G大阪、ファビオら獲得で守備陣は充実。主将・遠藤のアンカー起用は新たなオプションに【2017補強診断】

フットボールチャンネル編集部では、Jリーグ開幕に向けて各J1クラブの補強動向を診断していく。今季の目標に向けて、効果的な補強を行うことができたクラブはどこなのか。今回は、昨季のリーグ戦で年間総合4位だったガンバ大阪を占う。

長谷川体制初の無冠に終わるも…井手口ら若手が成長

 2016年は長谷川健太監督就任以降、初めて無冠に終わった。

リーグ戦は序盤の取りこぼしが響いて年間4位に終わり、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)はグループステージ敗退。YBCルヴァンカップは準優勝だったものの、天皇杯はベスト8で横浜F・マリノスに敗れた。

鳴り物入りで加入したアデミウソンがチームへの順応に苦しみ、かつて圧倒的な攻撃力が魅力だったG大阪がゴールの少なさで苦しんだ。1stステージの17試合でわずか22得点しか奪えなかった攻撃の迫力不足が、7勝3分7敗という勝ったり負けたりで波に乗り切れなかった最大の要因と言えるだろう。

だが、将来に向けて明るい話題も多かった。井手口陽介が急成長を遂げて中盤のレギュラーに定着。リオデジャネイロ五輪への出場などで自信を深め、元々定評のあった守備だけでなく攻撃にも貢献できるMFへと進化した。

U-23チームがJ3を戦ったことで若い選手たちが実践経験を積み、堂安律や市丸瑞希といった下部組織出身の有望株たちも着実に力をつけている。

2017年はタイトル奪還に挑む重要な年。戦力を入れ替えつつも既存の組織をベースにチーム力を底上げし、リーグ戦、国内カップ戦、ACLとすべての大会で優勝を狙う。

ファビオ&三浦の新加入CBコンビが早くもACLプレーオフで活躍

 G大阪は今季からJ1を戦うトップチームと、J3に所属するU-23チームの間に明確な壁を設ける方針を表明している。これまでのように負傷明けやJ1で出場機会の少ない選手がJ3の試合に出場することは原則としてなくなる。

そのため、2つのチームが別々の形で強化を進めていくことになる。補強もその方針に沿うものとなった。成果もすでに現れている。

今月7日に行われたACLプレーオフのジョホール・ダルル・タクジム戦では、新加入のファビオと三浦弦太がセンターバックでコンビを組んでチームを勝利に導いた。

もちろん、センターバック陣には丹羽大輝や金正也らこれまでチームの最終ラインを支えてきた選手も控えている。ファビオや三浦とポジション争いを繰り広げていくことで守備力が向上し、昨季の上位6チームで最多の42失点という課題をクリアすることが期待される。

岩下敬輔や大森晃太郎、阿部浩之といった2014年の三冠達成を経験した選手たちが移籍したことでチーム力の低下も心配されたが、その必要はなさそうだ。

サンパウロからの期限付き移籍だったアデミウソンの完全移籍をはじめ、主軸となる選手は健在。大宮アルディージャから獲得した泉澤仁やジェフユナイテッド千葉から加入した井出遥也も崩しの局面でアクセントになるだろう。

遠藤保仁が3ボランチでアンカー起用。新たな攻撃のオプションに

 リーグ戦とACLを並行して戦う過密日程を何度も経験しているG大阪。今季も長谷川監督が指揮することから、そこは心得ているはずだろう。

チームの核はやはり主将の遠藤保仁になる。大ベテランの域に達した司令塔の力を最大限に引き出すため、守備の負担を減らすことが重要になる。遠藤をアンカーに置く3ボランチも実践でテストしており、今季はG大阪の新たな一面を見ることができそうだ。

また、攻撃面には多くの選択肢がある。1トップであれば長身の長沢駿を置くか、技巧派のアデミウソンを起用するのか、2トップを組むのか。あるいは両サイドにどんなタイプのアタッカーを置くのかで攻撃の形が変わってくる。

過密日程を考慮してシステムやメンバー構成のバリエーションを増やしながら戦うことができるようになれば、変幻自在の攻撃は対戦相手にとって脅威になるはずだ。

昨季はU-23チームの一員としてJ3を主戦場にしていた堂安や市丸、初瀬といった勢いのある若手たちも本格的にトップチームへ殴り込みをかける。彼らの成長が先輩たちのポジションを脅かすまでになると、チームの総合力は飛躍的に向上する。

診断

補強評価 B

トップチームのみを評価すれば、「B」となる。戦力的な上積みはそれほど大きくなく、退団した選手の穴を的確に埋めたと言えるが、チームの目玉になるような実力の選手獲得には至らなかった。それでも全体が若返り、フレッシュな陣容となっている。

総合力評価 A

戦力はJ1の中ではトップレベルで、メンバーを見れば上位争いに絡むことは十分に予想できる。ただ、ACLとの過密日程は長谷川監督の頭を悩ませる要因となるだろう。守備陣は充実したが、FWや中盤は層の薄さは否めない。

アデミウソンや長沢は計算の立つストライカーだが、負傷や不調に陥った際に誰が得点を奪うのか。有望な若手を多く揃えるが、彼らがどこまでチームを救う存在となるかは未知数だ。そういった意味でも、若き才能の成長は今季も大きな鍵を握ることになるだろう。

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