遠藤保仁、“平常心”で積み上げたJ1最多632試合の偉業 「意識せざるを得ない状況でしたが…」

C大阪戦に先発、J1出場試合数で単独1位の“金字塔”を打ち立てる

ガンバ大阪の元日本代表MF遠藤保仁が4日、J1リーグ再開初戦となった第2節セレッソ大阪戦に先発出場し、歴代単独最多となる通算632試合出場を達成した。2月23日の横浜F・マリノスとの開幕戦(2-1)で、最多記録を持つ元日本代表GK楢﨑正剛氏(元名古屋グランパスほか)に並び、約4カ月半のイレギュラーな中断期間を経ての大記録となった。

“伝統”の大阪ダービーのピッチには、やはり背番号7の姿がよく似合う。ホームで迎えた再開初戦で、遠藤は先発メンバーに名を連ねた。J1単独最多となる通算632試合出場。無観客のパナソニックスタジアム吹田で、横浜フリューゲルス時代の先輩である楢﨑氏の記録を破り、金字塔を打ち立てた。

ボランチとして“メモリアルゲーム”に先発出場した遠藤は、パスを散らしながらリズムを作ろうとするが、G大阪は思うように攻撃の形を作れない。前半アディショナルタイム2分には、C大阪FW奥埜博亮に先制点を許した。1点を追うなかで、遠藤は後半9分にMF井手口陽介と交代。試合はその後、同17分にC大阪のDF丸橋祐介に強烈なミドルシュートを叩き込まれて0-2とされたが、同23分にFWアデミウソンがPKで1点を返す。交代枠5人を使い切り、最後まで同点ゴールを狙い続けたG大阪だったが、そのまま1-2で敗れた。

試合後、オンラインでの記者会見に出席した遠藤は、大記録達成となった試合について「ピッチに入っている時はいつもどおりというか、いい試合をしたいなと思っていました。みんながTシャツとか着てくれたので非常に嬉しく思います。この1、2週間は相当そういう質問が多かったので、意識というか、意識せざるを得ない状況でしたけど、入る時はそんなに意識していなかったです」と振り返った。

また、1-2と勝利で飾れなかった試合内容については、「ゲームの感覚はそんなに、普段のシーズン中と変わらなかったかなと。ただ無観客だったので、いろいろ難しい部分があったんじゃないかなと思います。試合のテンポがなかなか上がらないのは、やる前から分かっていたので、そのへんは多少なりとも割り切ってやっていましたが、先に点を取られるとああいう感じになる」と、無観客での“大阪ダービー”になったからこその難しさを明かしていた。

昨季には公式戦通算1000試合出場を達成、“鉄人”はまだまだ走り続ける
遠藤は1998年に鹿児島実業高校から横浜フリューゲルスに加入し、18歳でプロデビュー。昨年8月2日、第21節ヴィッセル神戸戦では自身が「ものすごく価値がある」という公式戦1000試合出場を達成。日本代表でも最多の国際Aマッチ152試合出場記録を保持している。プロ23年目、40歳で迎えた今年は、開幕戦でJ1最多タイとなる通算631試合出場を達成。新型コロナウイルスによるリーグ戦中断という予想しなかった壁が立ちはだかったものの、遠藤らしく、着実に“鉄人”の記録を更新した。

2001年に京都パープルサンガ(当時)からG大阪に加入した遠藤にとって、今季は在籍20年目となる。これまで8人の監督の下でプレーしてきた。なかでも02年から指揮を執り、現在はタイ代表を率いる西野朗監督時代には、日本代表の主力として過密日程をこなしてきた。それでも大きな怪我もほとんどなく、試合に出続けた。以前には自身の強みを「頭で考えてプレーすること」と話していた遠藤は、JリーグとA代表の“両立”を実現するなかで、研ぎ澄まされてきた能力だと明かした。

「もし違うチームに移籍していたら、また違うサッカーをしていたと思う。そこも本当に巡り合わせで、周りに良い選手もいましたし、いいスタッフもいた。特に西野さんの時は自由にやっていたので、そこで頭で考えてやることが身についた。僕にとっては大きかったのかなと思います」

ここから始まる新たな遠藤のストーリー。さらに積み上げていく偉大な数字だけでなく、唯一無二の存在でファンを魅了し続けていく。

J1通算出場試合数ランキング(上位20選手/20年7月4日時点)
1位 遠藤保仁(G大阪) 632試合
2位 楢﨑正剛(元名古屋ほか) 631試合
3位 中澤佑二(元横浜FMほか) 593試合
4位 阿部勇樹(浦和) 574試合
5位 曽ヶ端準(鹿島) 532試合
6位 小笠原満男(元鹿島) 525試合
7位 伊東輝悦(沼津) 517試合
8位 山田暢久(元浦和) 501試合
9位 明神智和(元G大阪ほか) 497試合
10位 中村憲剛(川崎) 458試合
10位 西川周作(浦和) 458試合
12位 大久保嘉人(東京V) 448試合
12位 山口 智(元G大阪ほか) 448試合
14位 今野泰幸(磐田) 443試合
15位 森﨑和幸(元広島) 430試合
16位 前田遼一(岐阜) 429試合
17位 新井場徹(元鹿島ほか) 423試合
18位 川口能活(元横浜FMほか) 421試合
19位 田中隼磨(松本) 420試合
20位 藤田俊哉(元磐田ほか) 419試合

遠藤保仁の年度別J1試合出場数
1998年 横浜F:16試合
1999年 京都:24試合
2000年 京都:29試合
2001年 G大阪:29試合
2002年 G大阪:30試合
2003年 G大阪:30試合
2004年 G大阪:29試合
2005年 G大阪:33試合
2006年 G大阪:25試合
2007年 G大阪:34試合
2008年 G大阪:27試合
2009年 G大阪:32試合
2010年 G大阪:30試合
2011年 G大阪:33試合
2012年 G大阪:34試合
2014年 G大阪:34試合
2015年 G大阪:34試合
2016年 G大阪:34試合
2017年 G大阪:31試合
2018年 G大阪:34試合
2019年 G大阪:28試合
2020年 G大阪:2試合

※2013年はJ2でプレー

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