パナスタで初の敗戦。大阪ダービーで敗れたガンバ大阪に不足していた「圧」

4カ月ぶりに再開された4日の明治安田生命J1リーグ。再開戦である大阪ダービーでガンバ大阪は1-2でセレッソ大阪に敗れた。ホームのG大阪にとっては、パナソニック吹田スタジアム初の敗戦。それは、「ダービーたらしめる存在」がいない初のダービーでもあった。

初の「静かなるダービー」

リーグ戦では1年に2度、明らかにスタジアム内での体感温度が上がる顔合わせがある。

「同じ街にあるクラブ同士の負けられない試合で、どんな試合であれ『ダービーは勝たなければいけない』というモチベーションがある」。現役時代から「ダービー」の重みを知り尽くす宮本恒靖監督がこう言い切る大阪ダービーは、単なる34分の1ではない。「真の大阪」を決める戦いだ。

パナソニックスタジアム吹田で過去3度実現して来たリーグ戦のダービーは3戦全勝。2017年はファン・ウィジョの劇的なデビュー弾が逆転への呼び水となり、昨年は7試合リーグ戦で勝利がなかった崖っぷちの一戦を1対0で勝ち切った。

試合展開はそれぞれ異なるものの、唯一変わらなかったのは「影のマンオブザマッチ」の存在だ。

大阪ダービーで常に圧倒的な存在感を見せて来たのはスタジアムで宮本監督が常々、口にする「圧」を作り出して来たサポーターたちだった。

公式戦では49回目の顔合わせとなった一戦は「静かなるダービー」だった。大阪ダービー史上初のリモートマッチに「12番目の選手」たちの姿はなかった。

両チームのバスを圧倒的な声量で出迎えるお馴染みの光景もなく、やむを得ない状況ではあるものの熱量を欠いたまま両雄はキックオフの笛を聞く。

的中した遠藤の予言

バックスタンドにはG大阪サポーターの思いが刻まれた青と黒のメッセージボードが配置され「WE ARE WITH YOU 」の横断幕が掲出されたパナソニックスタジアム吹田。場内ではボリュームこそ絞られていたものの、サポーターの声援が流されていた。しかし、この試合で632試合のJ1最多出場を記録した遠藤保仁は、試合前からリモートマッチへの懸念を口にしていたのだ。

「かなり影響は出ると思う。試合が淡々と進む可能性がある」

泰然自若の賢人の「予言」は的中した。

両チームにとって4カ月ぶりの公式戦とあって序盤から探り合うような展開が続いたが、ガンバ大阪のギアが上がらない。

久々の公式戦ゆえか、技巧派の倉田秋や矢島慎也もイージーミスが目立ち、組み立てもままならない中で宇佐美貴史が抜群のキック精度を生かして、サイドにボールを展開。しかし、チームは明らかに仕掛けの迫力を欠いていた。

「サイドで1対1を突破してクロスを上げるとか、ボールを動かすだけでなく、個の仕掛けが、ボールをつないでいく中で足りなかった」(宇佐美)。

パナソニックスタジアム吹田でガンバ大阪サポーターが見せるのは、南米や欧州のダービーにありがちな、相手選手を威圧するブーイングではなく、あくまでも青と黒のユニフォームをひたすら走らせるポジティブな「圧」である。

文字通り「12番目の選手」を欠いたガンバ大阪が、昨年のJ1最少失点を誇るセレッソ大阪の堅守を前半、唯一脅かしたのは28分に宇佐美が放ったポストをかすめた一撃のみだった。

淡々と進んだかに見えた大阪ダービーだったが、過去48回、一度もスコアレスドローがないという伝統はこの日も変わらなかった。

「大阪ダービー」たらしめる存在の不在

文字通り、前半アディショナルタイムのラストプレーでセレッソ大阪はこの日初めて攻撃参加を見せて来た丸橋祐介の絶妙のクロスから奥埜博亮が先制点。サポーターの熱気が立ち込めている一戦であれば、あり得ないエアポケットに入り込んだガンバ大阪は明らかに集中を欠いていた。

「去年のアウェイのダービーのように先制点を取られると、ゴール前に鍵をかけられてしまう状態になる」と宇佐美が懸念した展開にはまり込んだガンバ大阪も遅まきながら、後半目を覚ます。

昨年のダービーで唯一のゴールを叩き込んだ倉田はサポーターの思いを知る一人。後半早々、ゴール前に顔を出し、決定機を作り出すが決め手を欠いた。

ロティーナ監督率いるアウェイチームは、今やしたたかなスタイルを持つ勝負強いチームである。62分に丸橋がスーパーミドルを叩き込み、万事休す。

PKで一矢は報いたガンバ大阪だったが、パトリックの高さと強さに賭けるパワープレーも奏功せず、リーグ戦では実に17年ぶりにホームでセレッソ大阪の軍門に降ったのだ。

リモートマッチの影響を問われた敗軍の将は、言った。

「ホームでやる試合のアドバンテージが感じられにくい印象を持っていた」(宮本監督)。

最初で最後であって欲しいリモートマッチでの大阪ダービー――。サポーターこそが、単なる34分の1を「大阪ダービー」たらしめるのだと、空っぽのパナソニックスタジアム吹田が教えてくれた。

リンク元

Share Button