宇佐美貴史が考える昌子源の“存在価値”とは? 「言わんでも分かり合えるところはある」

【インタビュー|第3回】G大阪ジュニアユース同期の2人が同じチームで再会
昨季7位に終わった“西の雄”ガンバ大阪は今季、フランス1部トゥールーズから日本代表DF昌子源を獲得したほか、MF小野裕二(←サガン鳥栖)らを獲得。そんななか、昨夏ドイツ1部アウクスブルクから復帰したエースFW宇佐美貴史が、Football ZONE webの単独インタビューに応じた。今季の展望や新チームの印象など、宇佐美の“本音”をお届けする。第3回は「G大阪の昌子源」――。

2月3日にビッグニュースが飛び込んできた。G大阪がフランス1部トゥールーズから、昌子を完全移籍で獲得することを発表。今冬の目玉補強と言える日本代表クラスの大型補強に、Jリーグファンは色めき立った。古巣の鹿島アントラーズや日本代表などで見せてきたリーダーシップが期待されるなか、注目はやはり宇佐美との“共闘”だ。

宇佐美と昌子は同じ1992年生まれで、中学1年の時にG大阪ジュニアユースに入団。小学生の時から京都の天才児として名を馳せていた宇佐美は、下部組織に入ってからもすぐに“飛び級”し、2学年上の上級生とプレーしていた。中学2年になると主将となり、チームの中心に。同世代のスター的存在だった。

一方の昌子はなかなか出場機会を得ることができず、中学1年の時の身長は150センチ台。“チビ”というあだ名で、トップ下など前線でプレーしていた。中学1年の最後のほうには出番も少なくなり、試合で副審を務めることも……。その後、ユースから高校2年でプロへ飛び級昇格した宇佐美に対して、昌子は悔しさを糧に鳥取県の米子北高校へ進み、鹿島でプロキャリアをスタートさせた。

この2人の運命的な再会に周囲は期待を寄せ、共闘を心待ちにしているが、宇佐美の心境は一体どのようなものなのか。

「(当時は)ほとんど一緒にやっていない。思い出もない。俺が覚えている源の姿もない。俺はもうほとんど上に行ってたし、源は俺らの学年でも出られていなくて、3年の時もBチームでも出られていなかったんちゃうかな……ぐらいの感じやった」

宇佐美にとっての“昌子源”とは…「マジでいいセンターバック来たな」
当時の思い出はない――。では、宇佐美にとって昌子はどのような存在なのか。

「鹿島の選手。俺とか(井手口)陽介とかパト(リック)が帰ってきた時に、オフィシャルが公式(リリース)で『Welcome back』って出したんやけど、源の場合は出さへんかったんよ。それぐらい源の中で、成長するきっかけはガンバやったかもしれへんけど、完全に別ルートで成長してきた選手。鹿島の守備の要というイメージ。頼りになる選手が来たなという。鹿島でもあれだけリーダーシップをとって、代表でもリーダーシップを取る長谷部(誠)さんとか(吉田)麻也くんの横でやっていたし、後ろからゲキ飛ばせるし、どっちかと言えば武闘派。バチバチ当てられる選手やから、マジでいいセンターバック来たなという感じ」

本人たちにとって大切なのはどうやってプロになったか、ということではない。今、同じチームの一員としてタイトルを目指し、日々切磋琢磨すること。宇佐美にとって昌子は、“ジュニアユースの同期”ではなく、安心して最終ラインを任せられる男。だからこそ、思いは一つだ。

「リスペクトしている。(昌子は)這い上がってきたと思っているやろうし、やり方やスタイルを変化させながら、上り詰めてきた選手。リスペクトはすごくする」

現在昌子は負傷もあるなかで、懸命にリハビリを続けている。予定されていた手術を回避し、経過は良好のようだ。昌子と今季鳥栖から加入した小野は、宇佐美と同じ1992年生まれの“プラチナ世代”。それぞれタイプは違っても、共通するのが物事をはっきりと発言するタイプであることや、海外挑戦を経て苦い経験を積んだこと。だからこそ宇佐美は、中堅のこの3人でチームを牽引する必要があると感じている。

「いいバランスでいい軸になれるんちゃうかな」
「源も(小野)裕二も似たような感じ。海外行ったら、思ったことをバンって言えることもあるし、面と向かってハッキリ言う。なんなら口喧嘩ぐらいになってもいいと思ってるから。練習でも取っ組み合いでもつかみ合いでも、そういうのがあったほうがいいと、むしろ思う。同じように海外に行って、なかなか上手くいかずに帰って来て、苦しいところを知っている者同士の同い年やから、言わんでも分かり合えるところはある。ピッチ内外で、それぞれのやり方でチームに貢献していければいい。キャラクターも3人とも全然違うから、いいバランスでいい軸になれるんちゃうかな」

宇佐美に昌子に小野。今年で28歳を迎える3人が、今季のG大阪を支える太い幹になると、本人も自覚している。その覚悟がある限り、チームは必ず成長曲線を描き続けるだろう。

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