【宮本恒靖インタビュー|後編】日本代表へのメッセージ、そしてガンバへの想い

サッカーダイジェスト(以下SD) ワールドカップ最終予選を戦う日本代表についても訊かせてください。チームと主力メンバーたちが過渡期を迎えたのか、なかなか結果が出ずに苦しんでいる印象です。OBの宮本さんはハリルジャパンをどう見ていますか?

宮本恒靖(以下TM) うーん。いままで引っ張ってきた代表の主力を脅かす存在がもっともっと出てきてほしいなとは思いますね。期待してるんですけどなかなか増えてこないんで、それは良くないなと。純粋に(ワールドカップ予選で戦った)イラクにしてもUAEにしてもいいチームやと思うんです。でもザッケローニの頃の代表なら普通に上回れたとも思う。一概には言えませんけど、もしかして主力メンバーがピークを超えてしまったところがあるのかもしれない。

SD 予選は突破できますか?

TM 間違いなく突破すると思います。そこは心配してない。でもワールドカップ本大会はどうか。結果を出して上に行けるか。そこまで考えると、さっきも言いましたけど、突き上げが必要なんかなと。

SD 以前の代表チームに比べて闘う気持ちが伝わってこない、なんて意見もよく耳にしますが。

TM そこは分からないですね。キャラクターであったり、時代もあるでしょうから。

SD トルシエとジーコも一時期そうだったように、ハリルホジッチ監督もいまはずいぶんな逆風に晒されています。どう見ていますか?

TM 自分たちのチームがひとつになってやっていく、その確認作業ができたらいいと思うんです。監督との信頼関係がないとなにも始まりませんから。監督が批判を浴びるなか、選手は同じグループとして、どんな行動を取ろうとするのか気になります。

SD とても大人しいチームですよね。個々が自立してると言えばそこまでですが、代表チームはもっと我の強い選手でごった返していたほうが活力が生まれると思うんです。宮本さんがキャプテンをしていた頃は、誰とは言いませんが、本当に猛獣だらけでした。

TM そこは比べられないですよね。いずれにせよ、一番大事なのはチームが勝つこと。そのためにはお互いが理解しあわないといけない。たとえば僕が戦術的にクリアにしたいところがあったので、ジーコに「こんな練習がしたい」と言ったことがあったし、それを受け入れてくれることで、またひとつ信頼関係が生まれたり。それぞれがなにができるのかを考えないと。

SD では、話題をガンバに移しましょう。宮本さんと初めて話したのはちょうど20年前。ガンバの練習場が京都の田辺にあった時代です。グラウンドは枯れ芝で、施設は大半がプレハブ。それがいまや……、えらいことになってますね。

TM 比べること自体が間違ってますよ(笑)。携わってきた人びとの努力の賜物ですよね。クラブとしてはどんどん大きくなってるし、タイトルの数の増加とともに格も上がってきてる。いまは、もっと行けるチャンス。新しいスタジアムができてビジネス面でも飛躍できる機会が多くなったわけで、ここが勝負やと思いますよ。チームとしてもつねに競争力を持っておく必要がある。僕としては、下部組織から質のいい選手をもっと育てていかないと。セレッソが頑張ってますからね。負けるわけにはいかない。

SD 今季はU-23チームが新設されてJ3を戦いました。ユースチームからも随時引き上げられていきましたが、チーム編成はなかなか難しかったのでは?

TM やり繰りはたしかに大変でしたけど、選手個人にとっては間違いなくいい環境ですからね。上でやれるなら早く経験させてあげたいし、つい最近も3年生の食野(亮太郎)がプロ契約してU-23に行ったんで、もうJユースカップには出ません。みんな忘れてるかもしれませんけど、堂安(律)もまだ高3ですからね。U-23の監督をやってるノリちゃん(實好礼忠)にしても難しい面もあったと想像します。クラブとしていろんな意味で体力が問われますよね。

SD 堂安選手の名前が出ましたが、U-19アジア選手権ではMVPに輝きました。

TM チームの優勝は素晴らしい結果ですけど、もっとやれると期待してます。今度はトップチームで輝いてほしいですね。

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