プロ内定者5人を抱える大学サッカーの雄。明治大が目指すリーグ連覇と“歴代最高“の記録

新型コロナウイルスの影響で、延び延びになっていた第94回関東大学サッカーリーグが7月4、5日、ついに開幕した。

とはいえ、まだまだ足並みはそろわない。キャンパス内への立ち入りが禁止され、チーム練習もままならず、リーグ戦の参加を見送らざるを得ない大学もあるからだ。

試合はしばらく茨城県の流通経済大学龍ケ崎フィールドとRKUフットボールフィールドの2会場のみ。当日の運営に関しても新型コロナウイルスの感染防止策のために関係者すべての行動が規制・管理されるなど、今までどおりとはいかない。

6月29日、リーグ開幕に先駆けて行われたオンライン記者会見のなかで、明治大の須貝英大キャプテンは次のように宣誓した。

「サッカーができるのが当たり前じゃない。こういう環境を整えてくれた方々に感謝しなければいけないし、サッカーができる喜びを改めて感じている。困難を乗り越え、多くの人たちに感動と勇気を届けられるように全力でプレーしたい!」

1部リーグの主役を演じるのは、やはり前回覇者の明治大だろう。現時点で、プロ内定者は5人。小柄なドリブラーのFW小柏剛が札幌、攻守両面で安定感のある右SB常本佳吾と、冷静沈着なGK早川友基が鹿島、エアバトルに秀でた屈強な両CBの佐藤瑶大がG大阪、そしてもうひとりの蓮川壮大がFC東京と、すべてJ1クラブに進む。

明治大は、昨季のレギュラー陣のほとんどがプロ入りした。なかでも安部柊斗(FC東京)や瀬古樹(横浜FC)、森下龍矢(鳥栖)はそれぞれのクラブでスタメンに定着。こうした実力派がごっそり抜けたとはいえ、チームコンセプトである“ハイプレス+ショートカウンター”に変わりはない。

さらなる高みを目指し、新たなテイストとして加えようとしているのが“流動性”だ。試合の展開や相手の出方によって4バックと3バックを併用、変幻自在の顔を見せる。手堅く1-0の勝利を収めた開幕の駒澤大戦もそうだった。

右SBが主戦場の常本は、4バックスタートの前半はひとつ前の右MFを務め、途中から3バックの真ん中に入った。そのシステム変更に伴い、両SBが高い位置をとり、前線の並びは「2トップ+トップ下」にも「1トップ+2シャドー」にも見える流動性に富んだサッカーを展開した。

明治大の栗田大輔監督は、手ごたえを次のように口にする。

「試合中にチームのやり方を少し修正したことで、攻撃面が改善されたのだけど、何度かカウンターを食らって2対2の状況を作られていた。自分たちのプランとしてあった3バックにして落ち着かせようと考えた。交代で入った選手もいい働きをしてくれたし、うちのゲームに戻すことができたと感じている」

システム変更によって駒澤大のカウンター攻撃を制御するとともに、自分たちから能動的に変化したことで、相手の混乱を誘発しているかのようにも見えた。まさに一石二鳥だ。

19分にFKのこぼれ球を拾って、価値ある決勝点をマークしたFW小柏は「どの選手も2~3つのポジションをこなせるし、どんなシステムで戦おうとコミュニケーションを大事にしている。4-4-2でスタートして、途中から3バックに変えたけれど、臨機応変にできた」と自信をのぞかせる。

キャプテンの須貝は「昨季の勝点56を上回る数字を残したい」と明言。勝点56とは、2005年以降、現行の1部12チームによるリーグ戦となってからの最多勝点だ。自らに課したハードルは非常に高い。だが、挑戦しがいのある数値目標なのも確かだろう。

「新型コロナウイルスの影響で難しいシーズンになったけど、こういう状況だからこそ、日々の積み重ねや努力が出るぞと選手たちには伝えている」(栗田監督)

今季のチームスローガンは「繋翔(けいしょう)」だ。昨年度のチームが作り上げてきたプレー強度の高いスタイルを継承しつつ、戦術面での引き出しを増やす明治大は優勝候補の筆頭といって差し支えないだろう。

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