【G大阪】J1最多出場が迫る遠藤、フリューゲルスを語る「本当にいいチームだった」
G大阪の元日本代表MF遠藤保仁(40)は、J1開幕戦の横浜M戦(23日・日産ス)に出場すれば、元名古屋の楢崎正剛氏(43)が持つJ1最多出場記録(631試合)に並ぶ。日産スタジアムは、遠藤が横浜フリューゲルス(F)に入団した1998年、開幕の横浜M戦でデビューした場所だ。相手も当時と同じ横浜Mというめぐり合わせに、遠藤は「そういえば、確かに。そこで正剛さんの記録に並べたらうれしい。でもこれ(出場)ばっかりは監督が決めること。去年のチャンピオン相手に、彼らのホームで、彼らを倒しに行く。その目標を達成できればいい」と話した。
98年当時、横浜フリューゲルスは元バルセロナのカルロス・レシャック監督を招へいし、ボールを保持して攻めるサッカーに取り組もうとしていた。そんなスタイルの中で、新人ながら冷静なプレーとボールをつなぐ能力に長けた遠藤が、開幕スタメンに抜てきされた。しかしフリューゲルスは、Jリーグ史上最大の悲劇に見舞われた。メーンスポンサーの撤退により、この年限りで横浜Mに吸収合併されることが決定。選手たちやサポーターはチーム存続のために署名活動などを行ったが、決定は覆らなかった。その後、チームは天皇杯で優勝。惜しまれつつも、“消滅”していった。
遠藤はフリューゲルスへの思いを、今でも忘れてはいない。「今でも当時のスタッフや元選手に会うと、昔の話になります。僕は多くは語れる年数はいなかったんですけど、やっぱり横浜フリューゲルスという素晴らしいチームがなくなったことは非常に残念。フリューゲルスでやっていた(現役)選手は僕だけになったので、少しでも長く、という思いはあります。本当にいいチームだったと思います。プロの第一歩を踏み出せたのは、誇りに思います」
これまで遠藤が数々の記録を達成するたびに、そのデビュー当時にスポットが当たり、横浜フリューゲルスというチームは再認識されてきた。今ではフリューゲルス出身の現役選手は、遠藤ひとりに。そんな事実もあって、遠藤はこれまでも何度も、自身がプロキャリアをスタートさせた古巣について語ってきた。
「今後、ああいうことが起きてはいけない。今の18、19歳はフリューゲルスがあったことすら知らない年代。現役の中で語れるのは僕だけですけど、いろんなチームに(フリューゲルス)出身の人たちがいる。そういう人たちとの分も、といったら変ですけど。そういうチーム、あったんですね、と言われることが少なくなるように、語らないといけないと思います。少しでも伝えていければ」
遠藤がフリューゲルスのユニホームを着てデビューした場所で、相手はフリューゲルスを吸収し、昨季は王者に輝いた横浜“F”マリノス。ちなみに現最多出場記録保持者の楢崎氏も、フリューゲルス出身だ。「巡り合わせがいいですね。もし(試合に)出たら、うれしく思います」。不思議な縁の中で迎える2020年の開幕戦で、J1最多出場記録の達成に期待がかかる。