食野、欧州1年目で得た学び フィジカルは日本人共通の課題も「そこだけじゃない」

スコットランド・ハーツを退団したFW食野亮太郎(22)が25日、オンラインでの取材に応じた。昨夏にG大阪からマンチェスターCへと完全移籍し、すぐにハーツへ期限付き移籍。リーグ戦で19試合3得点をマークした。しかし、リーグは新型コロナウイルスの影響で途中終了し、チームは最下位で2部降格。現在は帰国して実家のある大阪で来季に向けた準備を進めているアタッカーは、欧州での1年目を「結果には満足していません。その中でも成長できた部分もあるし、プラスにとらえているところはとらえています。学びのシーズンだった、と思います」と振り返った。

ハーツ加入後すぐに出場機会を得て、9月14日・マザーウェル戦で初ゴール。「ドリブル、クイックネスは十分通用する」と感じ、さらに英語でのコミュニケーションにも一定の手応えは得た。一方で課題については「まだまだフィジカル的に弱い。あと英語は成長したことにも挙げましたけど、課題でもある」と分析した。

日本より柔らかいピッチや、Jリーグの「1・5倍速ぐらいに感じた」という展開の速さに驚いたが、適応は可能だと感じた。またシーズン途中の監督交代により、FWには縦に速い攻撃の中で、屈強なDFと競り合いながらボールを収める仕事を求められ、出場機会減につながった。一朝一夕には埋まらない体格の違いや筋力差を感じ、現在も肉体改造を継続。さらにそれだけではない、ということを学んだことは大きかった。

「世界を見れば、小さくても(敵との)体の当て方がうまい選手はたくさんいる。短距離のスピードは僕も(チーム内で)速いほうだった。(問題は)そこだけじゃない。走るタイミングやコース取り、味方がどこに(パスを)蹴るかの予測。細かい要素が積み重なっている、と感じました」

また英語についても、加入直後は動じずに「中学レベルの英語」で積極的にコミュニケーションを図り、チームから受け入れられた。しかし、それだけでは足りないことがに気づいた。

「日本語だとロッカーでの世間話の中で、この選手はどういうキャラ、立ち位置で、普段どういったことを考えているのか、というのがわかるんです。でもそういうのがわかりにくい部分があって。それがピッチでの関係性につながってくる。よく話をする年の近い選手とは仲良くなって、試合でもパスをもらえる。けど、あまり話をしていない選手との壁を感じたりもした。それじゃダメだと思った」

そんな課題に向き合うため、現在は基礎能力のベースアップと英語の勉強を続けている。スコットランドでは、かつてリバプールで活躍したレジェンドで、名門・レンジャースを率いるスティーブン・ジェラード監督との“出会い”もあった。10月20日のレンジャース戦でゴールしたことをきっかけに、その後の対戦時には「会うたびにメシノーって、握手しにきてくれるようになりました。うれしかったっすね。テレビでみていたようなレジェンドに。光栄なことでした」と笑った。

来シーズンの所属先は決まっておらず、マンチェスターCとの話し合いの下で、再び欧州クラブにレンタルされる可能性が高い。「せっかく1年スコットランドでやったので、もう1年そういう(フィジカルを重視した)サッカーを積み重ねたいという思いもあるし、自分の特徴を生かしたサッカーをやりたい思いもある。リーグはこだわっていない。自分の特徴を生かせれば、どこでもやれると思う」

同じ東京五輪世代のMF久保建英がスペイン1部・マジョルカで活躍。「あんまり人のことは興味なかったんですけど…レアルやバルサと試合して、自分のプレーができているのはすごい。でも自分もこの中に入ったら、ある程度できるという思いもある。今は下積みと考えて、そういうところに入れるイメージはしています」と刺激も受けていた。負けん気の強さと、冷静な自己分析力も持つ22歳は、いつか欧州トップの舞台に立つ未来を見据え、来季への準備を進めていた。

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