2週間前の大敗が不気味なG大阪、浦和がタイトル逸の雪辱晴らすか

東の浦和レッズか、西のガンバ大阪か――。Jリーグを代表する、東西の二大クラブが雌雄を決する。今年のルヴァンカップ決勝だ。

浦和のペトロヴィッチ監督に言わせれば『ナショナルダービー』である。しかしながら、近年は竜虎の争いには程遠い。G大阪が「ここ一番」で、一方的に浦和をやり込めてきたからだ。

事の始まりは2年前。リーグ優勝を目前にしていた浦和が猛追するG大阪との直接対決に破れて失速。破竹の勢いが止まらぬG大阪の逆転優勝を許すはめになった。

昨季はチャンピオンシップ準決勝、さらに今年元日の天皇杯決勝で顔を合わせ、浦和がことごとく苦杯をなめている。大一番になれば、勝つのはG大阪――そうしたイメージがすっかり根付いた感もある。

そこで興味深いのが2週間前に開催されたセカンドステージでの直接対決だ。スコアは4-0。圧勝したのは浦和だった。公式戦での対G大阪の連敗記録を4で止めた。

結果はもちろん、内容でもG大阪を攻守に圧倒。因縁の対決を前にして、浦和に追い風が吹いているようにも見える。だが、事はそう単純ではないかもしれない。

G大阪の「変わり身」である。その不気味な動力源が大ベテランの遠藤保仁だ。2週間前の一戦では負傷の影響が色濃く、明らかに精彩を欠いていた。その後、ルヴァンカップ準決勝第1戦を欠場。コンディションの回復に努め、同第2戦で復帰し、チームを決勝へ導くアウェーゴールを奪ってみせた。

しかも、ボランチではなく、トップ下での先発だ。1トップも高さの長沢駿ではなく、巧さと速さのアデミウソンを起用。前回対戦した際のタンデムではない。そしてボランチの一角には遠藤に代わり、球際に強いボールハントの鬼、今野泰幸を持ってきた。

G大阪がこの布陣で臨むなら、浦和は厄介だろう。前のめりのプレスで穴が生じやすい3バックの手前には危険な遠藤が、準決勝で面白いように攻略してきたバイタルエリアには手ごわい今野が陣取るわけだ。

今野に球を奪われ、遠藤経由のえぐいカウンターアタックが発動――とは、浦和が最も避けたいシナリオ。徹底攻撃を掲げる浦和の典型的な負けパターンと言っていい。

浦和が相手となると、あのクールな遠藤が「ケンカ上等」の武闘派みたいに見えてくるから不思議である。激しいタックルをかましたのも一度や二度ではない。逆に言えば、それだけ負けたくない相手というわけだ。

仙人みたいな男が「その気」になるくらいだから、激しいデュエルの連続だろう。しかも、前回のワンサイドゲームが西の雄のプライドをさらに刺激したとなれば、勢いで勝る浦和も無事では済まないと見るべきか。

いや、浦和にしても崖っぷち。舞台は根城の埼玉スタジアムだ。2年前と昨季の悪夢はいずれも、ここ埼スタで起きている。その恨み、いつ晴らすのか。東の覚悟と西の誇りが激しく交錯するファイナル。最後の決め手は技術でも戦術でもないはずだ。

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