アジアの盟主、返り咲き狙うG大阪 ACL王者9年ぶり奪還へ…鍵握る新システム

G大阪が「アジアの盟主」の奪還を目指し、負けられない戦いに臨む。22日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ初戦を迎える。プレーオフを勝ち上がり、H組に入ったG大阪の対戦相手はアデレード(豪州)。真夏の敵地に乗り込み、2008年以来9年ぶりの優勝を狙う。日本勢はここ10年のアジアの経済情勢を反映するかのように中国のクラブなどに押され、敗退続き。ACLは大会の位置づけが高まる一方、昨年から獲得賞金もアップしており、G大阪は新システムをひっさげ、アジアの頂点への返り咲きを虎視眈々と狙っている。

アウェーでいかに勝ち抜くか

初戦を戦う敵地アデレードは現在、夏真っ盛り。大阪-アデレード間の直行便の運航はなく、2度の乗り継ぎで移動に丸1日を要する見込みで、戦う条件は生やさしくはない。

昨季、G大阪は2分け4敗で1次リーグ未勝利で敗退。長谷川監督は「Jのチームのイニシアチブを取って試合を運ぶのは不可能。そういう概念を捨てて、厳しい試合が最初から始まる」と述べており、ACLを勝ち抜くためには、敵地での環境への順応を重要ポイントの一つに掲げている。

タイトル奪還への鍵を握るのは、チームが採用した新システムが機能するかどうかだ。

ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)とのACLプレーオフでは、守備的MFを3人配した4-3-1-2の布陣で戦い、3-0で完勝した。

相手を寄せ付けなかったものの、新システムについては、ボランチの一角を担ったMF井手口が「ポジションに入っているだけみたいになった。まだやりこなせていないので、しっかり吸収して、監督が求める動きをできるようにならないと」と言えば、MF遠藤も「3ボランチはカウンターを受けやすいシステム。課題を修正していきたい」と模索が続く。ACL出場国のパワープレー対策として守備の最終ラインをDF3人で守る3バックの陣形も試しており、試合では選手個々の新戦術への習熟度が試される。

新加入選手がチームに新しい風をもたらす

追い風となるのは新加入選手の勢いだ。プレーオフはDFファビオ(横浜Mから移籍)とDF三浦(清水から移籍)がセンターバックでコンビを組んで相手に得点を許さなかった。三浦は移籍後初の得点も挙げた。

三浦は「本大会でもしっかりとパフォーマンスできるように準備したい。国内戦とは違うドリブルの突破力や、体の強い選手などに対応していきたい」と意気込む。

昨年の大会では日本勢出場4チームともにベスト8にも進めなかった。2015年のクラブワールドカップで3位となった広島も、アジア各国の強豪がプライドをかけて覇権を争うACLでは勝手が違い、あっさり敗退した。

昨季は年間4位に終わったG大阪だが、山内隆司社長は「08年はリーグ8位でもACLを取っている。タイトルは全部狙いにいく」と、9年ぶりのタイトル奪還に向け号令をかけている。

08年のG大阪を最後に日本勢の優勝はない。すっかり高い壁となったACL制覇に向け、G大阪が闘志を燃やすのは、経済的メリットの大きさも理由の一つだ。

一昨年までACLの優勝賞金は150万ドル(約1億8000万円)だったが、昨年から300万ドル(約3億2千万円)に倍増した。優勝すれば5450万ユーロ(約70億円)を受け取る欧州チャンピオンズリーグ(CL)に遠く及ばないが、高みを目指すクラブには大きな収入となる。

Jリーグは今季から新設する理念強化配分金として、J1のリーグ優勝クラブに優勝賞金3億円とは別に3年総額15億5千万円を支給し、各クラブへの均等配分金3億5千万円を合わせると、Jリーグの年間王者は資金面で大きく潤う仕組みとなった。

とにかく勝て

訪れた変革の波に、山内社長は「Jリーグは『ビッグクラブ』を意識的に作って、クラブがスター選手を呼んで戦力を強化し、面白いサッカーをせよというメッセージだと思っている。とにかく勝たなきゃいけない」と言葉に力を込める。

大事なシーズンの流れをつかむためにも負けられないACL初戦の相手、アデレードは、現役時代にスペインの強豪FCバルセロナで300試合以上に出場し、スペイン代表としても1998年ワールドカップに出場したギジェルモ・アモール監督が率いる。

同監督の下、2015-16年シーズンにはクラブ初のレギュラーシーズンとグランド・ファイナルのダブル制覇を成し遂げたが、今季は豪州国内リーグの10日のパース戦で0-5の完敗を喫するなど、現在10位と苦戦中だ。

G大阪は、ACLを制した08年にアデレードと決勝を戦い、ホームは3-0、アウェーでも2-0で下している。しかし、それ以後は12年に2度対戦して2敗。過去対戦成績2勝2敗の相手に勝利し、上昇気流に乗りたいところだ。

大会を制すれば12月にアラブ首長国連邦(UAE)で行われるクラブワールドカップへの出場権も得られる。クラブを好循環の軌道に乗せるためにも、ACLは負けられない戦いになる。

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