C大阪FW柿谷、宿敵エース宇佐美の“天才的パス”に感嘆 「タイミングが好き」「普通は…」

【宇佐美貴史×柿谷曜一朗“天才対談”|第3回】柿谷が宇佐美の2019年仙台戦での技ありアシストを“解説”

大阪の宿敵2チームが誇る“天才”同士の対談が初めて実現した。新型コロナウイルスの影響でJリーグが中断するなか、ガンバ大阪FW宇佐美貴史とセレッソ大阪FW柿谷曜一朗が、オンラインでFootball ZONE webの独占インタビューに応じた。アカデミー出身で幼少期から“天才”と呼ばれ、各年代別の日本代表でも活躍し続けてきた2人。G大阪とC大阪という強烈なライバル関係を持つ両クラブのエースは、互いのプレーをどのような目で見てきたのか。連載第3回では宇佐美のプレーについて、柿谷が“解説”する。

まず、柿谷が注目したのは2019年11月23日に行われたJ1第32節のベガルタ仙台戦(2-0)、G大阪が1点を先制して迎えた後半32分に、宇佐美がFWアデミウソンへラストパスを送ったシーンだ。中盤での競り合いでボールを奪ったG大阪は、MF井手口陽介がワンタッチで敵陣右サイドのスペースへパスを送る。これに素早く反応した宇佐美はボールが高くワンバウンドした直後、自らの後方をクロスして中央へ走りこむアデミウソンに向かって柔らかいタッチの浮き球スルーパスを供給。相手最終ラインの背後に抜け出したアデミウソンが、鮮やかなループシュートでGKとの1対1を制し、華麗な連係で追加点を奪った。

柿谷「実は貴史の動画をよく見ていて……このプレー好きやったね。あんまり(動画を)見ているの、バレたくないねんけど(笑)。アデミウソンに出した時のボールを触った瞬間、(ゴールまでの道筋が)こうなるって分かっていた。ボールを触る前からアデミウソンがゴールに向かって走っている。普通はトラップして、前に向かってボールを止めてドリブルするやん? ボールが跳ねて、タッチした瞬間にはオフサイドにならんなっていうタイミング。そのタイミングが好きやねん」

この一戦、後半24分に宇佐美は先制ゴールも挙げていた。自陣でパスカットし、右サイドを独走。相手DF1人をかわしてあっという間に約50メートルを駆け上がると、最後は冷静にシュートコースを見極め、ゴールを射抜いた。このシーンで柿谷は、突如あるゴールを思い出した。

仙台戦のゴールを見て…柿谷は宇佐美が10年前に挙げた”独走弾”を回顧
柿谷「同じようなゴール覚えてんねんなあ。大宮戦?」

宇佐美「ほんまに若い時のやつですか?」

柿谷「そうそう、あの距離をドリブルして」

宇佐美「ほんまに同じ感じっすね」

柿谷「やばくない? めっちゃ知ってるやろ。(G大阪の)相手チームも知ってるっていう……」

宇佐美「それで言ったら俺も曜一朗くんのゴール、めちゃめちゃ解説できるからね」

柿谷が振り返ったのは2010年10月16日、J1第26節のG大阪対大宮アルディージャ(5-1)だ。まだ高校3年生の18歳だった宇佐美は、前半32分にハーフウェーライン付近でボールを奪うと左サイドを独走。ペナルティーエリア内で2人のDFを翻弄し、左足を一閃してゴール右隅に決めた。柿谷にとっても印象深い一発だったようで、対戦相手の大宮の名前まで挙げて10年前のゴールシーンを回顧すると、さらに2019年10月4日の第28節北海道コンサドーレ札幌戦(5-0)についても語った。

柿谷「札幌戦、良かったなあ」

宇佐美「ダービーで負けた次の試合で、ストレスをパワーにした。右足に乗せたという感じ。ダービーで負けてしまったけど、チームもだいぶ良くなって、自分もだいぶやりやすくなった。ダービーまではJ1で1点やったけど、それから6点ぐらい取った」

C大阪とのダービーに1-3で敗れ、宿敵相手に7年半ぶりの黒星を喫した悔しさを抱えたまま臨んだ札幌戦。1-0とリードした後半16分、MF倉田秋、アデミウソンと細かなパス交換で崩し、最後は豪快な右足シュートをニアサイドに突き刺した。

G大阪の武器であるパスワークも絶賛、宇佐美は“裏話”を告白?

柿谷「(倉田)秋くん、アデ(ミウソン)、宇佐美の連係いいよなあ~」

宇佐美「左に視野を持ってプレーしたい3人なんですよ、だから密集でやれる。でも、それで結構ツネさん(宮本恒靖監督)に怒られます。『密集するのはいいけど1人は中にいろよ』って」

G大阪の強みであるパスワークの“裏話”も披露した宇佐美。G大阪復帰1年目となった昨季は、半年で14試合7得点。そのうちダービーに敗れた後のラスト7試合で出場6試合6ゴールと活躍した。個で打開する突破力に加えて周囲も生かす力。10年前から変わらぬ宇佐美の姿に、柿谷は注目し続けているようだ。

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