フランスへ旅立つエースの花道を飾る白星が転機となるか… ガンバが泥臭く掴んだ大きな1勝!

連敗となればチームとして疑心暗鬼が生まれていたかもしれない

[J1リーグ19節]G大阪1-0清水/7月13日/パナスタ

韓国代表FWファン・ウィジョのフランス1部ボルドーへの完全移籍が明るみになった直後の一戦。昨季J1残留の立役者を白星で送りだそうという選手全員の気持ちが前面に出ていた。

決勝点は88分。MF矢島慎也がこぼれ球を右足でねじ込んで、最高の花道を用意した。ただ、宮本監督が「C大阪戦からシステムを変えてやってきているなかで、6試合・2失点しかしていなかったチームが前節(FC東京)3失点をしている。もう一回、守備の粘り強さであったり、厳しさというところに立ち返ろうという話をした。最初は少し押し込まれたりしましたけれど、徐々に集中力も高まり、ゲームを通してはいいところも見られた」と勝因のひとつに挙げたように、そこに至るまでに見逃せないのが守備陣の奮闘である。

FC東京戦は個の力でサイドを突破されたり、クロスに対してマークが甘くなったりして3失点。3バックシステム採用後、7試合目にして初黒星を喫した。失点シーンはどれもFWディエゴ・オリヴェイラやFW永井謙佑、MFナ・サンホらの強さと速さの前に屈したもの。そして、この日の相手にはJ1リーグの連続得点記録が懸かるFWドウグラスがいた。突破力もあれば、クロスへの合わせ方も上手い。その“相棒”には1.5列目に入るFW北川航也。FC東京のような“補完性”を持つふたりを、どう抑えるかは最重要課題だった。

前半開始からペースを握ったのは清水。わずか25秒でドウグラスと北川のコンビネーションからピンチを招いた。だがGK東口順昭と1対1になりそうな直前で、DFキム・ヨングォンが身体を投げ出してクリア。39分には額を裂傷するアクシデントに見舞われたものの、DF三浦弦太はドウグラスのジャンピングボレーに臆することなく身体を寄せた。

崩されそうになっても足や身体にボールを当ててコースを変えたり、スピードを止めたりする場面も多かった。「シュートを打たれるようなシーンでも最後に身体を投げ出したり、足を伸ばすことで東口の正面に飛ぶようなシーンもたくさんあった」(宮本監督)。泥臭く身体を張り続けることで、徐々に全体の安定感が生まれ、ディフェンスラインも上げられるようになった。そして後半の主導権を握る流れへとつながった。

この勝利、無失点は大きな意味を持つはずだ。若手が多く起用されるなか、連敗となればチームとして疑心暗鬼が生まれていたかもしれない。現行システムへの不安も出てきていたかもしれない。だが失敗を生かし、立て直したことは前節の負けを帳消しにするどころか、むしろより大きな自信となるのではないだろうか。

旅立つファン・ウィジョは最後に、こんな言葉を残した。

「もっともっと上にいける」

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