【G大阪】熱き伝道師・岩下が眠っていたチームに闘魂注入。「球際で戦えという姿勢だけでも見せられたらいい」

「自分が試合に出た時になにができるかをずっと考えていた」

 G大阪は磐田戦前まで4勝1分5敗(暫定10位)、特にホームの吹田スタジアムで公式戦5連敗中と苦しんでいた。そんななか、持病の右足痛など相次ぐ故障と手術で5月3日に実戦復帰したばかりのDF岩下敬輔は、磐田戦で今季初となるホームゲームのピッチに立った。

「気持ちを前面に出して戦うのが俺の生命線」

そう語る“ファイター”は、立ち上がりからトップギアで飛び出す。5分、CKを頭で合わせてゴールを脅かすと、その2分後には宇佐美貴史のプレースキッ クから再びヘディングシュート。「俺が俺が、になり過ぎてしまったけど」と苦笑いしながら振り返ったセットプレーも、「『決めてやろう』と気持ちがこもっ た」(岩下)結果だった。

17分にFKを決められ、主導権を握られながらも、CBコンビを組んだ丹羽大輝とともに身体を張ったプレーで磐田の攻撃を撥ね返していく。47分にはハ イボールを処理しようとジャンプした際、死角から飛び込んできたアダイウトンと接触。頭部を強打して数分間ピッチに倒れ込んだが、そのままプレーを続行 し、遠藤保仁の逆転弾の“下地”を作った。

「(接触は)不意打ちだったので痛みはありますけど、ああいうプレーで『球際で戦え』という姿勢だけでも見せられたらいいかなと。自分が怪我で試合に出られない時に、(チームのために)なにかやろうとしても、やっぱり響かない。みんな能力のある選手たちだからこそ、『試合に出てないヤツに言われても…』と 思っちゃうのが普通。だから、『自分が出た時になにができるか』をずっと考えていた。周りの選手がなにを感じるのか、俺が伝えていきたい部分でもあるんで」

G大阪にとって、磐田が12年にJ2降格を突き付けられた因縁の相手だったことも、チーム全体の一体感を高めるきっかけになったようだ。当時、累積警告による出場停止でピッチに立つことなく降格を見届けた岩下は、この日のプレーに悔しさを凝縮させたという。

「ジュビロはJ2に落とされたチーム。あの時の危機感を忘れないようにしながら戦ったし、悔しさはしっかりぶつけられたと思います。(ウチは)上手くいっ てない時は、“しょうもない”チーム。その現状を受け止めて、刺激を入れながらやっていかないと。こういう時にヤットさん(遠藤)が点を取ってくれたのはチームにとって大きかった」

「ガンバらしい押し込む時間帯が出てきたし、少しは可能性を感じさせるゲームができた」

 今季ここまで調子の上がらなかったアデミウソンと遠藤保仁にゴールが生まれ、敵陣でのプレー時間も増えてきたことに岩下は手応えを感じている。

「ガンバらしい押し込む時間帯が出てきた。(左サイドの宇佐美)貴史とも、『お前が人を引っ張れる(引き付けられる)から、無駄走りになるかもしれないけ ど、裏に抜けたりすれば、逆にハル(藤春廣輝)が空く。俺も(そこを)どんどん使うから」と話していたんで。そういう感じで『チームのために』っていう動 きを増やせて行ければ、アデ(アデミウソン)と貴史を入れ替えるオプションも作れるし、今日は観ている人たちが少しは可能性を感じるゲームができたと思います』

「今日はみんな戦っていましたよ」とホーム公式戦6試合ぶりの勝利に充実感を滲ませつつ、青黒軍団の闘将は「そこはもっともっと追求していきたいですね」と今後の巻き返しを誓った。

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