【セルジオ越後が斬る】遠藤は“100点目”に王手。でも肝心のチームの成績は…

MFというポジションを考えれば大した記録だ。

 ガンバの遠藤が、今週末にも大記録を達成しそうだね。

前節の磐田戦では今季初ゴールを決めて、J2時代を含め、98年のデビューから歴代最長となる19年連続弾を記録した。そしてこの得点はJ1通算99点目で、MFとしては藤田俊哉に次いで史上ふたり目となる100ゴールに王手をかけたわけだ。

プロとして19年もプレーしていれば、100という数字はそれほど驚くべきものではないかもしれない。しかも、遠藤はFKやPKのキッカーでもある。セットプレーで稼いでいる部分はかなりあるよね。

とはいえ、遠藤はストライカーではないし、MFというポジションを考えれば、大した記録なのは間違いない。しかもボランチということを考えれば、立派な数字だよ。

これだけ長い間、第一線で活躍できて結果も出しているのは、優れた技術と、そしてチームメイトを活かす能力があるからだろう。怪我が少ないのも特長のひとつで、同年代の俊輔を見ても、同じことが言えるよね。

そんな遠藤が率いるガンバだけど、ACLではグループステージで敗退するし、Jでも第1ステージは中位に甘んじている。井手口など若い選手が出てきて、 少しずつだけど世代交代に着手するなかで、思うように成績が上がっていかず、苦しんでいるね。注目された新助っ人も、努力はしているのだろうけど、期待どおりの活躍を見せられずにいる。

新たな専用スタジアムを作ったのはいいけど、今度はそれに相応しいプレーヤーが必要になってくるよね。最初はモノ珍しさで新スタジアムに来るだろうけど、リピーターを増やす肝となるのは結果とキャスティングだ。しかも、今季のガンバはホームでの勝率が悪い。改めて選手たちは気持ちを引き締めないとダメ だと思うよ。

ガンバは2年前に“三冠”を獲り、去年は天皇杯連覇。順調な歩みを見せてはいるけど、最近はどこか必死さが足りていないように感じるのは僕だけかな。監督を含め、全体的に複数年契約が多いのかもしれない。「今年はダメかもしれないけど、来年があるし」というような考えが少しでもあれば、勝つのは相当に難 しくなるよ。

危機感が乏しければ“名門”は育たないよ。

 今季のガンバは、とりわけ攻撃陣に豪華な顔ぶれが並び、優勝候補筆頭だった。それがふたを開けてみれば、少なくとも第1ステージは厳しい状況に立たされている。それでも、「監督解任か」といった刺激的な記事はほとんど見られない。

良い面ばかりを取り上げるメディアの姿勢は、実際に戦っているチームにも少なからず影響しているはず。ダメな時はダメだと危機感を煽らないと“名門”は 育たないよ。今季のガンバのような戦いぶりは、海外では相当に叩かれていると思う。でも、日本は違うよね。勝った時は称賛して、負けた時はドンマイという 風潮では甘すぎるよ。

週末は昨季のリーグ王者を争ったサンフレッチェと対戦する。ガンバというリーグを代表するチームの戦いぶりには厳しい目を向けつつ、遠藤が“大台”に到達するか注目したいね。

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