【G大阪】特別な想いで臨んだ古巣戦。最終ラインのリーダーは何を思ったか?

「やっぱりどこか違和感があった」

[J1リーグ10節]G大阪 1-1 清水/5月5日/吹田S

「自分がこれまで育ってきた過程のなかで、所属したすべてのクラブのどこが抜けても今の自分はなかった。もちろん、清水エスパルスもそのひとつだし、だからこそ他の試合とは違う『特別』な想いはありますが、気負いすぎず、いつも通りのプレーを心がけて完封勝利を目指したい」

コメントの主は、今季清水から移籍加入した三浦弦太だ。その『特別』な想いには、もちろん育ててもらった感謝の気持ちも含まれていたことだろう。だからこそ、ガンバ大阪の守備のリーダーとして信頼を掴んだ今の姿をしっかりと示すことで、『恩返し』をしようと思っていたはずだ。

だが、試合は前半から苦戦を強いられる。いや、相手に決定的なシーンを作らせることはほとんどなかったと考えれば守備陣にとっては、決して悪くはない前半だったが、思いのほか清水が強固なブロックを築いてきたことから攻撃陣が苦戦。お互いの距離がいつもより遠く、ここ最近の試合で見られたようなリズムが掴めない。事実、後方から全体を見渡していた三浦もボールの動きの悪さを感じていたそうだ。

「調子がいい時のガンバは、もう少しお互いが近い距離で、ワンタッチでボールを動かしながら相手を崩せていたんですけど、今日は相手の守備も良かったとはいえ、なかなかそれを切り崩す形を作れなかった」

しかも後半、立ち上がりの49分には清水のFWチアゴ・アウベスにダイレクトボレーを決められてしまう。左サイドでDF松原に粘られ、こぼれ球を拾ったMF白崎がファーサイドへクロス。フリーになっていたT・アウベスが豪快に叩き込んだ。

「失点シーンは少し全体の足が止まってしまった。チーム全体としてどういうポジションをとるのか、どう対応するのかという部分はもっと突き詰めていかなければいけないと感じました」(三浦)

これを受け、G大阪は長谷川健太監督が動き、56分にMF遠藤保仁とMF泉澤仁を同時に投入。これによりボランチで起用されていたMF倉田秋を1列前に上げたことで、すぐさま状況に変化が生まれた。ゴール前中央、MF井手口陽介とのワンツーで前線に抜け出したMF倉田が右足でゴールネットを揺らし同点に追いついた。

その後もMF遠藤を起点に左右に中にとボールを動かしながら好機を見出そうとするも、相手の堅守を崩しきるには至らず、引き分けで試合終了。三浦にとっての初の古巣対決は、『完封』も『勝利』も叶わなかったが、得意のロングフィードで何度もスタジアムを湧かせ、守備のリーダーとして最終ラインを統率する姿を示すこともできた。

「古巣戦は、やっぱりどこか違和感がありましたけど、成長した姿を少しは見せられた試合だったのかなと思います。ただ、ホーム戦だからこそ、勝ちたかった。負けてはないけど、勝点1と3では全然違うだけに、またしっかりと修正して次に向かいたいと思います」

個人的には古巣相手に十分に胸を張れるパフォーマンスだったと言える。戦いを終えた三浦も、またひとつ自信をつけたはずだ。

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