「あれは衝撃レベルだった」 遠藤保仁が忘れられない日、サッカー人生で「初めて」体験

心から「こんな生活、暇すぎる」と実感して、“休むこと”に嫌気がさした(笑)
ガンバ大阪のMF遠藤保仁が8月2日のJ1リーグ第21節ヴィッセル神戸戦(2-2)で途中出場し、公式戦1000試合出場の偉業を達成した。J1、J2、カップ戦、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグ、日本代表戦など、すべての公式戦を含めて日本人初となる金字塔を打ち立てた本人を直撃。稀代のプレーメーカーが、全6回で1000試合出場の舞台裏を語る。第5回は「忘れられない日」について訊いた。

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20代の頃っていつも「ああ~休みたいな~」って思っていました。今の時代も若い選手は……いや、僕も含めてほとんどの選手がそう思っているはずだけど(笑)。

だから、オフになると「やっとオフがきた~」と思い、基本的にはオフらしく過ごす。会社員だって、オフの日は仕事を切り離して休むのと同じで、サッカー選手だって仕事であるサッカーから離れていいと思うから。

なので、体はもちろん動かさないし、ひそかに隠れてトレーニングするなんてこともしない。今も休みは家族と遊びに出かけたり、たまにゴルフをしたり、自分の時間を楽しんでいる。

でも、2006年10月にウイルス性肝炎にかかって、初めて長期離脱をした時だけは……4週間を過ぎた頃かな。心から「こんな生活、暇すぎる」と実感して、“休むこと”に嫌気がさした(笑)。あの時は、何をしていても、時間が進んでいることを実感できなかったし、あれは衝撃レベルの暇さだった。

あとになって家族に聞いた話だと、その時の病状は、そんな呑気なことを言っていられないくらい深刻で、肝臓も異常な数値が続いていたらしいけど、僕は何も聞かされずに、ただただベッドの上で寝ていただけだったから。

熱が高かった分、体がしんどい、だるいという自覚はあったものの、“風邪のひどい版”くらいの感覚で「早く熱が下がらないかな~」「そんなに大げさに騒がなくてもいいのに」くらいしか思っていなかった。その後、ようやく熱が収まって、病院の敷地内なら外を歩いてもいいという許可が下りたのを受けて、庭を散歩したけど、あの時は「太陽に当たるのってこんなに気持ちいいんだ!」って感動したのを覚えている。

そのくらいだから、グラウンドに立ってボールを蹴れた時の喜びといったら……まぁ、それは普通か (笑)。やっぱり、サッカーって楽しいな~とは思ったけど

引退も全く考えていない。サッカーをしない時間が、4週間しか耐えられない自分が…
実は、いつだったか、その数年後にも一度だけ6週間くらいオフをもらえたシーズンがあった。その時もいつものごとく自主トレをするでもなく一切、体を動かさずに過ごしたけど、4週間が過ぎたくらいで、さすがに休むのが苦痛になって(笑)。入院していた時の自分を思い出して、「ああ、僕は4週間サッカーをしなかったら、その時間に飽きてくるんだな」と悟った。

といっても、プロになって今日までの間に、4週間もサッカーをしなかったのは、その2回だけ。なので、その結論が本当に正しいのかは分からないし、仮に8週間くらい休んでみたら違う感覚になるのかもしれないけど……。

でも今の時点ではそう思っているので、引退も全く考えていない。サッカーをプレーしない時間が、4週間しか耐えられない自分が、引退後の生活に耐えられるのか分からないから。

(第6回「移籍」に続く)

■遠藤保仁「公式戦1000試合」内訳(G大阪調べ)
公式戦1000試合・150得点

J1リーグ:621試合(歴代2位)・103ゴール
J2リーグ:33試合・5ゴール
Jリーグ・チャンピオンシップ:3試合・0ゴール
リーグカップ:72試合・5ゴール
天皇杯:48試合・10ゴール
富士ゼロックススーパーカップ:6試合・0ゴール
クラブワールドカップ:3試合・2ゴール
AFCチャンピオンズリーグ:58試合・10ゴール
スルガ銀行チャンピオンシップ:1試合・0ゴール
A3チャンピオンズカップ:3試合・0ゴール
日本代表戦:152試合(歴代1位)・15ゴール

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