【J1採点&寸評】大宮×G大阪|大宮の初先発・清水が抜群のキレで存在感。MOMは危機察知の高さを見せた今野

大宮――難敵を完封したが、後半は常に相手ペースで勝点3は遠く…。

【チーム採点・寸評】
大宮 6
第1ステージの借りを完璧には返せなかったものの、パスをつないで相手守備陣を攻略する場面もあって、成長の跡は見せられた。守備も及第点以上。アタッキングサードの精度さえ伴うようになれば、さらなる進化を遂げられるはずだ。

【大宮|採点・寸評】
GK
1 加藤順大 6.5
48分に阿部のシュートを横っ飛びで弾くなど、どんなシーンにも焦ることなく堂々たる振る舞いでゴールにしっかりと鍵をかける。高く保たれた最終ラインの裏のスペースも果敢な飛び出しでフォローし、ハイボールも無難に処理した。

DF
19 奥井 諒 6
豊富な運動量を生かして、右サイドを幾度も疾駆する。守備面で軽さがあってピンチも生み、攻撃面でもクロス精度は今ひとつだったが、32分に見せた泉澤とのコンビネーションなどチャンスも少なからず作った。

2 菊地光将 6(81分OUT)
細かなパスをつないでマークをズラそうと試みるG大阪の攻撃に、しっかりと最終ラインを統率して対応。特長である外国籍選手への強さで味方を安心させていたが、第1ステージと同様に負傷でピッチを去った。

3 河本裕之 6.5
相手攻撃陣を威圧するような激しさは相変わらず。エアバトルにも強く、多少の反応の遅れも思い切りの良さでカバーしていた。水際での身体の投げ出し、パトリックを抑え込むパワーなど、ファイターっぷりを遺憾なく発揮した。

5 沼田圭悟 5.5
阿部とオ・ジェソクの相手右サイドのふたりに押し込まれ、粗が目立つゲームに。寄せてはいなされ、我慢すればかわされてしまった印象。代わりに、スペースへの走り込みとクロスで攻撃面ではやり返すことに成功していた。

MF
16 マテウス 6(79分OUT)
ひとたびボールを持てば臆することなくドリブルを仕掛けてDFを手玉に取った。その後のプレーでアイデア不足気味で、さらに周囲と合わずにイライラを表現する時間帯もあったが、今季2度目の先発でアピールは成功だろう。

17 横谷 繁 6
キープ力とパスセンスを武器に、中盤の底からタクトを振るう。ボールサイドに顔を出し続けて左右にボールを散らすだけでなく、機を見ては前線に進出。本職と見間違うくらいにアクセントとして効いていた。

大宮――清水が抜群のキレ。N・ペチュニクの決定機逸が悔やまれる。

MF
18 横山知伸 5.5
大森と倉田の突破になす術なく、26分には身体を当てたが吹き飛ばされて1対1の決定機を与えてしまった。相手のボールの出し入れに対しても、寄せが1テンポ遅くなってしまい、両CBに負担を掛けていた。

39 泉澤 仁 5.5(69分OUT)
前半こそカウンターとポゼッションに関わらずに観客を沸かせるドリブル突破を見せたが、時間の経過とともに徐々にトーンダウン。連戦の影響か、後半は明らかに疲労の色が分かり、早めの交代になった。

FW
9 ネイツ・ペチュニク 5
攻撃ではボールの収めどころになろうと奮闘し、守備では最前線からプレスを敢行。献身性は示したが、52分に相手GKのミスから生まれたチャンスはシュートできず。68分には清水からの絶好のクロスが上がったが、GK正面にボールは飛んだ。

14 清水慎太郎 6.5
自身も「調子が良い」と語るように身体のキレは抜群で、今季初となったスタメンで猛アピール。90分をとおしてチャンスを何度も創出していた。36分には横山のクロスを胸でコントロールして右足を振り抜いたが、惜しくもバーに当たって決定機逸に。

交代出場
FW
8 D・ムルジャ 5.5(56分IN)
第1ステージ13節・鳥栖戦以来のリーグ戦出場でサポーターから温かい拍手を受けた。しかし、相手にボールを持たれていた事実を勘案してもパフォーマンスは今ひとつ。ストライカーとしての本来の姿ではなかった。

MF
10 岩上祐三 -(79分IN)
マテウスと交代して、そのまま右サイドハーフとしてプレー。疲れの色が見えるフィールドプレーヤーに活力を注入することを期待されたが、思った以上の成果は出なかった。キックの正確性も欠いてしまった。

4 山越康平 -(81分IN)
菊地の負傷によってスクランブルで出場。決して多くないプレータイムだったが、強豪を相手にしても特に気圧されることなく、冷静な判断で急場をしのぎ続けて、シャットアウトにしっかりと貢献した。

監督
渋谷洋樹 6
「こういうゲームで勝ち切れないと上位に行けない」という言葉から、手応えとともに悔しさが滲む。前節から数名の選手を入れ替えたが、競争を煽っている効果もあって、質は決して落ちていなかったのは、見事な手腕と言うべきだろう。

