に、4-3-3システムを採用する今季は、さらにプレスの意識が強くなっているのが一因にあるように映る。

例えば第4節・柏戦のMF家長昭博、第6節・仙台戦のDF山根視来の得点。前節・湘南戦のMF田中碧のダメ押しゴールも相手エリアでパスを奪ってからショートカウンターに繋げたものだった。もちろん、その点はG大阪も分析済み。宮本恒靖監督は「前からボールを取りにいくというのは意識していると思う」と警戒心を示す。

相手によって戦い方を変える宮本監督が就任後、対川崎で2勝1分けと相性は良いが、どの試合も守備陣の粘りが勝機を導いたものだった。だが今回は「現状は我々がやろうとしているサッカーを出す。積み上げたものがどれだけ出せるか。守るだけではなく、攻めることを念頭に置いてやりたい」と真っ向勝負を挑む。

シーズン序盤とはいえ、今季を占うかもしれない首位決戦。3-1-4-2システムで臨む可能性が高く、川崎の前線3枚が3バックにプレスを掛けてくることも想定される。「簡単にボールを失いたくはない」と指揮官。その意味ではビルドアップの際にアンカーの位置に入る選手がどれだけ顔を出し、DFラインと中盤より前の選手のパイプ役になれるか。そして、これはチーム全体にも当てはまるが、どれだけ球際のデュエルで勝てるかも勝敗のポイントになるだろう。

そのアンカーの位置に入ることが予想される矢島は、今季のリーグ戦は全試合に出場。技術、運動量に加え、気の利いたポジションに顔を出すことにも磨きが掛かっている。多士済々の実力者を揃える川崎の攻撃陣をいなすことができれば、主導権は握れるはずだ。

G大阪――“眼”と“声”の厚みが増した守備の要に注目

【守備】
キープレーヤー:三浦弦太(DF)

2試合連続無失点勝利。GK東口順昭のスーパーセーブに救われたシーンも多いが、3バックの真ん中に位置する主将の存在も大きい。

第6節・広島戦ではFWレアンドロ・ペレイラと激しく競り合いながら、同時に的確なコーチングでチーム全体を動かした。第7節・神戸戦ではFWドウグラスの自由を奪い、シュート1本に抑えた。そして次なる川崎戦ではFWレアンドロ・ダミアン、もしくは小林悠のどちらかとマッチアップする。

ここまでリーグトップの20得点を叩き出している川崎の攻撃陣は、右サイドを起点にプレーする家長やMF三笘薫の突破、さらには中盤からの飛び出しなど多彩な攻撃を誇る。警戒すべきポイントは複数ある。ただ三浦は「相手の良さを出さないようにしたい」と言いつつ、同時に「最後はゴール前の勝負なので。組織的な守備を、声を掛け合いながら全員でやりたい」と中央を割らせない守備を最優先とする。

今季2得点のレアンドロ・ダミアンは、ポストプレーやアシストなどチャンスメークでも貢献しており警戒が必要だ。なるべく相手の良さを消すことを考えながらも、抑えるべき点は整理できている。だからこそ、「ダミアンはクロス(への警戒)や強さがあるので、しっかり対応したい。悠くんは抜け出しに特徴があるので気をつけたい」と個の対決で負けないことが重要だ。

背番号5が目立たないのが一番なのだが、恐らく川崎相手にピンチの数がゼロで終わることはないだろう。だが元来、定評があった高い身体能力に加えて、今季はより全体を見渡せる“眼”と“声”の厚みが増した。何よりも「完成度が高くなっている。要所で守る。ゴール前で身体を張れている」という三浦の“自信”こそがチームに安定感をもたらしている。

川崎――キーマンと呼べる存在は数多い。なかでも注目は3試合で4ゴールのエース

J1リーグ8節
ガンバ大阪 - 川崎フロンターレ
8月1日(土)/19:00/パナソニックスタジアム吹田

川崎フロンターレ
今季成績(7節終了時):1位 勝点19 6勝1分0敗 20得点・6失点

【攻撃】
キープレーヤー:小林 悠(FW)

