【サッカーコラム】遠藤保仁の「言語化できない」能力、兄・彰弘さんとの会話から

【No Ball、 No Life】「言語化できないようなプレーヤーなんじゃないですか」

電話の最後、遠藤彰弘さん(44)はそういった。弟のG大阪MF遠藤保仁(40)が4日、J1再開の一戦となったC大阪戦で632試合のJ1最多出場記録を達成。快挙へのメッセージを彰弘さんに伺った。5日付の紙面で一部掲載されたが、会話の中で「保仁選手を構成する能力は何だと思いますか」という質問をした。そこから、遠藤の能力を「言語化」する会話に入った。

彰弘さんからの返答はこうだった。「頭が疲れる選手ってよく言うじゃないですか。頭の回転がすごく重要で、あと聞き取る能力、雰囲気を読んでしまう能力が抜群」。高精度のパスを出すための的確なポジションをとる。相手が攻め入ってくるエリアに先回りして立つ。足の速さで勝負するタイプではないものの、今でも90分出場すれば11キロを超える走行距離を誇るのも、状況を読み取り、ポジションを細かく修正しているからだ。そして、こう続けた。

「その能力がなぜ生まれるのか。目や耳から入るものに、常に緊張感をもっていないと、ヤット(保仁)には届かないと思います。ただなかなか言葉にできないくらい、深いところまで身につけちゃったのかなって」

それが冒頭の「言語化できない」というフレーズにつながる。横浜Mなどでプロとして活躍した彰弘さんは2008年に引退。現在は「遠藤塾」というサッカースクールでコーチを務める。指導でも間接視野を鍛える練習や器具などを導入。ただ、自分でサッカーに必要な要素を書き出そうとすると、どうもつまってしまう瞬間がある。それが、遠藤のプレーの説明とも重なったそうだ。

頭を使う。目や耳を使う。では、何を考え、何を見ればいいか? 何を聞けば、いい立ち位置がとれるのか? なかなかすんなり言葉にはなってくれない。記事冒頭の言葉に、彰弘さんはこう続けた。「言語化できないからこそ、面白いってところがありますよね」。日々言葉に悩む自分もこの言葉でまだまだ、サッカーを楽しめそうな気がした。

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