【イラク戦予想スタメン】3月とは異なる「戦闘モード」に。3トップは本田、岡崎、宇佐美か SOCCER DIGEST Web 6月11日(木)7時30分配信

香川はカップ戦決勝のプレーを再現できれば、“背番号10”の威厳を示せる。

 イラク戦の前日会見では、ハリルホジッチ監督の“戦闘モード”を示すコメントがいくつかあった。

「明日からワールドカップ予選が始まるつもりでやりたい」

「3月の時とは状況が違う。より良いチームを探している」

「選手たちにはこうリクエストした。2015年はひとつも負けない。美しい年にしたいと」

指揮官の意気込みから察するに、イラク戦──ワールドカップ・アジア2次予選への予行演習にも、本気モードで臨む可能性がある。少なくとも、チュニジア戦とウズベキスタン戦で先発11人を総入れ替えした3月シリーズのような驚きはおそらくないはずだ。

それを踏まえてスタメンを予想すると──。まず3トップは、右ウイングが別格の本田で、CFが岡崎。マインツで2シーズン連続ふた桁ゴールをマークした 岡崎は本田と同じく不動に近いレギュラーと言っても大袈裟ではなく、経験と実績の両方で劣る大迫は分が悪い。なお、川又は太腿を故障中で、追加招集の永井 も今回はバックアッパーの域を出ないだろう。

左ウイングは、3月シリーズ(チュニジア戦とウズベキスタン戦)のパフォーマンスを重視するなら、ウズベキスタン戦で代表初ゴールを決めた宇佐美がレギュ ラーの最右翼か。武藤は膝と腰に不安があり、原口は現体制で初招集という点からも「左サイド・宇佐美」の線が強そうだ。

ただし、6月7日にJリーグを戦った宇佐美と武藤が代表合宿に合流したのは翌8日。コンディションで判断すれば、彼らよりも合流日が早く、前日練習でも軽快にプレーしていた原口の先発起用もあり得る。

右足負傷の清武に「リスクをかけない」とハリルホジッチ監督が明言したトップ下は、シーズン最終盤に好調だった香川で決まりだろう。ドイツ・カップのファイナルで見せていたようなパフォーマンスを再現して、“背番号10”の威厳を示したいところだ。

2ボランチは、攻守のバランスにA代表での実績を加味すれば、どちらかと言えば攻撃的な長谷部と守備的な山口の組み合わせになりそうだ。より攻撃的に行 くなら、長谷部と柴崎のコンビが浮上するだろう。大量リードを奪う展開になった場合は、ハリルホジッチ監督が「パワーと守備に期待している」谷口に代表デ ビューのチャンスがあるかもしれない。

最終ラインではハリルホジッチ監督が今回の代表合宿で示唆した「長友の右SB」を前提とするなら、左SBは太田だろう。直近の松本戦でも“ワールドクラスのトラップ”からアシストを決めた太田は、目下絶好調。このタイミングで使わない手はない。

仮に長友を従来の左SBに置く場合、右はハノーファーの残留に貢献した酒井宏になる。シュツットガルトで出番に恵まれなかった酒井高は、左サイドの人選に関係なくサブに回るだろう。

CBの軸はおそらく、サウサンプトンで確かな存在感を示した吉田。そうなると、イラク戦の相棒は森重か。6月7日の松本戦を出場停止で欠場した森重は、槙野よりもフィジカルコンディションが良さそうという点で優位に見える。

もっとも、槙野は浦和で継続的に好パフォーマンスを披露しており、その好調さを買われる可能性は十分にある。いずれにしてもイラク戦で良い働きをしたほうがシンガポール戦でレギュラーの座を射止めるはずだ。新参者の丹羽に、いきなりスタメンは荷が重いだろうか。

「今回はホームなので、結果、内容とも圧倒したい」(長谷部)。

 GKは3月のチュニジア戦で抜擢された権田がポールポジションか。実際、FC東京ではコンスタントに働いており、スタメンを張る資格はある。

この日のミニゲームではビブス組に西川、ビブスなし組に川島が起用されていたが、前者は3月シリーズ(チュニジア戦とウズベキスタン戦)で出番なし。また後者はスタンダールで昨年12月から定位置を失っていた点が、ネガティブに映る。

仮に川島がイラク戦で先発に起用されれば、「欧州組だから優遇されるのか」という論争を加速しかねないが……。そういう意味でも、能力的に権田や西川に引けを取らない東口も含むGKのポジション争いは、大きな注目ポイントだ。

さて、前述したミニゲームでは清武不在のトップ下に、ウイングとして招集されたはずの原口を置くなど、「おや?」と思わせる人材配置があった。

ちなみに、ビブスありとビブスなし組のメンバーの以下の通り。

ビブスあり組(4-3-3):3トップ(右から。以下同)/武藤、大迫、永井 トップ下/原口 2ボランチ/山口、谷口 4バック/酒井高、丹羽、森重、太田 GK/西川

ビブスなし組(4-3-3):3トップ(右から。以下同)/本田、岡崎、宇佐美 トップ下/香川 2ボランチ/柴崎、長谷部 4バック/酒井宏、吉田、槙野、長友 GK/川島

しかし、3月シリーズの公開練習でスタメンについて大きなヒントを与えてくれなかったハリルホジッチ監督のことだ。ミニゲームでの選手配置をすべて鵜呑みにすべきではないだろう。

どんなメンバーで戦うにせよ、戦術的な見どころは縦への速さ、球際の強さに加えて、どんなストロングポイントを今度は披露してくれるかだ。「選手たちに 伸ばして欲しいところがまだまだある」とも言っていたハリルホジッチ監督が、スピード、テクニック、パワーとおおよそ“3系統”に分類される招集メンバー の長所を引き出せるかという意味でも、90分通してのゲームプランは興味深い。

6月16日のシンガポール戦に弾みをつけるためにもイラク戦での勝利は必須だ。

MFの長谷部は対戦相手のイラクについて「フィジカルが強くて、若いメンバーも多い。非常に良いチームで、アジアカップでも日本より良い結果(ベスト 4)を残している」と言ったうえで、「それでも(アジアカップでは)直接対決で勝っている。今回はホームなので結果、内容とも圧倒するようなゲームをした い」と力強く宣言してくれた。

ハリルホジッチ監督曰く「ブラジル・ワールドカップやアジアカップでのトラウマを払拭する戦いが、ここから始まる」。自信に満ち溢れた表情、強気な口調でそう語る指揮官の真価が問われる戦いもまた、イラク戦から始まると言えるだろう。

「昨日のディスカッションでは多くの選手が私の目を見て話してくれましたが、何人かの選手はまだ疑問を抱いている。なにかを成し遂げるには確信が必要なんです」(ハリルホジッチ監督)

その確信を得るためにも、イラク戦で敗北は許されない。

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