現在リーグ6連勝中。G大阪に勝てばJ1でのクラブ新記録となる7連勝を飾れるだけに、チームの士気は高い。

新システム4-3-3を導入し、ここ6戦で20ゴールを奪っている攻撃陣はまさに絶好調で、切り込み役であったMF長谷川竜也こそ負傷中だが(7月22日の仙台戦で左膝内側側副靭帯を損傷。全治約4週間)、右ウイングで別格の存在感を放つ家長昭博、強さと高さを備えるレアンドロ・ダミアン、前節の湘南戦でプロ初ゴールを挙げたドリブラーの三笘薫、同じく湘南戦でプロ初先発を果たした旗手怜央らキーマンと呼べる存在は数多い。

なかでも注目したいのが、怪我からの戦列復帰後、3試合で4ゴールとハイペースでネットを揺らしている小林悠だ。今季からキャプテンマークを谷口彰悟に継承し、「よりゴールに専念できるようになった」と話すストライカーは、復帰戦となった5節の横浜FC戦、6節の仙台戦で途中出場ながら、ともにチームを勝利に導く2ゴールをマーク。得点感覚は例年以上に研ぎ澄まされている印象で、前節の湘南戦こそ期待された3戦連続弾とはいかなかったものの、チーム最多のシュート8本を放ち、好調ぶりを改めて示した。

ちなみに仙台戦の2ゴールで小林は、J1通算110得点とし、かつてのエースでJ1でのクラブ最多得点記録保持者のジュニーニョに並んだ。果たしてG大阪戦で新記録となる111点目を挙げられるか。

本人は「フロンターレのFWといえばジュニーニョですし、師匠のような存在です。お手本にさせてもらった選手なので、追い付けたのは嬉しく思います。ただ、ゴールはアシストしてくれた仲間のお陰なので感謝したいですし、Jリーグではもっと得点を取っている選手がいるので、1点1点積み重ねたいです」と目標を語っている。

川崎――キャプテンマークを継承した谷口。指揮官も絶賛する高パフォーマンス

【守備】
キープレーヤー:谷口彰悟(川崎)

前述したように今季の川崎では、小林から谷口へキャプテンが変更。その意図を鬼木達監督は「チームとして新たなステップに進むため」と話していたが、狙いが見事に的中。小林、谷口、そしてチーム全体へと好影響を与えている。G大阪との大一番を前に、改めて指揮官にその点を訊くと、両者への厚い信頼を口にした。

「良い形で進んでいると思います。(小林)悠に関してはキャプテンの責任感を継続しつつ、得点へより貪欲になっています。今までもそうでしたが、よりギラギラ感を放っていて頼もしいです。

(谷口)彰悟に関しては、自分が思っていた以上に成長過程に差し掛かってきたなと感じます。殻を破ってほしいという想いでキャプテンに任命しましたが、パフォーマンスもそうですし、声をかけ続ける姿など今までに無かったところも見せてくれています。後ろの選手は失点に絡むなど大変だと思います。ただそういう状況になってもチームを支えて、声を出している。それは新たな発見で、突き進んでいってほしいです」

今シーズンの川崎は例年以上に最終ラインを高く設定し、ワンサイドゲームを目指す。その狙いはしっかり表現されており、周囲を叱咤激励しながら調整する谷口のラインコントロールは実に的確だ。

その谷口はオンライン取材で「キャプテンとして試合に臨むということは重みがありますし、責任感は強くなります。後ろの選手となるとネガティブな現象が起こりやすく、どうなるのかなという想いもありましたが、試合が始まれば、勝つことに集中できていますし、チームが勝つためになにができるかを整理して臨めています。良い緊張感、良い責任感を与えてもらいながらゲームを出来ています。そのお陰でプレーもそこまで波がなくやれていますし、そこは継続したいです」と答え、G大阪戦へ次のように意気込んだ。

「ガンバには攻守においてクオリティが高い選手がいます。一瞬の隙で、ひとりでゴールを奪える選手も揃っているので、そこは十分にリスペクトしつつ、寄せる距離、戻るスピードは求めていきたいです。でもそういう相手とやるのは楽しいですし、そういう相手に勝っていきたい。その想いが強いです」

1、2位対決となるG大阪戦でも、谷口が巧みに川崎のゴールを守ってくれるはずだ。

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