G大阪――攻守に貢献度の高さが目立った今野をMOMに選出。

【チーム採点・寸評】
G大阪 6
大宮のパスワークや前線からの絶え間ないプレスに苦戦。ただ、前半途中から主導権を握ると、後半は完全にペースを掴んで、以降は決して離さなかった。フィニッシュの精度不足が引き分けの原因とはいえ、「勝点1をポジティブに捉えたい」(長谷川監督)。

【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 6
所々で集中力を欠いたようなパフォーマンス。52分には大宮のプレスに慌て、ミスキックで相手にボールを渡してピンチを迎える。ただし、68分のピンチでは身体を張ってN・ペチュニクのシュートを阻止。プラスマイナスゼロとした。

DF
22 オ・ジェソク 6
序盤こそ対面した泉澤のドリブルに後手に回るシーンもあったが、すぐに対応して突破を許さず。守備で右サイドの安定を生んでいただけでなく、押し込んだ際にはしっかりとサイドハーフを助けるポジショニングを取っていた。

5 丹羽大輝 6.5
能力を考えれば決して万全の出来とは言えなかったが、それでも大宮の攻撃を完封。最後まで的確な指示を周囲に与え、時には積極果敢にポジションを上げてボールを奪い取る。ディフェンスリーダーたる姿を示した。

6 金 正也 6.5
N・ペチュニクにも怯まず、地上戦でも空中戦でも主導権を握ってボールを撥ね返す。ボールを保持した際には、ちょっとした危なっかしさもあったものの大事には至らず、丹羽とともに無失点で試合を終えたことを最大限に評価した。

4 藤春廣輝 6
良くもなく、悪くもなく。大森とのコンビネーションは上々で、攻守で連動しながら締まった試合を演出した。もう少し推進力を生む縦への動きがあれば、自サイドをより掌握できていたはずだ。

MF
MAN OF THE MATCH
15 今野泰幸 6.5
日本屈指の危機察知能力がいまだ健在であることを証明。広大なスペースをカバーして、セカンドボールを拾い、防波堤として大宮の前に君臨した。一瞬浮く味方に対して効果的なパスも供給しており、この試合のMOMとして文句ない働きだった。

11 倉田 秋 5.5(HT OUT)
26分に左サイドでボールを持つとゴールへ向かってドリブルを開始。自身より体格で勝る横山をなぎ倒して決定機を迎えた。ただ、「いつもならもっとボランチの位置でボールを落ち着かせて捌いている」(長谷川監督)と、前半だけでピッチを去った。

13 阿部浩之 6(65分OUT)
スペースメイクの巧みさが目立つ。48分にはミドルシュートでゴールを狙うなど、積極性も良かったが、65分にチームが見せた見事な崩しのシーンは決めてほしい。この決定機逸が平均評価となった要因に。直後に交代となった。

G大阪――不安定だったゲームコントロールを指揮官が見事に解決。

MF
19 大森晃太郎 6.5
絶え間なく動き回ってボールを呼び込み、縦への意識で攻撃を活性化。38分には相手DFを翻弄するドリブル突破も披露している。守備ではプレスバックを献身的に行ない、相手の動きを限定するなど貢献度は高かった。

7 遠藤保仁 6.5
トップ下でもボランチでも高い質のプレーで攻撃のリズムを作る。特に前半途中から倉田に代わって中盤の底に落ちるようになってからは、G大阪のゲームコントロール力が顕著に上昇。まさに“チームの心臓”であった。

FW
29 パトリック 5.5(81分OUT)
菊地や河本から強いプレッシャーを受けて、普段のようなストライカー然とした姿を見せられず。ただ、沼田のサイドに流れてボールを引き出すなど途中から工夫を凝らして、徐々に調子を取り戻していった。

交代出場
MF
21 井手口陽介 6(HT IN)
体力を奪う天候に、「ハードワークできる選手を」(長谷川監督)と後半の頭から投入される。その期待に応えて、要所で身体を張ってボールを奪取。自身の守備力から、良い攻撃へとつなげていた。

MF
25 藤本淳吾 5.5(65分IN)
ピッチに立った25分間で、本来の輝きを放てず。相変わらず高いテクニックと正確な左足のキックを有してはいるものの、それを存分に発揮していたとは言い難い。もう少し利己的にプレーしてもいいかもしれない。

FW
9 アデミウソン -(81分IN)
アウェーでゴールを生むには時間が短すぎたか。攻守両面における周囲との連動でチグハグさを露呈してしまう場面もあって、アデミウソンにとってはアピール失敗のもったいない試合となってしまった。

監督
長谷川健太 6.5
倉田が本来のパフォーマンスを見せられていないとみるや、前半だけで井手口とスパッと交代。遠藤をボランチに落とす処置で、ゲームコントロールという問題個所を解決した。その戦術眼はさすがと言うほかない。

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