すでにJ1内定5名!新1年生も4人がベンチ入りした明治大が関東大学リーグで好発進!
「1―0でも勝てば良しと割り切っていた」「どのチームも明治に勝とうと挑んでくる」
7月4日の2部開幕を皮切りに、関東大学サッカーリーグがついに開幕の日を迎えた。新型コロナウィルス感染拡大の影響で総理大臣杯が中止になり、他地域の大学も公式戦ができない状況下で、関東が先陣を切る形となった。
5日に行なわれた1部の開幕戦。昨年度にリーグ戦、総理大臣杯、インカレと三冠を達成して大学サッカー界を席巻した明治大は、駒澤大と対戦すると、19分に北海道コンサドーレ札幌内定のFW小柏剛の決勝弾で1—0の完封勝利を手にした。
「駒澤対策をこの1週間でやってきました。今季初の公式戦ですし、内容はきっと思うような展開にはならないと分かっていたので、1-0でも勝てば良しと割り切っていました。まずは勝つことができてホッとしました」
試合後、栗田大輔監督はコンディション面や試合勘が不透明な状態で結果が出たことに安堵の表情を浮かべた。
もちろん長期中断、全体練習を開始しても対外試合ができない状態で臨む試合とあって、不安要素が大きかったが、それだけではなかった。
「開幕戦という緊張感、かつ久しぶりの公式戦とあって自分でも『息が上がるのが早いな』とは思いました」と、殊勲の決勝弾を挙げた小柏はこの試合の難しさを素直に口にしたが、同時に「どのチームも明治に勝とうとして挑んで来るので、去年のままではいけないと思いますし、去年より進化した明治大を見せないといけないと思います」と王者としてのプライドも見せた。
実際に明治大がこの試合で見せた試合運びは、スコア以上の老獪さがあった。昨年のチームからMF安部柊斗、DF中村帆高(共にFC東京)、森下龍矢(サガン鳥栖)、瀬古樹(横浜FC)と言ったすでにJ1リーグでスタメン出場を果たしているタレントが抜けたが、小柏、GK早川友基、DF常本佳吾(ともに鹿島アントラーズ内定)、蓮川壮大(FC東京内定)、佐藤瑶大(G大阪内定)と5人のJ1内定選手を誇り、今年も優勝候補筆頭であることに変わりはない。
さらに開幕戦のベンチには1年生が4人(GK久保賢也、DF村上陽介、MF田中克幸、FW太田龍之介)も入り、期待の2年生サイドバックである木村拓斗がボランチでスタメン起用と、新たな風も入った。「相手がどういうサッカーをしてくるかでポジションを取っていく。これをもっと磨いていきたい」
「当初は去年出ていたメンバーが中心になるとは思っていましたが、開幕するにあたって、もう一度全体をフラットで見て、コンディションがいい選手を起用した結果です。開幕戦で1年生が4人もベンチに入ることは珍しいことで、再開して1か月は全選手がいい競争をして、この試合を迎えられた」
この栗田監督の言葉通り、堅守速攻を誇る駒澤大を相手に前半は4-4-2で3ラインをコンパクトにして、力安祥伍と木村のダブルボランチが精力的に動いてセカンドボールを回収し、マイボールにする時間を増やした。19分に力安のFKから小柏が先制弾を挙げると、前半終盤から後半立ち上がりにかけて駒澤大に二度の決定機を許すが、いずれもGK早川がビッグセーブで凌いだ。
流れを引き寄せたい明治大は、栗田監督が動く。「カウンターを受けやすくなっていたので、これは3-2-3-2にして、3バックと2ボランチでボールを落ち着かせようとしました。これはゲームプランとして試合前から狙いとして選手に伝えてあった」と、58分に木村に代わって4年生ボランチ・住永翔が投入され、昨年の1年間で成熟させた3-2-3-2にシフトチェンジ。
意図を理解している選手たちはすぐに住永にボールを集めて、彼のキープ力と展開力を駆使して流れを引き戻した。さらに66分に投入された1年生・太田が前線で起点を作るなど、交代選手がアクセントを加えて勝利を引き寄せた。
「どの選手もポジションが2つ、3つできるので、相手がどういうサッカーをして来るかで、僕らがポジションをとっていく。もっとこれを磨いて、相手がどこであろうといいサッカーができるようにしていきたい」(小柏)
かくして昨年度の絶対的王者が好スタートを切った。「こうして大学サッカーがやれることは感謝しかありせん」と栗田監督が語ったように、開幕に尽力した関係者や学生に敬意を払いながら、『紫紺の明治』は積み上げ続けてきたサッカーを存分に披露していく決意を固めた。