G大阪ジュニアユース13歳GK多田さん ピッチ復帰へ骨髄移植待つ 再生不良性貧血で療養中

G大阪ジュニアユースに、難病と戦うGKがいる。多田吾郎さん(13)は、昨年2月に判明した再生不良性貧血のために現在は療養中。有効な治療とされる骨髄移植を待つ少年は、いつかG大阪のエンブレムをつけてピッチに立つことを目標に掲げ、病と向き合っている。

プロを目指すスタートラインに立ったはずの少年が、難病によりその第一歩を踏み出せずにいる。宇佐美や井手口、堂安ら数々の日本代表も輩出したG大阪のジュニアユースに合格した多田さんは、小学校卒業目前の昨年2月に難病の再生不良性貧血が発覚。中学1年生の現在も療養を続け、有効な治療とされる骨髄移植の可能性を探っている。

G大阪のホームタウン・茨木市で、ふたりの兄の影響で6歳からサッカーをはじめた多田さん。小学4年からGKとなり「シュートを止めたときの、なんとも言えない快感」のとりこになった。ドイツ代表GKノイアー=バイエルン=のように、足元の技術があるGKを目指し、6年時には日本サッカー協会が有望な選手の発掘を目的に行うナショナルトレセンU―12の関西練習会にも参加。そしてG大阪のセレクションに合格し、憧れのユニホームを着るチャンスをつかんだ。

「小さいころからプロになりたいと思っていたけど、具体的にはジュニアユースに内定したときに真剣に考えました」。しかしそんな思いをよそに、体は動かなくなっていた。自転車で練習場に通う約30分間が苦痛に。思うように足が動かず、GKとして前に出るプレーができなくなった。GKグローブを浴室で洗って立ち上がると、目の前が真っ暗になったことも。病名が判明したのは昨年の2月22日。小学生として最後の公式戦の2日前で「(試合に)出られないんですか」と訴えたが、即入院となった。

約2か月の入院を経て、現在は自宅療養しながら通院で輸血を行う。中学には週2回のペースで通うが、ジュニアユースの練習には参加できない。両親や兄ら血縁とは免疫組織の型が合わずに骨髄移植が受けられず、現在は骨髄バンクからのドナーを待つ状況だ。

近所の公園でひとりボールを蹴ることもあるが「自分のしたいことに、今の体が追いつかない。ジュニアユースのうちにプレーして、結果を残したいと思っているけど、やけくそになるというか、まあいいや、と逃げてしまうことがある」。悔しそうに、そうつぶやいた多田さん。自身の病気を公表することで、少しでも骨髄バンクの登録数を増やす可能性にかけた13歳。逃げるどころか、真っ向から病気に立ち向かっている。

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