【G大阪】井手口、サッカーも遊びも「体力ゼロまで」 驚異的な運動量を支える「全力」な生き方

サッカーJ1、G大阪の日本代表MF井手口陽介(21)に、スポーツ報知が単独インタビュー。2018年ロシアW杯アジア最終予選のオーストラリア戦(8月31日・埼玉)で代表初ゴールを挙げ、6大会連続6度目のW杯出場に貢献した。今冬の海外移籍も浮上する若きサムライは何事にも「全力」でぶつかりながら、選手としても人間的にも父としても成長していた。

 8月31日。井手口は一躍、時の人になった。オーストラリア戦後半、強烈なミドル弾で勝利を決定づける貴重な追加点。日本代表をW杯へ導く立役者となったが、本人はいたって冷静だ。

「メールやLINEの数、(G大阪の)練習場に来てくださるファンの多さを見ると(反響の大きさを)感じます。ただ、チヤホヤされるのは好きな方ではないので…。普通の試合で結果を残したと思っているだけなので、そんなにすごいことをしたとは思っていません」

 昨年11月にハリル・ジャパン最年少の20歳2か月12日で初選出され、6月7日の親善試合シリア戦で日本代表デビュー。同13日のW杯アジア最終予選イラク戦で初先発してから3試合連続でスタメン出場している。肌で「日本代表」を感じ、衝撃を受けた選手がいる。ドイツ1部1FCケルンのFW大迫勇也(27)だ。

「あそこまでボールを収められるFWは初めて見ました。多少悪いパスでも収まるし、前を向ける。僕たち2列目の選手からすれば、あれだけボールを収めてくれると(前線に)上がりやすい。上がっていっても(自分を)使ってくれるので、めっちゃやりやすいです」

 オーストラリア戦の得点は後半37分。驚異的な運動量が目を引いた。スタミナの源は何なのか。

「特別に何かをしているわけではありません。保育園の頃から外で遊び回るのが好きだったからですかね? 遊び疲れて熱が出たりしました。今でも体力がゼロになるまで遊ぶので、遊び過ぎたら熱が出ます(笑い)」

サッカーも遊びも全力―。その井手口流は家族との時間でも同じ。昨年6月に長女の愛希(ひなの)ちゃんが誕生し、時間があればお風呂に入れたりオムツを替えたり。子育ても全力だ。

「オフの日に子供とプールや公園に行って、はしゃぎ過ぎたりします(笑い)。子供がYouTubeを見て、歌に合わせて踊ったりするので、一緒に遊んだりします」

 2015年末に中学の同級生だった夏海夫人と結婚し、16年3月に夏海さんの母を病で亡くした。19歳で結婚したのは、余命半年と宣告されていた義母を安心させるための“男気”だった。だが、家族を持つことで気持ちが大きく成長した。

「家族ができて変わりました。外から見られても、普通のお父さんでありたい。『ちゃんとしてないな』と思われるのが嫌なので気を使っています」

 今月10日には、イングランドのチャンピオンシップ(2部相当)のリーズからオファーがあったことが判明した。早ければ今冬にも海外挑戦する。

「(選手として)もう1、2ステップ行くには海外でもまれないと成長できないと思う。代表の選手とかを見て『あれが世界基準なんかな』って思うと、行きたい気持ちはあります」

 4年前はプロにもなっていない高校2年生。ロシアW杯出場は「想像もしたことがなかった」。今や手が届くどころか、主力として活躍が期待される選手になった。

「(W杯出場が)目標ではありますけど、チームで結果を残さなければ選ばれない。守備は多少、手応えを感じましたけど、攻撃があまり…。もっと決定的な仕事ができるようになっていきたい」

 オーストラリア戦で活躍した直後は、ネット上などで元日本代表MFの中田英寿さんに「似ている」と評判に。動画などでプレーを見たことはないという。

「最近、言われることが多いです。店員さんに『中田さんですか?』って聞かれたこともある。ジュニアユースの頃から『走り方が似ている』とか『姿勢がいいところが似ている』とは結構、言われます」

 オーストラリア戦の活躍は、かつての中田さんをほうふつとさせるインパクトを与えた。井手口が日本代表の大黒柱になる日は、そう遠くないはずだ。

 ◆井手口 陽介(いでぐち・ようすけ)1996年8月23日、福岡県生まれ。21歳。小学校からサッカーを始め、中学で大阪に転居。G大阪ジュニアユース、同ユースを経て、高校2年の2014年に飛び級でトップ昇格。16年リオ五輪代表。同年夏からG大阪でレギュラーに定着し、Jリーグのベストヤングプレーヤーとルヴァン杯ニューヒーロー賞を獲得。国際Aマッチ4試合出場。171センチ、71キロ。家族は妻と1女。兄の正昭はJFLのFC大阪でプレー。

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