【J1新加入選手ピックアップ #1】移籍組、コイツからは目を離すな!
2020年の明治安田生命Jリーグに挑む各クラブ。新天地に移った選手たちの活躍は大きな注目ポイントだ。スポーツライターたちがピックアップする注目新加入選手とは?
いよいよ明治安田生命J1リーグの開幕も秒読みだ。そこで気になることといえば、各クラブの新要素。なかでも、移籍組の存在はチームの浮沈を左右するキーファクターだ。
興味深いのは下剋上をたくらむJ2組の大移動。一躍脚光を浴びるポテンシャルを秘めた好素材が目白押しだ。古橋亨梧(ヴィッセル神戸)や小野瀬康介(ガンバ大阪)のようにブレイクしても不思議ではない。そこで、僭越ながら独断と偏見で注目の5人をピックアップ。彼らが新天地でどんな化学反応を起こすのかを妄想してみた。
坂元達裕(セレッソ大阪)
西の刺客が手にした新しい翼だ。J1初挑戦ながらもプレシーズンで堂々たる立ち回り。ブレイクの香りがプンプン匂ってくる。大卒1年目の昨季はモンテディオ山形(J2)で定位置をつかみ、リーグ戦全試合に出場。昇格争いを演じる動力源となった。売り物は外からの多彩な切り崩し。中央への斬り込みも縦の仕掛けも自由自在だ。チームに単騎突破の新要素を持ち込み、攻め手を増やす公算が大。外からの折り返しやラストパスが主砲ブルーノ・メンデスの嗅覚を刺激すれば、昨季の課題だったチーム総得点も上向くだろう。桜の“小さな巨人”と化すか。
野村直輝(大分トリニータ)
プロ7年目の28歳。大分期待の「遅れてきた男」が初のJ1に挑む。昨季は移籍先の徳島ヴォルティス(J2)で2シャドーの一角に収まり、7得点12アシストの大暴れ。チームの決定機にことごとく絡んでみせた。横浜FC時代には左の翼として活躍。自ら仕掛けてよし、人を使ってよしという多芸の人だ。人壁の隙間でボールを呼び込み、鋭いラストパスからフィニッシュまで幅広くこなす。大分の2列目には多種多様な人材がそろうが、誰と組んでも持ち味を活かせるだろう。主軸でも切り札でも活躍の見込みは十分。天才・小塚和季との共演が楽しみだ。
小屋松知哉(サガン鳥栖)
鳥栖の売り出す仕掛人がこの人だ。J1の舞台に立つのは4年ぶり。J2屈指のウイングへのし上がった実力を知らしめる格好のチャンスか。昨季は京都サンガ(J2)で無双の突破力を披露し、対戦相手を震え上がらせた。サイドを深々とえぐって折り返す左からの仕掛けは天下一品だ。左ウイングにはうってつけの人材。今季から3トップを試みる鳥栖が引き抜きに動いたのも納得できる。アシスト量産機の加入は1トップを託される金崎夢生にとっても福音だろう。折り返しを待てばワンタッチで1点――そんな場面が続出か。鳥栖躍進の切り札へ期待大だ。
一美和成(横浜FC)
西から東へやって来た新鋭。昇格組の横浜FCが期待を寄せる22歳の点取り屋だ。昨季は京都サンガ(J2)で目覚ましいゴールラッシュ。計17得点を積み上げ、覚醒前夜を印象づけた。フィニッシュは実に多彩。裏抜けからクロスの仕上げに至るまで数多くのパターンからネットを揺らしてみせる。また、2列目を活かすポストワークも巧みだ。年代の近いタレントがズラリとそろう2列目と同じ感性を共有しうる存在だろう。J1の猛者を相手にどこまで通じるか未知数ながら、伸びシロはたっぷり。活躍次第で東京オリンピック世代の日本代表に食い込むチャンスも十分だ。
神谷優太(柏レイソル)
大化けするなら、この男か。底知れぬ可能性を秘めた大器が愛媛FC(J2)を経て、昇格組の柏に加わった。攻撃的なポジションなら、どこでも使える。ただ、柏の攻撃陣はタレントぞろいだ。新参者が食い込む余地は少ないものの、この人には得体の知れないスケールの大きさがある。ときに見る者をギョっとさせるようなプレーを涼しい顔で演じるからだ。オルンガやクリスティアーノといった傭兵部隊と似たような匂いとでもいおうか。ただし、出来不出来も予測不能。生産性の高いプレーの頻度が高まれば、昇り竜へ一直線だけに目が離せない。