◆Ｊ１第１１節　Ｇ大阪３―１名古屋（０５年５月８日・万博）

ＪリーグはＪ１通算２万ゴールまであと１に迫っている。２１日夜に行われる川崎―清水（等々力）かＧ大阪―大宮（吹田ス）に登場する４チームから得点者が現れるのが濃厚だ。

スポーツ報知ではＪ１通算１万ゴールとなった０５年５月８日のＧ大阪・前田雅文（当時、現在関大サッカー部監督）の記事を復刻版として再掲載する。（肩書き、年齢などは当時）

この年のＧ大阪は、シーズン開幕前にＦＷ大黒将志（現京都）がドイツＷ杯最終予選北朝鮮戦で後半ロスタイムに決勝弾を決め“大黒様”フィーバーで始まり、前田の記念ゴールなど印象的な戦いを繰り広げ、最終節でクラブ史上初のリーグ優勝を飾るなど、強豪への一歩を踏み出したシーズンだった。

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Ｇ大阪のルーキーＭＦ前田雅文（２２）が、Ｊ１通算１万ゴール目を決めた。Ｊ初ゴールが「メモリアル弾」となり、チームも３―１で名古屋に快勝した。

Ｊリーグにあこがれた世代が、新たな時代を切り開いた。今春、関大からＧ大阪に入団したＭＦ前田の初ゴールが、節目となるＪリーグ通算１万点目。「小学校（５年）の時からＪリーグが始まり、こんな大舞台で記念のゴールが決められるとは夢にも思わなかった」。初めてのお立ち台で、ルーキーが震えた。

ゴールの気配が漂っていた。２―０の後半３１分、大黒が中央４０メートル付近でボールを持つと、同１６分から途中出場の前田がペナルティーエリアを目指してぐんぐん加速。そして“得点王”からのロングパスを右足でトラップし、走り込んだ勢いに任せて右足を振り抜くと、ゴール左上へ突き刺さった。

Ｊリーグが開幕した１９９３年５月１５日にＶ川崎（現東京Ｖ）のＦＷマイヤーが初ゴールを決めてから１３年目。当時１０歳だったサッカー少年は、Ｊリーグの数々のプレーに刺激を受けながら育ち、その歴史に自ら新たな１ページをかき加えた。

運の強さは、折り紙付きだった。関大１年の関西学生サッカー春季リーグ最終節・大体大戦（０１年５月１２日）で１―１の後半２６分に初出場。同２７分のＦＫからのファーストタッチが、なんと初ゴールに。これがチームの１部残留を決める決勝弾となり、ド派手デビューを飾った。その才能に目をとめた西野朗監督（５０）は「取るべく人が取る。彼はそういう選手」と話した。

記念のボールは、前田のサインを入れて東京・文京区のサッカーミュージアムに展示される。「スピードを生かしたプレーで特長を出したい」と今後の活躍を誓う２２歳。この日は日本代表ＦＷ大黒が３アシストを決めたが、日本代表ＧＫ楢崎から歴史的ゴールを挙げたシンデレラボーイもまた、Ｇ大阪の勢いを加速させる。（田中孝憲）

◆“前後賞”はともにＦ東京から

◆Ｊ１第１１節　Ｆ東京３―３大宮（０５年５月８日・味の素スタジアム）

Ｆ東京の“前後賞ゴール”は勝利に結びつかなかった。１点を先制された前半２８分、ＤＦ今野の左からのパスを受けたＭＦ石川が右足アウトサイドで鮮やかに同点弾。６連敗中の重苦しいムードを打ち破ると、同４４分にはＦＷ近藤祐が右足で逆転ゴールを決めた。

２人のゴールはＪ１通算９９９９点目と１万１点目。惜しくもメモリアル弾にならなかったが、チームは後半２１分にもＦＷルーカスがＰＫを沈めて３―１と圧勝ムードが漂った。ところが、その後１点を返され、さらに後半ロスタイムにも大宮ＦＷ森田のループシュートで同点に。７戦ぶりの白星を逃すと、イレブンはピッチに崩れ落ちた。

結局、記念ゴールも勝利も逃した石川は「そういう流れなのかな」と勝ちきれないチーム状況に苦笑い。それでも連敗はひとまず６でストップし「勝てなかったけど、勝ち点１で流れは変わると思う」と石川は前を向いた。

◆Ｊリーグ第１号ゴールのマイヤーも祝福

素晴らしいＪ１の１万ゴール到達。まずは、おめでとう。オランダの地より、心から祝福を贈りたいと思う。

１９９３年５月のＪリーグ開幕戦でぼくが決めたゴールは、確かに覚えているし、うれしかった。でも、試合に負けてガッカリしたのも覚えている。それでも、試合の２日後に日本人記者から「ファーストゴールだ」と知らされ、実感がわくとともに、すごく誇りに思ったものだ。

ぼくはＶ川崎を退団してオランダに帰国したが、しばらくはチームメートだったカズ（三浦知良＝現神戸）らとも連絡を取っていたし、もちろん今もインターネットなどでＪリーグの情報を気にしているよ。愛着があるからね。

１３年間でＪリーグはすごく成長した。何人も素晴らしい選手が生まれている。オランダでは小野が頑張っているが、もっとたくさんの日本人選手に欧州でプレーしてほしいね。

ぼくは昨季までオランダリーグ２部のストームフォーゲルズの副監督を務め、今年からアマチュア１部リーグのイェーストで指揮を執っている。遠くからＪリーグの末長い発展を期待しているよ。