クルピも、日本代表MFも認めるセンス! ガンバ新戦術導入のキーマンは矢島慎也だ!!
レヴィー・クルピ監督を新たに迎えたガンバ大阪が2月5日、新体制初実戦を行なった。J2京都サンガF.C.との練習試合で主力組は35分×2本、サブ組は45分×2本。結果はサブ組が3得点を挙げ、トータルスコア3-1で初陣を飾ったが、やはり注目するのは主力組が出場した試合だ。
クルピ監督が採用したのは4-3-2-1の通称「クリスマスツリー」システム。とりわけ中盤の人員構成は興味深い。3ボランチは右からMF矢島慎也、中央にMF今野泰幸、左にMF初瀬亮。そして2シャドーでMF倉田秋とMF遠藤保仁が並んだ。かつてイタリア代表なども導入していたがJリーグでは珍しいシステム。そんな大胆な戦術を採り入れることができたのは、浦和から今季完全移籍で加入した矢島の存在が大きい、と倉田は語る。
「去年までオレやヤットさんが下がってやらなきゃいけない仕事を慎也がやってくれる」
3ボランチの両脇は技術だけではなく、運動量も戦術眼も求められる。サイドバック(SB)とシャドーをつなぐ役割、局面を変える展開力、守備での防波堤、そして機を見た攻撃参加。京都戦では同サイドに位置することが多かった倉田と右SBオジェソク、矢島が何度も攻撃面で絡んだ。細かいパス交換で崩すだけではなく、倉田が下がって矢島が飛び出すシーンもある。沖縄キャンプ初日の4日、わずか1日だけ確認した新戦術にもかかわらず、ガンバ本来のパスサッカーが取り戻せそうな予感を漂わせた。
「監督からは“お前はパスも出せる。飛び出しもできる。適正だ”と言われたし、自分もそう思う。G大阪は足もとの技術がある選手が多いし、近い感覚でやれると思います」
移籍後初実戦を終えた矢島は攻撃の形には手応えを掴んだ。
とはいえ満足感はない。
「やっぱり得点が取れなかったんで。周囲とトライアングルを作るのも、互いの距離を縮めるのも、サイドを抉るのも、得点を奪うため。0点で終わったのはなあ…という感じ」。逆サイドで展開した時のゴール前への侵入や飛び出す回数などボックス内での仕事を増やすことが改善点という。
また課題は守備面にもある。
「どこのスペースを埋めるのかは周囲を見ていないと難しい」と語るなど、守備時のリスク管理は、いまだ手探り状態だ。
だが、これだけの課題を初実戦で感じられたのは、ある意味で大きな収穫だ。171センチと小柄で「フィジカルがあるわけでも、足が速いわけでもない」(矢島)選手がプロの世界で生き残ってきているのは、サッカーをよく考えているからだろう。
「いろいろと分かったこともあるし、次に向けて頑張ります」と矢島。G大阪が『超攻撃』と呼ばれた時代にはMF橋本英郎(東京ヴェルディ)やMF明神智和(AC長野パルセイロ)ら“気の利く”選手がいた。矢島はその系譜を受け継ぐ選手になるかもしれない。



