【G大阪】ACL敗退の要因は、2大エースの不振。誤算続きの”長谷川ガンバ”は復調できるのか

決定機を確実に決め、粘り強く戦うのが本来の“長谷川ガンバ”。しかし、「今は攻守の歯車が噛み合っていない」(東口)

 8年ぶりのACL制覇を目標に掲げたG大阪だが、ACLの水原三星戦で1-2と完敗し、まさかのグループリーグ敗退。うつむきがちにゴール裏への挨拶に向かった長谷川健太監督と選手たちに向かって、容赦のない罵声が飛んだ。

「サポーターのブーイングは妥当だし、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

試合後、今野泰幸がこう振り返ったとおり、昨年のアジア4強クラブは低調過ぎる内容で、グループリーグ最終節を待たずして「アジア制覇」の夢が途切れた。

点を取り切れず、ゴールを守り切れず――。今季の戦いぶりを象徴するような内容が、まさに水原三星戦だった。この一戦に勝利し、他会場の上海上港対メル ボルン・ビクトリー戦の結果次第で決勝トーナメント進出に望みがつながるはずだった。しかし現実はそうならず、呪われたかのようにゴールから見放されたの だ。

35分には、丹羽大輝がラッキーな形でPKを得ると、キッカーに名乗り出たのは宇佐美貴史。昨年はグループリーグと決勝トーナメント1回戦で貴重なゴールを決めて、チームの躍進に貢献した背番号39だったが、今大会はノーゴールと苦しんでいた。

本来、PKのキッカーは遠藤保仁だが、宇佐美の志願に対して「流れが悪い時は、エースが決めるのが一番いいですしね」とキッカーを譲るも、痛恨のキックミス。セーブされた一回目のキックは相手GKが早く動いたためやり直しとなったが、二度目のキックもGK正面に飛んだ。

エースは「みんなの頑張りだったり、粘り強さを、ワンプレーやひとりのミスでそういうことになってしまうという、サッカーの恐ろしさを知った」と自らを責めたが、チームの負の流れがもたらしたプレーでもあった。

「要因を挙げるとすれば、ひとつだけではない」。長谷川監督がこう振り返るように誤算続きの序盤戦だったが、指揮官の読みが外れたのは低調な前線だった。

「今は攻守の歯車が噛み合っていない」と、最後尾からチームを眺める東口順昭は振り返る。決して数多いとは言えない決定機を、確実に決め、そして粘り強く戦うのが、本来の“長谷川ガンバ”のスタイルだ。

連戦を強いられた遠藤のパフォーマンス低下も遠因ではあるが…。

 指揮官が誤算のひとつに挙げたのは、「パトリックがもう少し点を取ってくれていれば」という、ブラジル人ストライカーの得点難である。ACL・2節のメ ルボルン・ビクトリー戦でも後半、再三決定機を逃し、チームは痛恨のドロー。アウェーの上海上港戦では、今大会唯一となる同点ゴールは決めたが、大会を通 じてパトリックは低調なままだった。

「ACLを甘く見ていたところがあった」(長谷川監督)という昨年の苦戦を教訓に、今季のACLではベストメンバーを起用。リーグ戦ではパトリックを温存し、長沢駿を1トップに配置する布陣で挑みながらも、ことごとく勝利から見放された。

ホームで0-3と完敗を喫した上海上港戦は、90分間を通じて相手に圧倒され続けたものの、それ以外の試合は紙一重の展開を繰り広げた。今季は、そうした接戦をモノにする力が欠けているのだ。

「僕らが点を取って、後ろに守ろうというモチベーションを与えられなかった」(宇佐美)

今野のCB起用によってボランチが手薄となり、連戦を強いられた遠藤のパフォーマンス低下も遠因ではある。だがしかし、パトリックや宇佐美が勝負どころで決定的なゴールを奪ったからこその三冠達成であり、天皇杯の連覇だった。

グループリーグの5試合で奪ったゴールはわずかに「3」。そしてFW陣が決めたのはパトリックの1ゴールのみ。今季、アデミウソンを補強したのは、「も う1点を取り切るため」(長谷川監督)という攻撃のテコ入れだったはずだが、2大エースの不振に引きずられる格好で、G大阪はACLに早すぎる別れを告げ た。

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